月インバウンド売上高514億円、 初の年間5861億円に
日本百貨店協会が12月24日に発表した11月の百貨店のインバウンド売上高(免税売上高)は、人気の紅葉シーズンと円安の追い風を受け、32か月連続増加し、前年度比30.4%増の514億8千万円と11月としては過去最高を記録した。
その結果、24年1~11月のインバウンド売上高累計は5861億円となり、23年の年間売上高3484億円を約68%上回った。
※図表1、2参照
一方、国内を含む11月の全国百貨店売上高は、気温の低下に伴い冬物重衣料を中心に防寒商材が良く動き前年度比3.4%増の5167億円だったことから、免税売上高が全国百貨店売上高に占めるシェアは10.0%に低下した。
購買客数過去最高52万人11月までの累計数も過去最高の18年超え
11月の購買客数は51万8千人で11月としては最高を記録し、19年11月の40万9千人を3割上回った。1月~11月の購買客累計数は、543万8千人と過去最高だった18年年間購買客数524万1千人を超えた。
国別では、前月と変わらず中国が最も多く、次いで韓国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシアの順であった。
売上人気商品、化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨
一人当たり購買単価は約9万9千円で19年同月(6万4千円)を5割上回った。
売上の人気商品は、化粧品、ハイエンドブランド(ラグジャリーブランドのバッグ、時計、宝飾品等)、食料品、婦人服飾雑貨、紳士服・洋品だった。
11月までの累計訪日客数、過去最多の3338万人
日本政府観光局(JNTO)が12月18日に発表した11月の訪日外国人客数(推計値)は、前年度比30 ・5%増加し同月として過去最高の318万7千人だった。コロナ前の19年11月比の回復率は131%となった。その結果、1月~11 月訪日客数累計は過去最多の3338万人となり、12月は11月よりも増加が見込まれ、観光局は、今後このまま順調にいけば3500万人を達成すると予想している。
航空便数が19年の水準に回復したことに加え、円安や紅葉シーズンによる訪日需要の高まりが引き続いたことや、インバウンドの7割を占めるアジア諸国(韓国、中国、台湾など)が19年11月比で約25%伸び、欧米諸国が約50%増加したことが数字を押し上げた。
インバウンドの宿泊の7割が三大都市圏に集中していることから、30年の政府目標の6000万人を達成するために、観光局は地方誘客にさらに取り組んでいくとしている。
※図表3参照
訪日客数、韓国首位、次いで中国・台湾・米国・香港
11月の国・地域別の順位は、韓国が75万人で最も多く、次いで中国(55万人)、台湾(49万人)、米国(25万人)、香港(23万人)の順で、この上位5か国が全体の65%を占めた。
※図表4参照
中国からの訪日客数は、夏以降回復してきた。昨年の1月~11月累計数211万人から今年同期は638万人と3倍以上に増加し、11月にはコロナ前の19年の73%に戻った。
※図表5参照
日中双方のビザ緩和
11月22日、中国は11月30日から日本人の短期滞在ビザ免除措置を実施し、ビザなしの滞在期間を15日から30日に延長(25年末まで)した。日本政府も12月25日、中国人富裕層の一部を対象に有効期間が10年間の観光ビザの新設や、団体旅行で取得するビザの滞在可能な日数を30日間に延長するなどのビザの発給要件を緩和したことから、今後日中間の人的往来が増えるものと期待される。
1月~11月の中国からの訪日客数は638万人で、19年888万人と比較すると28%の減少になっており、19年比5割以上増加した米国や4割以上の韓国、豪州と好対照である。
※図表4参照
23年と今年の訪日外国人旅行消費額統計(観光庁)によれば、買物代の消費金額が最も大きな国は中国であり、中国人顧客の増加は免税売上高の増加を通して百貨店業界に大きな恩恵をもたらすことから、今後中国からの訪日客の行動に注目が集まる。
16の国・地域からの訪日客数、今年累計で過去最高
全23の国・地域別のうち、年間の累計が11月時点で更新した5の国・地域(韓国、香港、インドネシア、ベトナム、フランス)を加え、これまでに16の国・地域が過去最高を更新した。