デパート新聞 第2670号 – 令和3年9月1日

7月東京は8.0%増

 日本百貨店協会は、令和3年7月東京地区百貨店(調査対象12社、24店)の売上高概況を発表した。売上高総額は1061億円余で、前年同月比8.9%増(店舗数調整後/5か月連続増)だった。店頭・非店頭の増減は、店頭12.0%増(90.4%)、非店頭マイナス 19.2%(9.6%)となった。

百貨店データ

  • 3社商況7月
  • 7月店別売上前年比(%)
  • 都内各店令和3年7月商品別売上高
  • 関東各店令和3年7月商品別売上高

人事異動

  • J.フロントリテイリング㈱
  • ㈱そごう・西武

[新連載] 探訪 第1回 ㈱高崎髙島屋 – 地方百貨店街づくりの担い手

桜庭社長

 来年は開店45 周年の年

 地域密着産業である百貨店。特に、地方百貨店は地方経済のバロメーターでもあるのではないだろうか。地域一番店である地方百貨店を全国津々浦々に訪ねてその様々な実情を発信するシリーズ。

第1回は、 ㈱高崎髙島屋 桜庭社長 にお話を伺いました。

  • 「先ず、現状をお聞かせください」
  • 「商圏と顧客層について」
  • 「外商の現状と今後の対策について」

続きは 探訪 ㈱高崎髙島屋 – 地方百貨店街づくりの担い手 第1回 を御覧ください。

マリトッツオ食べ比べ

 今、デザート市場で注目されているマリトッツオを食べ比べ、10点満点 で点数をつけました。

生プルマンのマリトッツオ(ストロベリー) – MAISON ICHI(メゾン・イチ)

生プルマンのマリトッツオ(ストロベリー) – MAISON ICHI(メゾン・イチ)

1つ目は、横浜髙島屋地下食品フロアFoodies′ Port2ベーカリースクエアに出店しているMAISON ICHI(メゾン・イチ)の生プルマンのマリトッツオ(ストロベリー)です。

 ほんのり甘くもっちりとしたパン生地になめらかな生クリームがたっぷり挟んであり、さらに生クリームの中に大粒のイチゴジャムが入っているボリューム満点の一品でした。編集部の評価としては、10点です。

マリトッツオラムレーズン – DEAN & DELUCA

マリトッツオラムレーズン – DEAN & DELUCA

 2つめは、そごう横浜店2階に出店しているDEAN & DELUCAのマリトッツオラムレーズンです。

 ブリオッシュ生地にチョコレートソースとラムレーズンのクリームを挟んだマリトッツオです。コクのあるパン生地にほんのり甘い生クリームをたっぷり挟んでいます。かじってみるとチョコレートソースの甘味が 口に広がる贅沢な一品でした。編集部の評価としては、9点です。

注1:評価は個人の感想を基にしています。
注2:販売情報は7月28(水)の時点でのものです。現在の状況については、各店のホームページをご参照ください。

横浜髙島屋

住所: 〒2 2 0 ‐8601横浜市西区南幸1丁目6番31号
電話番号:( 0 4 5)311‐5111
営業時間:午前10時~午後8時

DEAN & DELUCAそごう横浜店

住所: 〒2 2 0 ‐0011神奈川県横浜市西区高島2丁目18番1号そごう横浜店B2食品売場
電話番号:( 0 4 5)444‐1401
営業時間:午前10時~午後8時

マリトッツオとは?

 イタリア・ローマを中心に愛されている伝統的なお菓子で、ブリオッシュ生地に生クリームがたっぷり挟んである。イタリアでは、カフェでの朝食として食べられることが多い。

地方百貨店の時代 その22 – 外商の没落

デパート新聞社 社主
田中 潤

【外商システムの問題点】

 デパートにとって重要な戦力であった外商がこれだけ衰退してしまったのは、そのシステムの中に大きな問題があったからだ。業務の執行に係る様々な判断を外商員に的確に任せることが出来なかったのである。通常、外商員には1カ月なり年間なりの売上目標、つまりノルマが与えられる。必ず自分が作らなければならない売上があるということは、顧客本位でモノを売るのでなく、顧客が買いたくなくても売りつけるということにつながっていく。更に、顧客が買ってくれなければ、自分が顧客の代りに買う。つまり、自爆する。それでも足りなければ、売上を架空に計上するというところまで発展してしまう。

 ノルマを達成できなくても、別に給料をカットされたり体罰を受けたりするわけではない。しかし、上司からの過剰なパワーハラスメントに日々苛まれ、精神的に追いつめられると、人は平常心でいられなくなってしまう。いかに言われたことに従うかだけを考え、売上を作ることがすべての目的と化し、不正を行なうことに対する道徳心や偏理感は大きく後退してしまうのである。

【外商員の暴走】

 一方、外商員の立場を利用して、自らの欲望のために不正を行なう者も少なくない。外商顧客の支払いは現金決済ではなく、月ごとに締めて請求するという形である。顧客によっては2カ月、3カ月溜まることもあるが、デパートとしてはある程度支払いを待たざるを得ない。つまり、外商顧客からの入金は商品の引き渡しに対しかなり遅れるのである。こうした時間差を利用して、外商顧客からの集金をすぐにデパートに入金せず自らが使い込む、ということが数多く起きた。

 一人の顧客だけなら、すぐにおかしいと分かるが、外商員が担当している顧客は数百人いる。複数の顧客に対しての請求集金をすべて自分経由で行い、その中で自ら資金繰りをして外商顧客の支払口座に適宜に入金し調整するのである。これが続けば当然自分が使う金額も積み上がり、入金出来る範疇を超えた自転車操業も破綻する。また、定期的に行なわれる内部監査で判明することもある。不正を行なった外商員は職を解かれ、人事部付けなどに移動させられるが、デパートの信用のために内部で処理されることが多い。

 こうしたことの結果として、外商員には金銭を扱わせない。様々な報告書類を義務付ける(これは外商員だけでなく、顧客に対しても窮屈な縛りを設けることになる。)など、取引の自由性を拘束するルールが急増し、外商の役割は縮小していくことになった。

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 ザ・ローリングストーンズの唯一無二のドラマー、チャーリーワッツさんが80才で亡くなった。若い頃から老成し、年齢不詳とも言われたが、最後まで変わらず、本当の老人にはならなかった。

 コンサートでは、ミック・ジャガーとキース・リチャーズの動に対し、ベースのビル・ワイマンと共に静の迫力を存分に見せつけ続けた。コンサートの中で、ミックによる恒例のメンバー紹介でいつも見せる爽やかな笑顔は、ミック、キースにも劣らない拍子を集めたものだった。

 多くのロックスターが早世していった中で、そのカリスマ的存在であったストーンズのメンバーが、1969年のブライアン・ジョーンズの謎の死の後、健在であり続けたことは、多くのファンに少なからず、心の支えとなっていたはずである。

 半世紀ぶりのメンバーとの永の別れは、一つの時代の終焉を想い起させられる出来事である。

無駄の物語 part18 – 無駄が必要な車社会

犬懸坂祇園
作詞、作曲などをしております

合理性を追求した車文明

 無駄の対極にある合理性について考える時、日本社会の経済的合理性を徹底的に推し進めたのがクルマ文明であるといえよう。経済を成長させるための筆頭としてクルマ産業を育成した日本は、世界有数のクルマ保有国となり、建設・土木・流通・運輸など数多くの関連業種を巻き込んで巨大なクルママーケットを築き上げた。

 もはやクルマ無しでの生活設計はあり得ない。しかし、本項ではクルマに依存することのリスクを徹底的に考えた上で、次の時代を見据えていかなければならないということを論じたい。

 「クルマ社会は人々の生活を豊かにする」というポジティブな思想は、日本国内に宗教のごとく蔓延し、否定的な見解は少数意見として押し込められてきた。しかし今、ひたすら合理性を追求して築き上げたクルマ社会のためのシステムは、取り返しのつかないほど厳しい現実を突きつけられている。結論的に言えば、人々の文化的暮しは、「クルマありき」という方針だけでは達成できなかったということである。さらに、そのツケは将来にわたって過速度的に大きくなっていくだろうと思われる。

車の与えた影響

 交通戦争当時と比べれば大きく減少したとはいえ、今なおクルマによる死亡事故件数は他の疾病と比較して膨大であり、クルマが発する二酸化炭素を始めとする環境汚染は深刻な被害を社会に与えている。また、世界的にもクルマによる環境破壊は少なくないことが明らかになってきている。クルマを作るための化石燃料の消費、クルマが通る道を作るための森林の伐採など、生態系にまで被害を与える負の活動が日々続けられてきた。

 さらに、日本においては、クルマを前提とした街づくりの弊害が深刻である。アメリカの影響を受けて進んだ戦後の日本の都市開発は、生活の潤いの場・人々のコミュニケーションの場としての街の機能を徹底的に壊滅させてしまった。しかも皮肉なことに、経済が成長を止めるのと軌を一にして、クルマが活用しやすいように整備された多くの商店街が衰退してしまい、使い物にならない街が急速に増え続けているのである。クルマの数が増え交通規制の強化が進むと、クルマを活用するためのスペースの手当てが中途半端であったことで、郊外型のショッピングモールに顧客を奪われるようになってしまったのである。

 そして今、超高齢化時代を迎え、認知症ドライバーによる事故が急増している。しかし、地域によっては合理化の名の下に電車もバスも廃止され、日常の買物に行くにも自家用車しか手段がないという現実がある。

無駄を受け入れた生活様式

 様々な公害、環境汚染、そしてコミュニティの破壊と、クルマの成してきた罪は果てしなく大きい。経済合理性の追求が、これほどまでに人々の幸福を阻害する要因になるとは、誰も気づかなかったのだろう。今、無駄を受け入れた人々の有機的な生活様式について、一旦クルマを除外して真剣に考えるべき時かも知れない。

連載:デパートのルネッサンはどこにある – 8月のコロナ狂想曲(前編)

臨時休業相次ぐ

 本紙は例年8月15日号を休刊としている。オリンピック開催後の8月、百貨店を取り巻く状況を時系列で追ってみた。

百貨店や大型商業施設の従業員の感染が拡大臨時休業相次ぐ  

 8月に入り、都心の百貨店などで従業員やテナントスタッフの新型コロナウイルス感染に伴う臨時休業が相次いでいる。感染場所が店頭であるとは確認されていないが、各社は臨時休業して消毒作業にあたった。従業員が使う食堂や更衣室、ロッカールームなどでの感染の可能性も踏まえ、大規模なPCR検査も行っている。当該店舗の利用者からは不安の声が上がっており、影響拡大が懸念される。以下、ネットニュースを含め業界を騒がせた事例を列挙する。

続きは デパートのルネッサンスはどこにある? 2021年09月01日号 を御覧ください。

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