税と対峙する – 14

平成15年12月5日号(第2262号)

税制改正での主張の期限はもはやまったなしだ
均等割課税で税負担増は消費に悪影響

 先の衆議院選挙で自民党・公明党の連立政権が一応の信任を受け、税制も今迄の政策の元に進んでいく模様である。いよいよ年末の税制改正を迎えるわけだが、すでに既成事実となりつつある事業税の外形標準課税と消費税の総額表示義務化の問題は、見直しなく来年の実施に向けて進んでいく様相である。施行の凍結などを求める百貨店協会の主張がどこまで届くのか大きなヤマ場であるのだが、見通しは厳しい。また百貨店協会の代弁者として最も大きな存在であった山崎前副総裁が落選したことも今後の陳情等を進める上で暗い影を落としている。百貨店のおかれた現状を真剣に考えてくれる政治家を一人でも多く見つけ出してバックアップを求めなければならない。

 ところで今年の税制改正論議のテーマは増税にシフトしている。個人から地方公共団体が徴収する都道府県民税・市町村民税(以下地方税という)について、その均等割部分を増額しようという改正案が俎上に上がっている。均等割とは、国民誰もが行政サービスを受けているという前提で一人当たり年間3~4千円の定額を所得に関係なく課す税金だ。つまり成人であれば誰でも対象になりうるのである。ところで地方税は均等割のほか所得割があり、これは個人に所得がなければ課されない。また多くの地方公共団体は所得がない人には均等割も課していないのが現状だ。つまり、現状所得がない人は全く地方税を納めていないわけである。これに対して今回の改正案では、安定財源となる均等割の金額を数千円あげるとともに、所得に関係なくすべての国民から徴収しようと画策しているようである。わずかな金額でも個人の消費マインドに与える影響は大きいだろう。デパートとしてもすべての国民・消費者にかかわる問題であり、こうした改正の動向には注目する必要があろう。