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デパート新聞 第2666号 – 令和3年6月15日

4月全国は167.0%増

 日本百貨店協会は、令和3年4月の全国百貨店(調査対象73社、192店〈令和3年3月対比±0店〉)の売上高概況を発表した。売上高総額は3178億円余で、前年同月比167・0%増(店舗数調整後/2か月連続プラス)だった。

百貨店データ

  • SC販売統計4月
  • 都市規模別・地域別売上高伸長率
  • 神奈川各店令和3年4月商品別売上高

人事異動

  • ㈱そごう・西武
  • ㈱松屋
  • J.フロントリテイリング㈱

まん延防止等重点措置下の神奈川県の百貨店

 令和3年4月16日、特措法に基づく新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置の公示を受け、神奈川県における百貨店は、事業所の消毒、施設の換気や入場者の感染防止のための整理及び誘導などの「まん延防止等の重点措置」を取ることを要請された。
期間は横浜市と川崎市が令和3年4月20日~5月31日(5月28日に6月20日まで延長)、藤沢市と横須賀市は5月12日~5月31日(同6月20日まで)。

 今回の重点措置の中で奮闘するさいか屋横須賀店を取材した。

神奈川県のまん延防止等重点措置内容

【対象区域】
4/20から横浜市・川崎市・相模原市4/28から、鎌倉市他5市追加(厚木市、大和市、海老名市、座間市、綾瀬市)5/12から、横須賀市他7市町追加(藤沢市、茅ヶ崎市、逗子市、三浦市、葉山町など)

【措置内容】
営業時間の短縮 営業時間は、5時から20時まで酒類の提供は11時から19時まで(但し、4月28 日からは終日停止)カラオケ設備の利用の自粛路上・公園等における集団での飲酒の自粛

さいか屋横須賀店

 2月に閉店し、3月に小規模店として再開業

 令和3年2月21日さいか屋横須賀店は、明治5年(1872年)に創業し三浦半島唯一の百貨店として地域住民に親しまれていたが、149年の歴史に幕を下ろし営業を終了した。

 しかし、閉店を惜しむ地元の声などを受けて、売場面積を約3割程度、従業員を約半分に縮小したコンパクトな形で、3月6日に「SAIKAYA YOKOSUKA SHOPPING PLAZA」(愛称)として営業を再開した。

 店舗運営面では、働き方改革を意識してテナントや協力会社も賛同できるよう営業時間の短縮や定休日の設定を行い、少人数で運営するローコストオペレーションでの営業体制の確立を目指し既存建物の低層階を活用している。3〜5月は売り場面積が約半分となった中で前年並みに推移も、重点措置の影響で厳しい状況続く。

 リニューアル後のさいか屋横須賀店の売上状況について、中野宏治取締役営業本部副本部長によると「今年の3月~5月は、規模が縮小し、昨年と単純比較はできないが、昨年臨時休業で営業できなかったフロアはプラス、営業していた食品関連は若干マイナスで合計前年並み。4月18日からのまん延防止等重点措置により主要顧客が高齢者ということもあり、来店頻度が明らかに減少している。飲食店については宴会が出来ないため厳しい状況にある。こうした厳しい環境下ながら、お中元・お歳暮で乗り換えキャンペーンという施策をここ数年開催しており、昨年の中元歳暮では横浜エリアの百貨店からの乗り換え客が多く感じることが出来た。」

 コロナウイルス対策の外出自粛要請の長期化により、これまで横浜まで出かけていた顧客が、地元の横須賀に回帰しているようである。

働き方改革を意識した時短営業と定休日の設定は好評

 3月から始めた18時閉店や、百貨店では珍しい定休日について、テナントや協力会社は以前からの要望に応えてくれたと好評とのことであった。

 ただ、6月1日以降は1階と地下1階の営業時間を18時30分に拡大した。これは階上で実施しているワクチン接種の最終ブロックが18時からとなっていることに対応し、営業時間を30分拡大したもの。

売場縮小により空いたスペースはワクチン集団接種会場に

 売場の縮小による空スペースの活用策として、市民の健康の為になればということで横須賀市に新型コロナワクチンの集団接種会場としての利用が決定したことから、5月から横須賀市に5Fと6Fの2フロアを、接種会場として貸し出している。

 さいか屋は、ワクチン接種特典として接種後に受け取る「新型コロナワクチン予防接種済証」を提示すれば、店内約50ショップで無料プレゼントや5~30%程度の割引が一定期間受けられる取組みにより接種を後押ししている。

 さいか屋でワクチン接種を終え、そのまま階下に降りて買い物を済ませる人も多く、1日当たり1000名近い来客数が増加しているという。

 接種会場で接種を受けた人に、さいか屋での接種についてインタビューしたところ、「会場は広くて、市の職員の案内や誘導がきっちりしていて流れはとてもスムーズでした。接種はすぐ終わったので、これから下で晩の惣菜でも買って帰ります。」「さいか屋はしょっちゅう来ているので場所も良く分かるので便利です。」と市の中心部に位置し交通の便が良く、市民に昔からなじみ深く、しかも広いスペースがあること等が市民に受け入れられているようだ。

150周年記念事業とAFC – HDとの資本業務提携等による新百貨店像構想

 令和3年4月16日、さいか屋は、健康食品製造のAFC – HDアムスライフサイエンス(本社:静岡市、浅山雄彦社長)と資本業務提携、第三者割当による新株式の発行によりAFC – HD社の子会社になった。

 5月14日に公表された「資本業務提携に伴う今後の業務計画」によれば、22年度に創業150周年記念事業を、22年度以降に「新百貨店像構築」に向け検討を進めている。

 「149年にわたり築きあげた暖簾と、湘南地区から三浦半島に位置する唯一の百貨店といる地理的特徴に加え、オンラインでの接客や老若男女が楽しむことができる複数のコンテンツを融合させた長時間滞在型の新百貨店像構想を持つAFC – HD社グループのアイデアを掛け合わせることで付加価値が高く専門性と娯楽性にとんだ商品・サービスを提供していく」としている。

 21年度第3四半期以降順次 さいか屋横須賀店の活性化策として、AFC – HD社による飲食店の出店と、その後のグルメ天国、ふれあいペット王国(ペットショップ)、こどもの国(プレイランド)、いこいの園(高齢者が集う施設)等の展開の実現に向けた検討を行っている。

 横須賀市の人口は、1992年の43万5337人をピークに、38万9302人(21年5月1日現在推計値)に減少しているものの、7月1日には、横須賀と新門司を結ぶ新航路「東京九州フェリー」が就航する。新門司は韓国とのゲートウェイでもあることから、今後インバウンド客の期待も高まる。さらに、京急グループによる三浦半島のエリアマネジメント加速(城ケ島に高級温泉旅館等)も期待される中、さいか屋横須賀店がどのような新百貨店像を実現するかが注目される。

地方百貨店の時代 その18 – 車への対応

デパート新聞社 社主
田中 潤

 日本は戦後アメリカ至上主義の下、アメリカ文化が民主主義の基本であるかの如く徹底して受入れた。自動車の普及は代表的な事柄で、モータリゼーションの名の下、すべての家庭が自動車を生活必需品として持つことを一つの目標の如くした。アメリカと異なり、狭い国土で本当に誰もが車が必要かどうかの議論はなされず、都市設計も進んだのである。

 今、若い人を中心に車離れが著しい。どうしても車が必要なのは地方の高齢者であるが、これも車政策を全く違う形で行っていたらまた別の結果になっていたであろう。都市中心部まで車がぱっこする形をとったた めに、今商店街はシャッターが閉じられ、ゴーストストリートと化したところが多々ある。結果的に、その商店街と共存を進めたデパートも集客において厳しさを増している。そもそも、日本の場合、買い物に行くのに自家用車を使わず、徒歩や自転車で行くことが出来る街づくりが必要なのである。どうしても遠い人・高齢者には公共交通機関を徹底して配備する。そんなに長距離区間を運行するわけではないので、採算的には十分可能なはずである。一方で、交通混雑を避けるために、各個人の車の所有を減らしていく政策も必要である。

 車の数が減って公共交通の運行が便利になれば、多くの人は車を手放すだろう。ここが重要なのだが、デパートと商店街のある主要地域は車の乗り入れを禁止し、人が余裕をもって散策できるスペースをふんだんに設けることである。これによって、デパートを中心にした一つのアミューズ空間が出来上がる。車で来た人には、離れた場所に駐車場を設け、そこから徒歩ないしは商店街の車で代行運行をするという形をとる。駐車コストも大幅に下げることができ、事業者も利用者も駐車に関する様々な煩わしさから解放されるのである。この形をとることができるのは地方百貨店であればこそだ。大都市の商店街・デパートでは距離的にも駐車スペースの余裕を持ち得ないからである。日本の今後の定常型社会を考える時、個々の家庭に車は不要である。そのためのナビゲーターとして地方百貨店は、街づくりを進めなければならない。

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 コロナウイルスでの政府の対応は疑問の連続であるが、記者の質問にも菅さんは禅問答のごとくまともな応答をしようとしない。

 変異種のインド株が何故やすやすと日本に入り込んだのかにも知らん顔。それで「オリンピックは万全な態勢でやります」というのは、いささか国民感情を粗末に扱い過ぎているのではないか。

 高齢者へのワクチンの予約の方法も、行政が整理券を出して順番に配布すれば、誰も文句はなかったはずなのに、わざわざ自由競争という市場論理を持ち込んで申し込みパニックを引き起こしたのもあまりにも不思議な政策だ。高齢者を興奮状態にさせ、とにかくワクチン接種へと駆り立てたのだろうか。結果的に後味の悪いことが続出している。

 人々の見識を貶めるようなことを続ける政治家の心の賤しさを感じてしまうのである。

無駄の物語 part14

犬懸坂祇園
作詞、作曲などをしております

 世界的環境破壊の影響で、日本でもしばしば大きな災害に見舞われるようになった。災害が起こると被災地に支援ボランティアの方々が駆け付け、無償で被災地の人々のために生活復旧の手伝いをする。公益的扶助の最も顕著な例と言えるだろう。
「困っている人を助けることができた」という自己実現の実感がボランティアの方々の心に残るとしても、利益とは全く無縁な行動である。利益を目的としないという意味でそれは筆者の定義では「無駄なこと」になるのだが、むろんこれをそのまま肯定する人はいないだろう。だからこそ、「無駄」という言葉の新しい解釈につながることを期待して、こうした活動を「無駄なこと」の典型的な例として発信したい。「無駄」こそが脱資本主義と地球環境の再生を目指す人類にとって重要なキーワードになると考えるからだ。

 ボランティアの方々が去った後も、公益法人・NPO法人などの非営利団体が被災地支援の様々な場面で活躍する。これは、しばしば行政の画一的な仕事を遥かに超えて、被災者のための具体的サポートとなる。

 こうした長期的な公益活動は全く利益を生むものではなく、その一方で日々の被災者とのコミュニケーションには計り知れない緊張感と重圧がある。相手の立場を考え、相手のために自らがそこにいるということを意識し続けなければならないからである。公益活動の日々は挫折の連続であり、達成感などほとんどない。だからこそ、「無駄なことをする」ことを前向きな活動として捉えなければならない。「上手くいかないから、止める」という思考は、公益活動においては自分本位で非常に危険なのである。「上手くいかなくてもやる」という忍耐力、そしてそのための前向きな理念としての「無駄なことをする」という言葉を、いかに肯定 的なものに変えていけるかが、定常型(トントン)社会での公益活動においては最重要である。

連載:デパートのルネッサンはどこに有る? – コロナ禍の1年 百貨店の今 3

コロナ禍の1年 百貨店の今3 デパートの経営を蝕む緊急事態宣言の呪い

百貨店の多くは平日全館営業、土日は生活必需品を除き休業

【5月31日】

 東京、大阪など9都道府県に出されていた緊急事態宣言が6月1日、再度の延長期間に突入した。

 先月23日から発令中の沖縄県を含め、6月20日の日曜日まで続く。宣言が1ヶ月を超えた東京や大阪では、人流を抑制したことで新規感染者数は減少に向かっているものの、経済活動をストップさせた、ことにより、別の弊害を生み出している。専門家は緊急事態宣言の矛盾を是正するよう、声を上げている。

 緊急事態宣言の延長に突入する東京の31日の新規感染者数は260人となり、300人を下回るのは4月5日以来。大阪も同じく98人となり、100人を下回ったのは3月22日以来だ。何だかずいぶん昔の様な気がする。前回、前々回と比べ、宣言の効果が鈍くなっているのは明らかだ。

 大阪府の吉村知事は報道陣に「感染の大きな山は抑えられている。宣言延長になるが、感染再拡大を防いで減少を確かなものにする。逼迫している医療体制を解消していくことが重要」と府民に20日までの協力を求め た。

 本当に宣言の効果が出てきているのかは疑問だが、防災や危機管理の専門家からは「毎回毎回宣言を出せば引き締まるといった対応で、昨年から同じコトの繰り返しだ。政府も分科会も一切検証を行っておらず、宣言エリアの住民が、規制のない郊外、他県へと移動、越境して密を作っている、といった問題にも、何ら対策がされない」という厳しい指摘もある。 宣言延長で東京、大阪などの独自措置が一部緩和されたが、飲食店への時短営業や酒類提供の自粛などの要請は変わっておらず、支援内容にも大きな変化はない。

 時短営業は現状、デメリットの方が多くなっているという指摘も出始め、「むしろ営業時間を長くして客に分散利用させるべきだ。深夜帯の利用を促進し、一日の人の流れを標準化させれば、ある程度、企業の雇用も守られる。時短一辺倒と禁酒法の様な統制では事業主がもたない」として、逆に営業時間の延長を提案している。筆者も理にかなった提言だと思う。

 緊急事態宣言の最大の問題点は、業種や業態により規制や、受けられる支援に差があるのに、明確な説明がなされていない、ということだ。

 支援の網から外れた経営者や従業員は、いつまでも同じ状態が続くことで不満も出てくるし、「生活のために営業再開か、もしくは自殺しなきゃならない」といった、文字通り死活問題になってくる。第1波の時とは まったく違う状況になっており、こうした矛盾の是正が必要なのだ。

 その上で、知事が住民に対し、さらなる「お願い」だけを繰り返すことに「精神論みたいな話で指摘する矛先が違う。国民はすでに疲弊しきっているし、国に向かって矛盾の是正を指摘するのが先だ」という主張はもっ ともだ。

 東京を含む首都圏では、百貨店を始め、ほとんどの商業施設は、土日を含めた「営業再開」に舵を切った。このまま我慢をして「お上の決めたルール」を守っていても、「誰の得にもならない」からだ。

 ビートたけしのギャグ標語ではないが、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という状態だ。

続きは デパートのルネッサンスはどこにある? 2021年06月15日号 を御覧ください。

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