地方デパート 逆襲(カウンターアタック)プロジェクト そのその50 CA プロジェクトの松菱百貨店での(その6)

7階特設会場が選べるガチャガチャで大変身

むき出しのカプセルトイが3万個

 令和6年冬から、7階特設会場では選んで買えるガチャガチャの大販売会場「ガチャガチャランド」を常設で展開しています。約1000種のカプセルトイを顧客が自分で手に取って選ぶことができる、日本最大の選べるガチャガチャカプセル購入フロアとしてアピールしています。

 長い間人気の続くガチャガチャですが、多くのアミューズメント企業が高いレベルの企画力と製造能力を有し、組織化された計画生産をしています。消費者がいわゆる少数の当りと多くのハズレのカプセルトイをガチャガチャの機械を回して、小さな投資をするという買い物の仕方は薄れ、一つのガチャガチャ機械の中のキャラクターはどれも魅力あるものとなっています。つまり、ハズレがなくなっているのです。

合理的に欲しいカプセルトイを選ぶ

 顧客は、ガチャガチャの機械を何度も回して欲しいキャラクターにたどり着くのではなく、一つの機械の中に入っている1シリーズ5~6種類のキャラクターの中から自分の欲しいモノだけを一つだけ最速でゲットしたい、或いは5~6種類のキャラクターを合理的に一揃え(コンプリート)したいという方が圧倒的に増えています。つまり、製造会社の商品提供能力に対し、販売現場の販売方法が必ずしも適切に機能しているとは言えないのです。選べるガチャガチャは自分の欲しいものを支出を最小で手に入れることが出来る爽快さがあります。また、一つ一つ手に取って品物を調べることで、顧客はその商品に対する造詣も深まり、カプセルトイへの愛着も高まっていきます。選べるガチャガチャは、大きく進化したガチャガチャカプセルトイの魅力を顧客にストレートに伝えるには大変有効な手段なのです。

公益事業としての選べるガチャガチャ

 ところで、CAプロジェクトは選べるガチャガチャの販売を公益事業と捉え、ここで生じた収益金はすべて東日本大震災雇用・教育・健康支援機構により被災地や全国の児童福祉施設に新たなカプセルトイを購入して無償で頒布し続けています。

 ガチャガチャカプセルトイの楽しさを少しでも多くの子供たちに味わってもらおうという取組みです。クリスマス会・お楽しみ会などでは、各施設の先生が段ボールで作ったガチャガチャ機械などを使って、カプセルトイを一つずつ子供たちに選ばせているところも多々あります。ワクワク感を高めるという意味で、こうしたガチャガチャこそ、本来の大切なガチャガチャのシステムが活かされていると言えると思います。

地方から都市へ―逆流の始まり

 更に、会場には全国で唯一の手づくりスマートボール台を用意し、家族みんなが一時興じられるスペースも作っています。スマートボールとは、プラスティックの玉を手元のレバーで弾いて、盤上の穴に入れることを競うゲームで、穴一列全部に玉が並ぶと″ビンゴ〟となり、商品がもらえるという仕組みです。

 既に令和6年夏に「夏祭り」と題してスマートボール台を2台用意し、一家団欒を感じられる場ができたことは立証済みです。多くの家族がゲームを楽しんだ後に、ここにしかない食堂で食事をし、食べる本屋も覗いてみようという流れを作って行きます。デパート内部で有機的な連携が生まれていくわけです。

 現在、週末には西日本どころか、関東地方からもこのために松菱に来店される顧客が増え続けています。平日でも大阪や愛知などから目的客が引きも切らず訪れます。CAプロジェクトの目指す都市部からの地方への顧客の逆流すなわち逆襲プロジェクトが進行しているのです。