昭和24年10月創刊

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税と対峙する

税と対峙する – 3

平成15年 6月5日号(第2251号)

 外形標準課税が実施されると事業税は現在の所得に対してのみ課税されている形でなくなる。

 新たに給与、賃借料、利子、利益、資本、の5つの要素(付加価値額)が課税上のポイントとして浮上してくる。

 今回はデパートが最も影響を受けやすい給与について触れてみよう。

 企業は人を雇って事業を推進する。

 あまりにも当たり前の話であり、課税上も最も介入しにくい聖域であった。 この雇用という形について一定の事業税(収益配分額)が発生することになる。

 この場合、何人雇っているかということではなく、給与をいくら払っているかが算定基礎になる。

 たとえば社員100人に年総額5億円の給与を支払っていたとしよう。

 今迄は全く税金に関係なかった支払いが今回の外形標準課税の導入でその0.48%が税金として流出する。

 5億円×0.48%=240万円。

 これが新たに発生する税額である。

 また給与の他に外注で雇った派遣社員等に支払った金額の75%は同じく給与とみなして課税対象に加えられる。

 仮に1億円外注費を支払っていたとすれば1億円×75%×0.48%=36万円が税額となる。

 240万円+36万円=276万円が新たな納税額となるわけだ。

 ここで注意してほしいことは企業の規模が大きくなり人件費の額が増えた場合の減額措置、いわゆる頭ハネがないことだ。

 企業というのは大きくなればそれだけ儲けが多くなるという性質のものではない。

 大きくなれば人件費は当然増えるが儲け=所得は別ものなのである。

 今迄は所得課税だったのでどんなに大きくても赤字であれば事業税は免除されてきたが、今回の課税は容赦がない。

 大きくなればなるほど納税額が増えてしまうのだ。

 仮に給与が10億円になれば前記の金額は480万円になり、100億円になれば4800万円の税金が自然に加算されてしまうのである。

 今迄全く想定されていなかった事態が突然に起こってしまったとしかいいようがない。

 社会的に雇用の問題が重大なテーマとなっている今、多くの雇用を創出しているデパート業界にとっては極めて不合理な課税といえよう。

 尚、計算上は給与の額が給与と賃借料と支払利子の合計額の70%を超える部分には課税されないこととなっている。

 さて、外形標準課税の納税額はこれだけではない。 次回は賃借料、利子等についてみていきたい。