税と対峙する – 8

平成15年 9月5日号(第2256号)

日本百貨店協会を中心に税制改正の要望の全うを
外形標準課税の実施を阻止せよ

 日本百貨店協会は来年度の税制改正に対する要望を7月の理事会で決定した。今後年末に向けて関係省庁や国会議員等への働きかけが行われることになる。こうした要望は毎年行われるのだが簡単に通るようなことは、ほとんどないのが現状である。どこの業界でもそれぞれの立場で要望を行っており、一つ一つ丁寧に話を聞くような考え方を行政は全く持ち合わせていない。もちろん要望することは絶対に必要な事であり、しなければ税環境の改善が進まないのも事実である。協会のこうした活動により過去にも物品税の廃止、商品券課税の撤廃など百貨店にとって足かせとなっていた極めて重要な税制の改正が達成されている。直接営業現場では、その効果は目立たないかも知れないが百貨店の財務力はこうした努力により相当なプラス効果を与えられたといえよう。ところで今、デパートが税制上おかれている立場は過去のそれと比べても極めて深刻である。それは営業現場や経営体質そのものを揺さぶる激しいものであるといえよう。そして今回の要望で第一に掲げた「外形標準課税の導入延期」、第二に掲げた「消費税率凍結」は群を抜いて重要なものであり、何としても成果をあげなければならないものである。むろん、ただ要望するだけでは壁を破ることはできない。協会主導の下、業界一丸となって二の矢、三の矢を放っていかなければならない。

 さしあたっては今秋に行なわれるであろう衆議院総選挙である。業界の要望を受け止める政党・政治家をバックアップしていきながら具体的な協力を求める形を堅実につくっていくことは大切だ。

 またデパート業界の現在の税環境の実態をマスコミを活用してアピールすることも一つの手法である。

 ところで、今回の要望で気になるところがある。それは来年度から実施される消費税の「総額表示の強制制度」に対して言及していない点である。本紙でも強調してきたように粗利益率の低下や現場の事務負担などこの問題も今後のデパートの経営上重大なマイナス要素をもたらす可能性のあるものである。行政の動向に十分に注意し、施行細則の取り決めなど実施に当たり現場が混乱したり、経営上不利益にならない要望なども訴えていく必要があろう。