日本の百貨店のあゆみ 7 ~ 松屋百貨店

個性派百貨店「松屋」への道150年を辿る

横浜石川町で誕生した呉服店「鶴屋」

1869年 初代古屋徳兵衛横浜石川町に鶴屋呉服店を創業

1880年 古屋組を組織。規則を制定(古屋組の組織、役員、組員の職務内容、権限、待遇などを規定)。店員教育として積裁法の研究・指導を実施(この頃、婦人の洋服・ショール・黒襟・前髪流行する)

1885年 鶴屋呉服店店舗を拡張

東京への進出

1889年 東京市神田区鍛冶町今川橋にある松屋呉服店(藤井善兵衛経営)を買収

1890年 今川橋松屋呉服店開店

1892年 東京神田大火により今川橋松屋呉服店は商品の焼失は免れたが相当の被害を被る

1897年 初代古屋徳兵衛、開業満30年を記念して「古屋家訓法」を制定

1901年 今川橋松屋呉服店、改築落成大売出しを三日間開催(二階に陳列場を開設、ショーケースを導入)

1902年 年俸を月給制度に変更

1903年 今川橋松屋呉服店を古屋合名会社松屋呉服店と改組。亀の橋鶴屋呉服店を古屋合名会社鶴屋呉服店と改組

1906年 今川橋松屋呉服店初めて女子社員を採用(半衿・袋物・小間物売場、電話係)

1907年 今川橋松屋呉服店では店舗を三階建洋風に増改築(デパートメント・ストア式の外観をそなえた東京で最初の建物)。商標を現松鶴マークに変更、客食堂を開設

事業の拡大

1908年 今川橋松屋呉服店、26新聞社とタイアップして第1回バーゲンデーを3日間開催(「○○デー」の元祖)呉服以外に、洋品の販売を始める。化粧品・帽子などを輸入する。

1910年 亀の橋鶴屋呉服店、隣地に増築中の三階建洋館落成(女子店員採用)

1911年 今川橋松屋呉服店、サマーコートを新製して売出す、時好に投じて評判よく流行。古屋藤八、二代徳兵衛を襲名

1913年 今川橋松屋呉服店和服裁縫部創設(松徳和洋裁専門学院の前身)

1916年 鏑木清方画伯による美人画のポスターできる(同画伯が百貨店のために画かれたポスターはこれだけという)

1918年 今川橋松屋呉服店、洋服の注文販売を始める

1919年 株式会社松屋鶴屋呉服店設立。二代・古屋德兵衛、初代社長就任。東京市内五大呉服店(松屋、三越、松坂屋、白木屋、高島屋)が懇親会「五服会」を結成(日本百貨店協会の前身)

1923年 関東大震災。主要店舗(今川橋、亀の橋)および付属建物商品などすべて焼失。一時店員を帰休させる。

1924年 横浜市伊勢佐木町吉田橋際に鶴屋呉服店新築開店。今川橋松屋呉服店店舗建築落成し開業。商号を株式会社松屋呉服店と改称。

1925年 東京市京橋区銀座三丁目に銀座営業所を開店(下足預り制を廃止、百貨店初のカフェテリア式大食堂にサンプル棚を設置)

1926年 本店を東京市京橋区銀座三丁目に移転

1927年 銀座四丁目に銀座別館落成

1929年 銀座本店屋上に龍光不動明王を勧請して入仏式を挙行

1930年 吉田橋横浜店増築開店(鶴屋呉服店を松屋呉服店と改称)

1931年 浅草店開店。東京駅・銀座松屋・新橋駅間に顧客送迎用の無料バスを運転

1932年 銀座本店一階中央ホールにおいて子供服ファッション・ショー開催

1934年 横浜伊勢佐木町に株式会社鶴屋を設立(後に株式会社壽百貨店に商号変更)

1935年 銀座開店10周年記念行事挙行

1936年 古屋惣八取締役社長に就任

1937年 和服加工部を私立松屋実践裁縫女学校と改める

1938年 三代古屋徳兵衛(古屋祐次郎)三代目社長に就任

1939年 食料品の製造・販売を目的に株式会社瑞穂を設立

1940年 松友会設立。財団法人松徳学園設立

1941年 太平洋戦争勃発

1944年 株式会社壽百貨店の店舗を横浜店とし開店

1945年 東京大空襲 

1946年 GHQによりPXとして銀座店・横浜店全館接収、戦災により浅草店の店舗面積が減少する。そのため、将来復興に必要な人員を残し、その他の社員には特別退職金を支給して事業を縮小

1947年 私立松屋実践裁縫女学校を松徳和洋裁専門学院と改称開校

具服店から百貨店へ

1948年 商号を株式会社松屋と変更

1951年 浅草店屋上に、出世稲荷大明神を再建。学校法人松徳学園設立認可

1952年 神田今川橋の土地を大阪銀行に売却 銀座店接収解除

1953年 銀座本店全館新装開店。横浜店接収解除 全館開店

1955年 銀座本店、ネオンサイン設置。社内報「松屋通報」(月刊)創刊。銀座本店七階にグッド・デザイン・コーナー新設

1956年 阪急数寄屋橋店開店。銀座本店、空中エスカレーター完成(名称は、公募の結果スカイ・リボンとなる)。銀座本店八階に大食堂を開設。株式会社みずほ設立

1957年 地下鉄丸の内線西銀座駅完成し、松屋通り誕生。

1960年 浅草支店屋上に「コドモ動物園」誕生

1961年 銀座店1階正面の床石に2億年前の巻き貝(学名 ベレロフォン)の化石が浮き出る。

1964年 東京オリンピック。銀座店2月定休日に出火。5月には改修・増築開店(3丁目のワンブロック全体を占める)。地下鉄銀座総合駅完成し数寄屋橋阪急・松屋・銀座松坂屋・三越銀座店・そごうの五店で共同広告

1967年 この年、全国百貨店の売り上総額は1兆1046億円とはじめて1兆円を突破する。

1969年 創業100年

オイルショックの影響で経営難~再建へ

1970年 船橋松屋開店

1971年 銀座コアオープン

1973年 松屋主宰の「エコー」と伊勢丹主宰の「十一店会」が合併しA・D・O(全日本デパートメントストアーズ開発機構)発足。伊勢丹との業務提携を行い関係を強化していく。山中 鏆が、松屋再建のため伊勢丹社長小菅丹治の命を受け、松屋副社長に就任。後に百貨店経営の神様と呼ばれる。

1974年 古屋龍太郎四代目社長就任、三代古屋德兵衛会長就任。船橋松屋閉店

1976年 横浜店閉店。銀座と浅草の2店舗体制となる。

1978年 山中 鏆副社長が、経営再建の一環として新Cl導入(コーポレートアイデンティティ)これが日本のCI導入史に残るプロジェクトとなった。また、社員への経営参加姿勢を促すため、閉店後に社員集会を開き、社員と直接討論をする機会を設けた。(松屋村塾と呼ばれている)これらの改革により、社員の士気を高めた。1970年山中が副社長就任当時600億円だった売上高が、1990年には1000億となり、銀座の人気デパートとしての地位を築いた。

松鶴マークから現行のMATSUYAマークへ

1979年 山中鏆五代目社長就任(1990年松屋再建の手腕を買われ、東武百貨店の社長への就任する。)

1980年 「グローバル松屋」プランを掲げる

1983年 銀座店のコンセプトとして「多特化大店」構想を掲げる

1984年 銀座開店60年「生活文化創造集団」松屋グループ企業理念へ
(銀座・有楽町百貨店戦争始まる)

「生活文化創造集団」

松屋は、創業からいつの時代においてもお客様と共にあり、お客様の生活の変遷に沿って革新を重ね、成長を遂げてまいりました。
現在、政治・経済から人々の価値観・気分まで、これまでの予測を超えて大きく転換し、時代の波はそのスピードとうねりを増しています。私たち松屋にも、今まで以上に時代を素早く捉え、変化に先んじて提案できる企業であることが求められています。
松屋グループは、百貨店を核に、常にお客様とともに「GINZA」を体現する企業グループとして歩んでまいります。松屋HP松屋グループ理念

1988年 定休日を木から火曜日に(「ハナモク」は流行語大賞銀賞に)

バブル崩壊後~海外高級ブランドの誘致

1989年 創業120年 古屋勝彦社長就任

1991年 銀座店銀座駅への地下通路完成

1999年 東京三菱銀行銀座通支店跡地を取得し銀座3丁目の銀座通り側のワンブロックがすべて銀座店となる

2001年 銀座店グランドリニューアルオープン。ルイ・ヴィトンと合わせて12のブランドを誘致。これが話題を呼び、売上が待ち直した。

2003年 古屋浩吉社長、古屋勝彦会長 就任。商標(松屋)の貸与とノウハウ提供により台湾新竹市「風城松屋百貨」オープン

2005年 新顧客分析システム導入。銀座店「レストランシティGINZA」リニューアルオープン、「ギンザビューティー」オープン

2006年 商標(松屋)の貸与とノウハウ提供により台湾嘉義市「耐斯松屋百貨」オープン

ファッションとデザインの百貨店へ

2007年 銀座店屋上緑化計画「銀座グリーンプロジェクト」スタート。秋田正紀八代目社長就任。三越と伊勢丹の経営統合が発表される。

2009年 創業140年。銀座店2階 インターナショナルブティックオープン

2010年 浅草店を「松屋浅草店」に改める。事業を縮小し、地階、1階、3階の3フロア体制になる。日本最古の屋上遊園地プレイランド閉鎖。伊勢丹との業務提携を解消する(三越銀座店(東京・中央)が増床開業するのを機に関係を見直す。)。銀座インズに新ショッピングゾーン「プチプチ マルシェ」がオープン

2012年 銀座店屋上に百貨店初のwebラジオ放送局「ソラトニワ銀座」登場。東京ステーションホテル内に「松屋 東京丸ノ内」オープン

2013年 銀座店グランドリニューアル。銀座店7階に「美と健康」ゾーンを新設。銀座店屋上に美しくなるビアガーデンBeer&BBQ&Bar Terrace@888オープン。東京ファッション専門学校創立100周年

2014年 銀座店地下1・2階「GINZAフードステージ」リニューアルオープン。銀座店地下1階に免税カウンターを新設。

2015年 初の女性取締役が誕生。「松屋銀座マロニエ通り館」オープン

2017年 「スペース・オブ・ギンザ」リニューアルオ-プン

2019年 創業150周年

2020年 銀座店・浅草店が一時休業新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う政府の緊急事態宣言発令により)

2021年 浅草店90周年、株式会社銀座インズを子会社化

2023年 古屋毅彦九代目社長就任、秋田正紀会長就任

現在の店舗

  • 松屋銀座店
  • 松屋浅草店

参考:松屋銀座公式サイト

(株)松屋『松屋百年史』