4月インバウンド売上高、2ヶ月連続マイナス

円高と前年急伸の反動減

 日本百貨店協会が5月23日に発表した4月の百貨店インバウンド売上高(免税売上高)は、22年3月以来3年ぶりにマイナスに転じた前月に続き2か月連続のマイナスで、前年同月比26.7%減の439億4千万円だった。

 花見シーズンで購買客数は4月としては過去最高を記録した。円安と高級ブランド品の値上げ前の駆け込み需要から高額品を中心に前年の2.9倍に売上が急伸した昨年の反動や、為替の円高傾向により訪日客が日本で消費するメリットを小さくしたことから高級ブランド品など高額品への慎重姿勢が強まった。化粧品・食料品などの消耗品は引き続き好調で前年比15.6%増の82億7千万円であった。

 一方、インバウンド売上高を含む4月の全国百貨店売上高は、食品物産展やGWのファミリー向け催事等が好調で食料品が10か月ぶりに増収(1%)に転じたが、インバウンド売上高の2桁の減少により4.5%減と3カ月連続のマイナスで4232億円だった。なおインバウンド売上高が全国百貨店売上高に占める構成比率は、国内の落ち込みがより大きく、前月の8.9%から10.4%に上昇した。
(図表1、2、3、4参照)

購買客数、4月として過去最多52万人も低い伸び

 4月のインバウンド購買客数は、前年同月比3.1%増の52万1千人で、4月としては過去最多だった。しかし、前年比の伸び率は24年2月(161.8%)以降、ほぼ右肩下がりで4月は最低の3.1%の伸びに留まった。

 国別では、前月に続いて中国が最も多く、次いで台湾、香港、韓国、タイ、シンガポール、マレーシアの順であった。4月13日に開幕した大阪・関西万博後は、メインのアジア圏のほか欧米や中東などからの来店が増加した。

一人当たり購買単価 高額品買い控えにより5年ぶり低水準

 高額品の買い控えから4月の一人当たり購買単価は、2月以来3ヶ月連続で低下し、前年同期比28.9%減の約8万4千円と20年2月以来の最低水準に落ち込んだ。

売上人気商品、化粧品・ハイエンドブランド・食料品・婦人服飾雑貨

 売上の人気商品は、前月と変わらず化粧品、高級ブランド(バッグ、時計、宝飾品など身のまわり品)、食料品、婦人服飾雑貨、婦人服だった。訪日客数、単月で過去最多390万人 2か月ぶりに記録更新

 日本政府観光局(JNTO)が5月21日に発表した4月の訪日外国人客数(推計値)は、前年同月比28・5%増加し単月で過去最多の390万8900人だった。これまで最も多かった25年1月の378万1629人を2か月ぶりに上回った。春の桜シーズンによる訪日旅行人気の高まりや、中国からの旅行者が戻ってきたこと、イースター休暇に合わせ欧米豪から多くの観光客が来日したことが主な要因である。   
(図表5参照)

訪日客数、トップは中国、次いで韓国、台湾、米国、香港

 国・地域別の順位は、中国からの訪日客が76万5100人と3か月ぶりに最も多く、次いで韓国(72万人)、台湾(54万人)、米国(33万人)、香港(26万人)の順で、この上位5ヶ国が全体に占める比率は67%と前月の69%から低下し、他の諸国が伸びた。前年同月比で最も大きく伸びたのはロシア、スペインで100%を越えた。

 中国は、福州〜中部間の新規就航や、北京〜関西間、上海〜福岡間の中国各地からのフライト増便や清明節休暇の影響で前年同月比43.4%増加し、4月としては過去最高を記録した。

 韓国は、為替レートがウォン安傾向になったものの仁川〜石垣間の新規就航や仁川〜米子間、金浦〜関西間等の増便や、仁川〜神戸間のチャーター便運航等により前年同月比9.1%増加し4月として過去最高を記録した。

 台湾は、高雄〜関西間の増便、台北桃林〜神戸間、台北桃林〜大分間のチャーター便の運航と航空便の座席数増加やクルーズ船寄港に加え4連休の影響により前年同月比16.9%増加し4月として過去最高を記録した。

 米国は、昨年は3月下旬だったイースター休暇が今年は4月中旬になったことや、日本人気が継続したこと、幕張で開催された映画関連イベントの影響もあり前年同月比43.1%と大幅に増加し4月として過去最高を記録した。

 単月で過去最高を更新したのは、インド、カナダ、メキシコ、英独仏伊、ロシア、北欧地域、中東地域の10国・地域。

 4月として過去最高を記録したのは、韓国、台湾、香港、シンガポール、マレーシア、フィリピン、ベトナム、豪州、米国、スペインの11の国・地域だった。
(図表5参照)

1―3月インバウンド消費、28.4%増加 宿泊費と飲食費比重高まり買物代変わらず

 観光庁が4月16日に発表した25年1―3月のインバウンド消費額(訪日外国人旅行消費額)の1次速報値は、同期間の訪日客数が1000万人を超えたことを反映して前年同期比28.4%増の2兆2720億円だった。構成比では宿泊費(33.4 %) と飲食費(22.5%)が、前年から増加した半面、買物代(29.3%)は、ほぼ前年と同水準だった。

 訪日客の日本滞在中の支出項目(購入者単価)は、宿泊費が8万753円(前年同期比7.4%増)、飲食費4万9103円(同10.2%増)と伸びた半面、娯楽等サービス費は1万6947円と20.4%減少し、買物代は6万5610円と昨年同期比4.1%の増加に留まった。

買物単価、微増 高額品買い控え

 買物代の内訳を見ると、昨年最も購入者単価が高かった時計・フィルムカメラが4万8891円に48%減となったほか、訪日客に人気の靴・かばん・革製品が4万5572円に10%減少し、宝石貴金属も6%減少し1月―3月の期間は高額品の買い控えの動きが見られている。一方、化粧品は10.4%増加し、菓子類も5.5%増加した。
(図表6参照)

買物代は中国が突出

 国籍・地域別の買物代は、中国(2223億円)が突出しての首位で、次いで台湾(1052億円)、韓国(729億円)、香港(495億円)、米国(467億円)。

 一方、一人当たり買物代は平均6.4万円で、最も大きいのは中国(10.3万円)、次いでロシア(9.9万円)、シンガポール(8.7万円)、香港・マレーシア(7.7万円)の順であった。

トランプ関税と円高による消費への影響に注目

 今後トランプ大統領の関税・通商政策による世界経済の動き、円ドル為替レートの動向が訪日外国人の消費に与える影響に注目が必要であるが、日本政府は、2030年に「訪日客数6000万人、インバウンド消費額15兆円」を目標に掲げ、国策として地方誘客策や成田空港の滑走路の新増設や福岡、関西空港などの受け入れ機能強化など様々な取り組みを行うとしており、中長期的にインバウンド消費の拡大は続く見通しである。