日本の百貨店のあゆみ 6 ~東急百貨店

材木商「白木屋」から日本を代表する百貨店へ

白木屋の時代

1662年 材木商の大村彦太郎(初代可全)によって京都に材木商「白木屋」を創業。材木商の傍ら小間物・呉服問屋を営んでいた。

1665年 日本橋通三丁目に小間物店「白木屋」江戸支店を開店。

1684年 大村家:二代安全。太物を発売する。

1700年 日本橋通り1丁目(現コレド日本橋)に移転。呉服を中心に商売を広げ、呉服太物商として定着した。町人から大名まで幅広い顧客を獲得し、越後屋、大丸屋と並び江戸の三大呉服店の一つとなった。

1711年 大村家:三代豊全

1712年 店内に井戸を掘ると木観音を発掘、白木名水が湧出す。店内に祠を建て、観音像を祀ったところ、参拝する人があとを絶たず江戸の名物となる。現在は「名水白木屋の井戸」の石碑が、コレド日本橋アネックス広場内に設置されている。

1720年 大村家:四代勝全

1748年 大村家:五代昌全

1751年 市ヶ谷店開店。

1755年 大村家六代商全

1805年 店舗を新築開店し、繁盛する。大村家七代邦全

1822年 大村家:八代経全

1841年 天保の改革で奢侈禁制(しゃしきんせい)が強いられた。華美な祭礼や贅沢、奢侈(しゃし)が禁止され、呉服店の低迷が続き経営困難に陥る。市ヶ谷・名古屋・富沢町を閉店する。

1858年 大村家:九代章全

1863年 九代章全は、商況回復のため、売場に改正を加え、少額の買物にても粗忽なきよう論す

1874年 大村家:十代義全

近代百貨店の時代へ

1878年 日本橋に総桧造りの本建築(平家造り)完成、大売出しを行う。

1886年 洋服部を創設する。白木屋仕込と言われ、人気が出る。東コート(婦人用和服用コート)を販売。

1887年 アーサーデービー商会(英)と契約を結ぶ

1893年 大阪へ進出、大阪心斎橋筋に大阪出張店開業

1895年 ピーターマルドック商会(独)と取引を開始

1903年 地上3階建ての白木屋本館が新装開店。伝統的な呉服店の販売方式、座売りを廃止し、陳列式に変更する。女子店員を採用。少女音楽隊を常設するなど、時代に先駆けて新しいものを取り入れていった。

1904年 雑貨部、食堂を設置。通信販売を始める。

1905年 日本の百貨店初の福引を開催する。

1911年 日本百貨店初の、客用エレベーター、回転ドアを設置する。また、日本初の少女歌劇「白木屋少女音楽隊」を創設する

1917年 呉服部門と雑貨部門を分離する。

大阪への進出

1919年  白木屋を個人商店から株式会社へと転換する。初代社長に10代大村彦太郎就任。五服会を結成(白木屋、三越、高島屋、松坂屋。松屋)

1920年 阪神急行電鉄の大阪梅田駅ビルに梅田出張店開業。日本のターミナルデパートの基礎を築く。

1921年 西野恵之助2代社長就任。“安く売る店”を標語に、大阪支店開設(大阪出張店を閉鎖する)。日本の百貨店として初めて土足入場の形をとった。これにより東京都大阪で2店舗の百貨店を展開する。

1923年 神戸店開業。関東大震災により日本橋本店が全壊する。仮店舗期間が長引き業績が悪化する。

1924年 百貨店協会が設立(8社加盟)

1925年 大阪店で日本初のネオンサインを点灯する。梅田店閉店

1926年 大村彦太郎3代社長に再任

1928年 大村彦一郎4代社長就任。「株式会社白木屋」へ社名を改称。五反田店開店

1929年 「白木屋の十徳品」として販売。既製服、靴、帽子、洋装品、化粧品、児童用品、児童服、家具と台所用品、食糧品と菓子、特売場

1930年 創業二百七十年祭を行う

1932年 日本橋店全館復旧開店。大阪店閉店。日本橋本店で大火災「白木屋大火」。日本初の高層建築物火災となった。

1933年 京濱デパート開業。日本橋本店が新装開店

ターミナル百貨店と渋谷の発展

1934年 東京横浜電鉄(株)(現東京急行電鉄(株))の百貨店部として、渋谷駅東口に東横百貨店(後の東横店東館)創業

1937年 東京横浜電鉄(株)の子会社として東横興業(株)設立。昭和製薬株式会社を設立。

1938年 「玉電ビル」(後の東横店西館)が完成する。白木商事株式会社を設立

1939年 山田忍三5代社長に就任

1943年 鏡山忠男6代社長に就任

1945年 白木航空機材株式会社を白木興業へ改称

1948年 東横興業(株)が東京急行電鉄(株)より百貨店事業を譲受(株)東横百貨店を設立

1950年 池袋店を新設

1951年 東横のれん街を開設(のれん街の発祥)

1952年 渋谷店に日本初の「冷凍食品売り場」

白木屋から東急百貨店へ

1954年 白木屋お家騒動。当時、業績が伸び悩んでいた白木屋に対し、実業家の横井英樹が経営権の獲得を目指し株の買い占めを行っていったが、東急グループ総帥の五島慶太が事態を収取し、東急が白木屋再建を目的に買収することで落着した。(株)東横百貨店、東京証券取引所に株式を上場

1956年 高橋禎二郎7代社長就任。東京急行電鉄の傘下に入る。五反田・大森・高円寺店を分離して「白木興業」とする。

1957年 東横興業が白木興業を合併

1958年 白木屋は、(株)東横百貨店を1:1の比率で吸収合併。商号を「(株)東横」に変更。日本橋本店は従来どおり「白木屋」の店名を残す。渋谷店、池袋店は「東横百貨店」へ改称

1958年 「丸善銀座屋」(現長野東急百貨店の前身)創業

1959年 初の海外店舗として、シロキヤ・インコーポレイテッド「アラモアナ店」開店

1964年 東横池袋店閉店。東武百貨店へ売却。池袋の百貨店は4店となる(東武、西武、丸物、三越)

地方への進出

1966年 (株)ながの丸善(現長野東急百貨店)と業務提携

1967年 商号を(株)東急百貨店に変更。白木屋日本橋店も「「東急百貨店日本橋店」へ改称する。国内の白木屋とする店舗は消滅する。渋谷・本店が開店

1969年 東横店火災

1970年 商号を(株)ながの東急百貨店に変更。斬新なデザインの包装紙が登場し話題となる(モナリザを五線譜と音符で表したもの)。

1973年 株)さっぽろ東急百貨店開店(初の地方出店) マウイ店開店

1974年 吉祥寺店開店

1977年 百貨店業界では初めて米貨建転換社債を発行(総額1,500万ドル)

1978年 (株)さっぽろ東急百貨店を吸収合併

1980年 株)まちだ東急百貨店開店

1981年 三浦守社長就任。ホノルルにパールリッジ店開店

1982年 香港東急百貨有限公司開店。(株)きたみ東急百貨店開店。(株)たまプラーザ東急百貨店開店

1983年 長野市小諸に「こもろ東急百貨店」開店

1984年 本店全館リニューアルオープン。東急百貨店内に「文化事業開発室」を創設する。

1985年 百貨店業界初のユーロドル建ワラント債を発行(総額5,000万ドル)。東急百貨店タイランド「マーブンクロン店」開店。(株)たまプラーザ東急百貨店、(株)東急バラエティーストア合併

1987年 東急百貨店シンガポール店開店

1988年 香港の地場百貨店「ドラゴンシード社」を買収。「株式会社東急文化村」創設

1989年 (株)まちだ東急百貨店を吸収合併。東横店リニューアルオープン。本店と隣接した「Bunkamura」(日本国内初の大型複合文化施設)がグランドオープン

1990年 東横店別館「123」オープン

1992年 秋山恒雄社長就任。日本橋店別館「東急クロワゼ」オープン。「青葉台リクレ」オープン(西南開発(株))町田店新館増床オープン。

1993年 青葉台東急百貨店オープン((株)西南東急百貨店)東急百貨店タイランド「ラチャダ店」オープン

1994年 東急百貨店シンガポール「TOKYU SCENE」オープン 1995年 (株)日吉東急百貨店オープン。1996年 本店別館「クロワゼしぶや」オープン

1995年 内山徹社長就任

1997年 「株式会社よこはま東急百貨店」設立。株)よこはま東急百貨店により、横浜みなとみらい21地区に「クイーンズイースト」開店。長野県岡谷市に(株)おかや東急百貨店オープン

郊外型ショッピングセンターへの展開

1998年 横浜市都筑区に「港北東急百貨店ショッピングセンタ」ーオープン。海外店舗、香港・シンガポール・タイのラチャダ店を閉店

1999年 白木屋の後身である日本橋店閉店。江戸時代から続いた336年の歴史に幕を下ろした。「Q-FRONT」オープン((株)札幌プラザ)

2000年 「東急フードショー」オープン(東横店地下1階食品街)。株)あおば東急百貨店 設立。東横店全館リニューアルオープンを始めとして2001年 吉祥寺店全館・町田店全館、2002年 本店全館・札幌店全館のリニューアルオープンが続いた。

2004年 (株)あおば東急百貨店を吸収合併

2005年 東京急行電鉄(株)の完全子会社化し、上場を廃止。独立経営に幕を閉じた。

2006年 港北店をSCに業態変更 商品売場のみ港北東急として継続する。

2007年 町田店をショッピングセンター「町田東急ツインズ」として業態変更する。百貨店としての營業を終了する。きたみ東急百貨店閉店。

2010年 二橋千裕社長就任。吉祥寺店全館リニューアルオープン

2011年 「二子玉川 東急フードショー」オープン(二子玉川ライズS.C.地下1階)

2012年 東急文化会館跡地に「ShinQs」オープン(渋谷ヒカリエ地下3階~地上5階)

2013年 渋谷駅周辺の再開発により「東横店東館」東横のれん街を閉館。「東横のれん街」は渋谷マークシティに移転「。東急フードショースライス」オープン(武蔵小杉東急スクエア1・2階)。東横店西館・南館リニューアルオープン

2014年 「mikke(ミッケ)東急プラザ蒲田店」開店(東急プラザ蒲田2階)

2015年 バンコク東急百貨店、パラダイスパーク店開店

2016年 「HINKA RINKA(ヒンカ リンカ)」開店(東急プラザ銀座3階~5階)

2017年 札幌店内に「さっぽろ駅前保育園」オープン。

2018年 大石次則社長就任。バンコク東急百貨店「パラダイスパーク店」閉店。たまプラーザ店食品フロアを「東急フードショー」としてリニューアルオープン

2019年 「あざみ野 東急フードショースライス」開店。「東急フードショースライス 溝の口駅店」出店

2020年 渋谷駅街区土地区画整理事業のため東横店閉店東横のれん街がヒカリエに移転。「mikke(ミッケ)東急プラザ蒲田店」閉店。

2021年 「HINKA RINKA銀座」閉店

2023年 渋谷・本店営業終了 ※渋谷駅周辺での再開発計画の一環で2023年春以降解体予定。隣接する文化施設のBunkamuraも大規模な改修工事を実施する。跡地には地上36階建ての複合施設が建設予定

現在の店舗

吉祥寺店

たまプラーザ店

さっぽろ店

商業施設:・町田東急ツインズ、・日吉東急アベニュー、渋谷ヒカリエ ShinQs他

東急百貨店公式サイト

(株)白木屋『白木屋の歴史』

(株)白木屋『白木屋三百年史』