税と対峙する- 6

平成15年 7月20日号(第2254号)

 今回は事業税の外形標準課税の課税項目の中で資本割額をとり上げてみたい。

 今迄は資本金の額の大小は都道府県・市町村に払う均等割の額に影響する程度であり、課税上注意されることはあまりなかった。

 ところで今回の事業税は資本金の額(正確には資本等の金額)に対して0.2%の税金が無条件に課されることになる。

 これが資本割である。

 各デパートにどの程度影響を及ぼすかを示したのが別表である。

 資本金額の多い高島屋・三越・伊勢丹は7000万円前後の新たな納税額が毎年定額で発生することになる状勢である。

 税額7000万円を稼ぐには粗利益30%とした場合、売上に換算して2億3300万円もの数字が必要になる。

繰り返すが、所得のいかんにかかわらず税金は払わねばならないので、内部留保資金から毎年これだけの税金を捻出することは非常に重い負担となっていくだろう。

 この法律の適用は平成16年4月開始の事業年度からとなる。

 この課税を推進した総務省や一部の学者の理論は、黒字・赤字法人あまねく行政サービスを受けており、一定の税負担は当然であるというところを根拠としている。

大手デパートの資本金に対する課税の影響

(資本金のみで試算)

資本金(億円)税率税額
高島屋3880.2%7760万円
三越3740.2%7480万円
伊勢丹3490.2%6980万円
大丸2020.2%4040万円
松坂屋970.2%1940万円

(資本等の金額=資本金+資本積立金額)

 しかしながら資本の金額の大小に着眼して税額が変わるのは不平等であるといわざるを得ない。

 なぜなら資本金は企業設立以来の出資の総額であり今現在その金額に応じて企業活動が活発であるとはいえないからである。

 たとえば数十年来の赤字で資本金を食いつぶしている企業の場合、今はほそぼそと事業をしていて、行政サービスなどもわずかしか受けていないとしても、表見上の資本金で課税されてしまうことになる。

 安定税収を得るための手段として容赦なく担税力のない企業にたいしても「企業活動をしてサービスを受けている」という名目が画一的に使われるわけである。

 さて、デパートの場合も、地域社会への貢献等公益的な側面をもっていること、所得の割に資本金が多いことなどこの課税要素にたいしては納得できない点が多い。

 デパート業界は当然ながら強く反発していかねばならない
だろう。