昭和24年10月創刊

メニュー
メニュー
税と対峙する

税と対峙する – 15

平成15年12月20日号(第2263号)

老年者控除の廃止は消費需要に悪影響必至
高齢者とデパートの堅固な結びつきに暗雲

 平成16年の税制改正がいよいよ固まった。年明け後国会で審議の後、与党案はそのまま3月末頃には成立し、施行されることになろう。先の衆議院選挙の結果、自民・公明の連立政権が「勝った」ことがそのまま反映しているわけだ。今回の税制改正は年金問題を軸に今迄聖域とされてきた高齢者への課税が強化された点が特徴といえよう。最大の課税要素は老年者控除の廃止である。これは65才以上の人で年間の所得が1000万円以下の人については一律に所得から所得税法上は50万円、住民税法上は48万円を所得控除しているものである。 具体的にみていこう。たとえば65才以上の人で給与収入が年間800万円、年金収入が300万円あったとしよう。この場合給与所得は600万円・年金所得は150万円となり、合計の所得は750万円である。これは1000万円以下なので老年者控除の対象となる。この人の所得控除(健康保険料や配偶者控除・扶養控除・基礎控除など)が200万円だとすると課税される所得は〔(750万円?200万円?50万円(老年者控除)〕=500万円だ。これに対する所得税は500万円×20%?33万円=67万円となる。もし老年者控除が廃止されれば課税される所得は500万円+50万円=550万円となり、所得税は550万円×20%?33万円=77万円である。77万円?67万円= 10万円…これが老年者控除廃止の増税額となる(定率減税は考慮していない)。住民税は細かい計算を省略するが、48万円の控除がなくなれば 48,000円増税となる。つまり、その人の所得に対する税金は国税・地方税合わせて148,000円も増加するのである。場合によってはこれに健康保険料の増加負担も有り得るわけで、老年者控除の廃止は高齢者家計の可処分所得を直撃する改正といえるだろう。

 別紙にあるように所得が少ない人には新たな課税が発生し、またかなり所得がある人は試算では最高で国税・地方税合計212,400円の増税となる可能性がある。老年者控除の廃止は極めて大きな増税を呼び込むものになりそうである。更に年金受給者には控除額縮小で課税ベース拡大に伴なう増税も追いうちをかける。消費不況の中である程度底固い需要をみせてきた高齢者のデパートでの消費動向に大きな影を与えることはまちがいなく、今後デパートとしても志向の変化にあわせた具体的な対処が必要になるだろう。

老齢者控除の税額への影響

ケース① 年収300万円の人の場合

65才以上で配偶者・扶養家族なしのケース(定率減税は考慮していない)

給与収入 年間 120万円 給与所得 55万円
年金収入 180万円 年金所得 40万円
収入合計 300万円 所得合計 95万円
(基礎控除) (保険料等控除額) (老年者控除)
改正前 95万円 -38万円-15万円-50万円=△8万円<0
課税所得0の為、国税・地方税とも0
改正後 所得税 95万円 -38万円-15万円=42万円(課税所得)
42万円×10%(税率)=42,000円
住民税 95万円-33万円-15万円=47万円
47万円×5%=23,500円
合 計 65,500円増税
(この他国民健康保険料も増額となる。)

ケース② 所得が1000万円の人(最も所得が多い適用者)の場合

(細かい計算式は省略)
所得税 50万円(控除できなくなる金額)×30%(税率)=15万円
住民税 48万円×13%=62,400円
合 計 212,400円 増税