昭和24年10月創刊

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㈱うすい百貨店 平城大二郎社長 直撃インタビュ – 明日を目指す百貨店探訪 第3回

 地域密着産業である百貨店。特に地方百貨店は地方経済のバロメーターでもあるのではないだろうか。地域一番店である地方百貨店を全国津々浦々に訪ねてその様々な実情を発信するシリーズ。

うすい百貨店 平城大二郎社長

うすい百貨店 平城大二郎社長

【うすい百貨店 平城大二郎社長 略歴】
昭和27 年(1952年)10 月 東京都武蔵野市吉祥寺生まれ
昭和52 年(1977年)慶応義塾大学 工学部 応用化学科卒
昭和52 年(1977年)株式会社三越入社
平成20 年(2008年)株式会社三越伊勢丹 百貨店事業本部
         リビング統括部 部長
平成21 年(2009年)株式会社うすい百貨店 代表取締役社長

「先ず、直近の決算実績についてお聞かせください」

(平城社長)
 2020年3月からの物産展の中止を皮切りに4月は緊急事態宣言の発令を受けて、営業時間の短縮・売場営業の縮小を余儀なくされた。6月の通常営業より給付金特需等で売上が改善に向かい、7月は前年売上を上回るも上期売上は同79%と厳しい結果であった。下期は、8月がレジャー旅行自粛等顧客需要の転換により単価増となり、前年売上を上回るも、9月に消費増税の反動減にてマイナスとなった。10月11月は、2019年台風被害の反動増があり前年を上回った。12月は歳暮やおせち料理等が好調でほぼ前年並みの売上であったが、2021年1月はコロナウイルス第3波の影響で前年を大きく下回り、下期売り上げは前年比93%となった。

 2021年2~7月売上は前年比119・6%、前々年比は94・7%と全国と比較して健闘していると考えている。食品が堅調で、特選品も高い伸び率の一方で衣料品は厳しい状況が続いている。その中で、外商が奮闘しており、伸び率は前々年を上回る推移である。

 2~8月では新型コロナの感染拡大により8月は大きく売上をマイナスし(前年比75・2%)、2~8月は、前年比112・6%、前々年比92・3% となった。

「売場の現状と今後の施策について」

モーニング – 旬の果実をたっぷり使ったヨーグルトスイーツの専門店

( 平城社長)
 好調なのは、食品、寝具、特選である。

 食品は、新型コロナ禍拡大により、いわゆる「イエナカ」需要が増加した。コロナ禍の中、生鮮は前年比105%、グロッサリーは105%と全館の 伸び率に対して好調な結果となった。生鮮は、他の百貨店と比べて売上構成比が低く、競合も多いことから、差別化を図るためのショップ入れ替えも検討する。総菜は、過去5年間の売上は拡大傾向にあるものの、中華や和総菜等欠落しているMDもあり、補完が必要だ。菓子は、ギフト需要に強みがあり、中長期では展開フロアの拡大も見据えた強化を考えている。寝具は、食品と同様に、「イエナカ」需要で、快適に過ごす目的の為、「テンピュール」や「エアウエーヴ」等機能タイプの高額品が好調であった。前年比は108%。今後も需要は続くと見込まれており、取引先と連携して期間限定企画等に取り組んでいく。

向山製作所 – 「生キャラメル」を始めとした地元ならではのお菓子作り

 特選は、レジャーや旅行等の自粛に伴う消費意欲が「ルイ・ヴィトン」や「ティファニー」等に移行したと考えられ、前年夏から好調を継続している。2ブランドの売上は前年比107%であった。今後は、ホテル催事等、外商と連携したハイクラス商品の提案企画を実施する。

 一方で、衣料品は苦戦している。特に昨年度は衣料品だけで28ショップが終了した。売上は、外出自粛の顧客動向も相俟って前年比77%であった。後継ショップによっても売上が挽回できておらず、中長期的に、現在4フロア強を占める売場面積を縮小してフロア効率を上げていく。2020年3月には、衣料品売場の一角を、賃貸契約の買取専門店に変更している。

富久栄珈琲 – 素材と焙煎技術にこだわるスペシャルティコーヒーの専門店

 このような状況において、伸ばしたい部門は賃貸テナントである。前述のように、中長期の計画として、衣料品を中心に百貨店売り場を縮小し、大型テナントとの賃貸契約による「百貨店のハイブリッド化」を進めていく。これについては、2、3フロアのテナント導入の構想を持っている。「モノ」の販売のみならず、「美」「食」「知」「健」「遊」をキーワードとした顧客のトレンドに応える売場構築を目指す。

「商圏と顧客層について」

(平城社長)
 福島県は全国で3番目に広い面積を持つ。店舗の60㎞以内に福島市、いわき市、会津若松市がある。当店は、県内唯一の百貨店として、これらの広域商圏の取り込みを念頭としている。移動会員数の構成比は2020年度で郡山市が57.3%、市外が42.6%である。2020年8月に営業を終了した福島中合が主軸としていた県北地域を拡大重点商圏と位置付けている。2020年9月には、県北地域の顧客に対応するための福島営業所を( サテライト店舗) 福島駅市街地に設置した。顧客層は、50歳代~60歳代で売上の約50%を占めており、60歳代が最大の顧客層を成す。

 人口動態では、他の地方都市と同様に少子高齢化が加速しているが、次世代顧客層の取り込みを重視し福島県人口の27%を占める40歳代~50歳代がコアとなるMD構築及び販売促進策を推進していく方針である。

 2020年度の来店客数は196万人であった。平日は約4千人、土日祝日は約8千人、物産展開催時は約1万5千人が来店される。駐車場の利用状況から70%が自動車での来店と推定される。指定駐車場は2200台であるが、その多くは店舗から分散しており、店舗近隣の4駐車場( 879台収容) だけで利用の95%を占めている。

「外商の現状と今後の施策について」

(平城社長)
 2021年8月現在、外商部員は25名( 県中12名・いわき4名・会津4名・福島5名) を配置している。別途に副本部長と部長が組織を統括する形である。店舗7階には外商サロンを設置している。外商の売上規模は全売上の12.5%である。
外商顧客数は概算で6100名。個人顧客は80%、法人顧客は20%の比率だ。現状の外商売上構成比はこれまでと比較して増加している。今後は、外商の強化を会社方針の軸のひとつとして位置付けており、外商部員は広域担当を中心に増員をする。現行は、自社発行の売掛カードが顧客の主体であるが、更なる顧客拡大を目的として、ハウスカードの提携先であるジャックス社と上顧客向けの新カードを2022年度初頭を目処に検討している。また、スマートフォンによるSNSを活用した顧客アプローチの他、商談内容や顧客管理を一元化したクラウドシステムを2021年9月に導入する。

「うすい百貨店の特色について」

《特色① CMソング 》

 「うすいCMソング」は福島県民が誰でも知る圧倒的な知名度を誇っている。現店舗オープンの際、旧来の慣例から一新を図る流れでこの曲は封印されていた。私が社長に就任した際に曲を知る機会があり、これは正に百貨店の原点であると感動し、復活させた。この復活の反響は物凄く大きかった。お陰様で、今では、お子様が歌えるまでになった身近なCMソングである。

《特色② MD構成 》

 ラグジュアリーブランドについては、単館で東北地方唯一の「ルイ・ヴィトン」と「ティファニー」のMDを持つ高質なブランド力を備えている。ま た、食品については、地域振興を目指して、地場の有力ブランドである「向山製作所( 生キャラメル等スイーツ)」、「富久栄珈琲(希少なスペシャルコーヒー専門店)」、「モーニング( ヨーグルト専門店)」を出店し販売している。

《特色③ 恒例催事・企画》

 恒例歳時記のひとつであるバレンタイン特設売り場は、仙台市内の百貨店を上回る売上を誇り、支持を集めている。

 また、年3回実施の「北海道物産展」は、総売上で5億円を超える人気催事だ。恒例企画として、うすいJカードと友の会カード会員様をポイントアップの対象とした「10P3Days」は、年8会期(24日間・営業日数構成比6・6%)の開催である。これは、店売上の15%を占めている。

《特色④ 「うすいファンクラブ」の結成 》
 2020年7月に、地元有志の呼びかけにより「うすいファンクラブ」が結成された。単独企業に対してのこうした取り組みは全国でも例がない。ファンクラブを通じての交流企画や発信により、駅前中心街の活性化に繋げていく。

「創業360年を迎えるにあたって」

(平城社長)
 来年2022年に創業360周年を迎える。この歴史と伝統は長年にわたり顧客からの高い信頼を頂いてきたからこそのものである。2011年3月に発生した東日本大震災の際は、その2日後からお客様にご来店頂いた。

 上層階の壁が崩れ営業は、地階と1階に限られたが、社員が一致団結して乗り切った。弊社にとっては正にターニングポイントとなった出来事であった。今後も厚いご支持を頂くには、足元商圏を更に重視していく必要がある。それには、地元市民へのサービスがとても大切である。我々は、ネット商売では決して体験できないリアル店舗を日々磨いている。そしてそれを極めていく。そのために、「うすい」ならではの品揃え。心に届く心地良い接客。快適な売場環境。これらを追求していく。
(敬称略)

うすい百貨店 外観

【店舗データ】
①店舗名 うすい百貨店
②所在地 福島県郡山市中町13 番1 号(JR 郡山駅西口徒歩7 分)
③開店   1999 年11 月(現店舗オープン)
④売場面積 31,500㎡ 営業フロア 地下1 階~地上10 階 11 フロア
※両面エスカレーターを備えた周遊に優れる館内構成
⑤売上高(2021 年1 月期)121 憶92 百万円 ( 前年比86% )

・寛文2 年(1662 年) 物産問屋として創業
・昭和41 年(1966 年) ダイエー・西武・丸井 郡山駅前進出
・昭和45 年(1970 年)百貨店部門を分離 株式会社うすい百貨店設立
・平成11 年(1999 年)中町再開発ビル完成・現店舗オープン

・平成21 年(2009 年)平城社長就任
           県民に愛されるうすいCM ソングを復活
 ※平成23 年(2011 年)3 月 東日本大震災 2 日後に一部営業を再開
・令和2 年(2020 年)7月 うすいファンクラブ設立
           9月 うすい百貨店 福島営業所を開設
(1975 年~ 1976 年)

(1994 年) ダイエー郡山店 閉店
(2000 年) 郡山西武店 閉店
(2001 年) 大黒屋( いわき市)閉店

(2008 年) 丸井郡山店 閉店
(2010 年) 中合会津店 閉店
(2020 年) 中合福島店 閉店
【沿革】( 競合他社との歴史)

【店舗の立地】
JR 郡山駅西口から徒歩7 分。駅前中心市街地である「中町」に立地する。
指定駐車場を含み2,200 台の駐車台数。
《郡山市》
・人口32 万6 千人、福島県の中核市。福島県中通り中部に位置。
・福島県を代表する商工業都市であり、東北地方第2の規模を持つ郡山都市圏(55 万人) を形成。
・JR 東北新幹線・東北本線、東北自動車道、磐越自動車道にて福島市・いわき市・会津若松市を結ぶ中心に
位置。
・交通の利便性から「陸の港」とも称され、経済・内陸工業・流通・交通の要衝。
・江戸時代の宿場町から明治時代に国営開発事業第1 号の「安積開拓」により安積疏水を開削し発展。