地方デパート 逆襲(カウンターアタック)プロジェクト そのその47 CA プロジェクトの松菱百貨店での(その3)

 今回も引き続き、食べる本屋さんの展開のお話です。食べる本屋さんの運営方法は、次のとおりです。

(1)事業内容 ★全国の出版社に本棚を無償で貸します!

 食べる本屋さんに出品していただく全国の出版社さんには、それぞれに今迄大きな実績をあげられた本や、「こんなに素晴らしい本なのに、まだ世に出ていない」本等があろうかと思います 。食べる本屋さんを通じて本の目利きの皆さんに、多くの方に小さな幸せをもたらす珠玉の本をご提案いただくわけです。本のプロが独自に選んだ本への熱情をお示しいただくのです。

 具体的な展開を挙げていきましょう。

①出品された本を丁寧に配置した本棚の設え

 壁面を中心に本棚を据え、出版社さんを中心に無償でこのスペースを貸出します。いわゆるシェア書店でよくある画一の棚ではなく、棚の形状をいろいろ変えて、お洒落なスペース貸しをしています。また、一部食べる本屋さんオリジナル本棚も設け、CAプロジェクトに関する本や食べる本屋さんを立ち上げるにあたって店のブランディングを担当した、作家の高殿円さんの著作などを提示しています。高殿さんは現在、デパート新聞に「パフェ屋のパフェ子さん」の連載小説を執筆しています。デパートを舞台にした上流階級で人気を呼んだ高殿さんの「パフェ屋のパフェ子さん」の舞台は松菱百貨店をイメージされているとかいないとか。

②本とともに、本屋で販売する商品のディスプレイ

 本の関連グッズ、文房具、食品、雑貨の販売も行っています。

③食べる本屋さんのスペース内にミニ飲食、歓談スペースを設置

 10人くらいが座れるテーブルを設置し、来店者が歓談できる場を作り、ローストのコーヒーなど店内の喫茶室のメニューを注文して喫茶できるようにします。著者を呼んでのミニ講演会や、地元の有志による俳句会などの開催を予定しています。

④本と関連した商品の紹介

 本で取り上げられている雑貨や食品など、デパートの売場で展開している商品を紹介します。

⑤出張本屋事業の展開

 新たに導入する松菱マッピー号―ディスプレイ機能のある移動デパートバス―に本を陳列して、遠隔地への出張の準備をしています。

⑥絶版本の発掘

 大手出版社の怠慢で貴重な本が簡単に絶版となっています。著者や関係者からの要望を受け、食べる本屋さんでリトルプレス(非流通の本)のような形で販売できる形を作ります。現在も、時代小説では最高峰の作家といわれる山本周五郎作品の埋もれた傑作などを再発掘して作るべく、山本周五郎記念文化事業団と遺品展示なども含め準備を進めています。

(2)場のイメージの発信 ★みんなで店を作っていきます!

①コミュニケーションを発信する場としていきます。―食べる本屋さんからデパートの他のフロアにも行事を波及させます―

 CAプロジェクトで運営する7階の特設会場での発表会・討論会・大規模講演会、デパートを離れて本に関連したイベント開催(農業体験、知られざる観光地巡り、本に載っている飲食店へのグルメツアーを著者とともに体験)などを、今後進めていきたいと考えています。

 食べる本屋さんでのイベントで2月に行なわれるのが、三重県津高校図書部の皆様による推し本コーナーの設置です。本好きの高校生たちが、自分たちが面白いと思った本を持ち寄り、ポップ等を使ってアピールをする活動です。これは、移動本棚(伊賀白鳳高校木工部が製作してくれた黒板と本棚が融合した逸品です)に推し本を設置するという方法で、食べる本屋さん内にディスプレイします。また、ビブリオバトルという、読んだ本について各人が多人数の前でアピールしてその功拙を競うイベントも開催します。発表者には自己啓発になり、アントレブレナー精神を育むという効果があり、今は大学生・高校生の全国大会も活発に行なわれいます。このイベントを行うことで地域の将来を担う若者と異なる世代の人々がコミュニケーションをとることで、新たなご縁を生んでいくことになります。まさに、CAプロジェクトが目指すところなのです。