百貨店「北海道物産展」の行方

百貨店で大人気の北海道物産展が減っていくという不安

百貨店の物産展で絶大な人気を誇る「北海道物産展」。開催時は、集客、売上ともに常に好調であり、どこの百貨店でも人気の催事である。客層を問わず北海道物産展への支持は高く、会場では常に行列ができるほどである。

しかし、新型コロナウィルスの流行によって物産展も開催中止や延期、規模の縮小が相次いだ。百貨店側は、ネットでの商品紹介や販売を行うなど工夫を凝らしているが、通常通りのイベント開催に比べると盛り上がりに欠け売上高も厳しい状態である。

一方、道産品の販売は、アンテナショップや道産品の特設コーナーを設けた大手スーパー「東急ストア」(首都圏80店舗で実施)での売り上げが好調である。昨年4~11月の「どさんこぷらざ」の売り上げは前年同期比4割増の15億9500万円(2019年同期に迫る水準)となった。

*因みに全国1位の売り上げ・来客数は「どさんこぷらざ有楽町店」であった。

どさんこプラザ有楽町店の「2021年4月~2021年12月のジャンル別販売動向」によると、売上高の高い商品は、おなじみのものが並んでいる。

【菓子部門】

 石狩 じゃがポックル (カルビー) 売上数量 28,305個  売上高23,209,105円、

 オホーツク  赤いサイロ5個入  (清月) 売上数量25,091個  売上高19,520,785円、

【農産加工品部門】

 上川 南富良野 バタじゃが5 (南富良野振興公社) 売上数量 2,660個  売上高1,649,200円、

【乳製品】

 渡島 トラピストバター (トラピスト修道院製酪) 売上数量 1,270個 売上高 1,638,300円

新規出店店舗が好調

昨年2021年6月には、東京・羽田空港に「どさんこプラザ羽田空港店」がオープン。同年9月15日には、関西で初となる「あべのハルカス近鉄本店」へ出店。両店舗が売り上げに大きく貢献した。

北海道では、コロナ禍での生産者や食品業者の支援を目的として、さらなる全国展開の強化を目指している。今年4月下旬には東京都町田市に国内12か所目となるアンテナショップ「北海道どさんこプラザ」新規店舗を出店予定である。

既存店舗

北海道どさんこプラザ札幌店 JR札幌駅

北海道どさんこプラザ 羽田空港店

北海道どさんこプラザ 有楽町店

北海道どさんこプラザ さいたま新都心店

北海道どさんこプラザ 仙台店

北海道どさんこプラザ 池袋店

北海道どさんこプラザ 吉祥寺店

北海道どさんこプラザ 名古屋店

北海道どさんこプラザ あべのハルカス店

他サテライト店2店

コロナがもたらす物産展の転換期

このように、アンテナショップの新規出店は、イベント時だけに限らず、日常的に北海道の商品を手に取り、購入できるのが魅力である。一方で、みんな大好き百貨店物産展の開催が減っていくのではないかという不安も生まれてくる。コロナの流行は、物産展の在り方にも変化をもたらした。これまでを振り返ると百貨店での道産品の宣伝活動は十分な役割を果たしたと言える。今後は、物産展の開催数を減らし、それと並行して、近鉄本店のように百貨店内にアンテナショップを開設する店舗が増えていくのではないだろうか。

参考:北海道新聞どうしん電信版