税と対峙する – 11

平成15年10月5日号(第2258号)

外形標準課税の来年春の施行を延期させよ
秋の陣が正念場だ

 税法の改正は通常12月の自民党の税制調査会で事実上、具体的骨子が固められ、年末までに改正大綱が政府から発表される。

 そして翌年の国会で審議された上で法案が可決されれば翌年4月から施行されるという流れとなっている。

 現在は連立与党の安定政権となっているので政府案はそのまま施行へと移行することになるわけだ。

 ところで事業税の外形標準課税については、こうした流れで今年の春に法案が成立しているのだが、施行は平成16年春からということになっている。

 弾力的な措置として1年間の猶予期間をおいたわけである。

 したがってこのまま何事もなく進めば自動的に来年の春からの実施となるわけだ。

 では、それまでに何かあるとどうなるのか。

 その法案についての施行は凍結され、今迄のままの法律が継続することになる。

 たとえば最近ではペイオフ解禁の実施延期がはかられ、現在でも定期預金の元金は無制限に保全されていることなどは良い例だ。

 これなども経済状勢をみながら政府が行政判断で行ったものである。

 ひるがえって考えた時、国民経済は深刻な不況にある現在、消費経済に重大な冷水を浴びせかねない外形標準課税の実施延期は必至の政策と考えられる。

 むろん、それを訴える経済界の要望は一気呵成に行わなければならない。

 秋から冬にかけてのこの数ヶ月が非常に重要な時期なのである。

 折りしも衆議院総選挙が近く行なわれる。その争点にこの点を織り込み、議員たちに選挙後の努力をさせるような働きかけをさせることが必要である。

 百貨店において全くメリットがなく、単に負担だけが大幅に増える事業税の外形標準課税の阻止は百貨店税対策秋の陣の最大の課題である。