デパート新聞 第2716号 – 令和5年9月1日

7月東京は12.2%増

 日本百貨店協会は、令和5年7月東京地区百貨店(調査対象12社、22店)の売上高概況を発表した。売上高総額は1401億円余で、前年同月比12.2%増(店舗数調整後/23か月連続増)だった。店頭・非店頭の増減は、店頭13.2%増(91.0%)、非店頭3.4%(9.0%)となった。

百貨店データ

3社商況7月

7月店別売上前年比(%)

都市規模別・地域別 売上高伸長率

関東各店令和5年6月商品別売上高

6月インバウンド売上高280億円 コロナ前の水準に回復

インバウンド売上高、昨年同月比4.2倍 水際対策緩和受け

 日本百貨店協会が7月24日に発表した23年6月の全国百貨店のインバウンド売上高(免税総売上高)速報値は、昨年10月の水際対策緩和を受け前年同月の約4.2倍の約280億円だった。20年2月以降では最高で、コロナ禍前の19年6月比の0.8%減まで回復した。

購買客数、20年2月以降最大 コロナ前の65.5%

 6月の購買客数は順調に増加し、20年1月以来最大の30万人であった。中国からの訪日客がまだ伸びていないことから、19年5月(45.8万人)比では65.5%にとどまる。

売上の人気商品、化粧品・ハイエンドブランドなど

 売上の人気商品は、前月と変わらず化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨、紳士服・洋品で、来店の多かった国は、中国本土、台湾、韓国、香港、シンガポール、タイ、マレーシアであった。

6月訪日客200万人突破 上半期1000万人超 20年から3年間合計を上回る

 日本政府観光局(JNTO)が7月19日に発表した6月の訪日外国人客数(推計値)は、207万3300人だった。新型コロナ感染症流行前の19年6月(288万人)の71.9%まで回復し、今年上半期では1000万人超となり、2020年から2022年の3年間の合計数字を上回った。(グラフ参照)

免税総売上高億円購買客数万人一人当たり購買単価万円訪日外客数万人
2020年6月26.81.221.60.3
2021年6月45.11.046.60.9
2022年6月66.01.836.012.0
2023年6月280.030.09.3207.3
主要指標の過去4年間推移 (日本百貨店協会、日本政府観光局(JNTO)データを元に作成)

 昨年10月に個人旅行解禁などの水際対策が大幅に緩和されたことを契機に、韓国、台湾、香港など東アジア地域からの訪日客が増え、米国、豪州、カナダ、メキシコ、中東地域からは19年を上回る回復となった。国際線定期便数は、コロナ前の6割まで回復し、その後も東アジアを中心に増便・復便が続いている。140円台の円安も訪日旅行を後押ししている。

 こうした訪日客増加に対応して、我が国においても、20年3月開業したものの13日後に休業に追い込まれていた羽田空港第2ターミナル国際線が、7月19日に3年3か月ぶりに営業再開し、今後の航空需要の回復に対応することとなった。

韓国首位、次いで台湾・米国・中国・香港 上位5ヶ国で75%

順位国・地域2019年6月2023年6月伸率(%)
1韓国611,867545,100-10.9
2台湾461,085389,000-15.6
3米国175,491226,80029.2
4中国880,651208,500-76.3
5香港209,030186,300-10.9
6その他72,53170,300-3.1
7シンガポール47,26454,60015.5
8フィリピン46,84254,20015.7
9タイ62,98451,300-18.6
10豪州37,28342,40013.7
総数2,880,0412,073,300-28
【2023年6月 訪日外客数上位10ヶ国(推計値)(対2019年比)】単位:人

 国・地域別では、訪日客数の上位5か国の韓国、台湾、米国、中国、香港が全体の75%を占める。トップの韓国は、仁川〜新千歳間、清州〜関西間の増便、仁川〜大分間の復便など日本各地への直行便数が増加傾向にあることや、音楽・アニメ等での日本ブームの高まりを背景に、6月は54万5100人と前月を約3万人上回った。19年6月比では89.1%まで回復した。(表とグラフ参照)

中国、回復ゆるやか 日本行き団体旅行等の販売禁止継続

 19年6月(88万651人)には全体の30%を占めた中国は、中国政府による日本行き団体旅行・パッケージツアー商品の販売禁止措置を継続があるものの、日中両国の水際規制緩和や、上海〜関西間、北京〜羽田間の増便や上海〜福岡間の復便など日本への直行便が前年同月に比べて回復傾向にあることや、5月から中国発のクルーズ船の日本寄港が開始されたことを受け、6月は前月から7万4100人増加し20万8500人(19年6月比76.3%減)であった。

買物消費は中国と英仏独豪 一人当たり消費額は円安、低インフレで日本の割安感強まる

順位旅行支出額2019年比旅行支出(費物化)
1米国358,88851.2%46,116
2中国338,23850.9%146,786
3英国337,07044.4%46,499
4フランス327,89735.3%41,278
5ドイツ326,78164.4%32,628
6米国291,94654.4%40,856
7シンガポール275,80761.8%67,988
8スペイン269,63523.7%30,546
9香港185,59320.8%50,208
10台湾176,80148.4%67,038
11韓国94,20536.3%22,241
【2023年4-6月期 一般客一人当たり旅行支出上位11ヶ国(1次速報)】単位:円

 観光庁が7月19日発表した23年4〜6月期の訪日外国人旅行消費額(一次速報)は、1兆2052億円と推定され、19年同期比95.1%であった。

 訪日外国人一人当たり旅行支出は20万5千円で、国別では、英国(35万9 千円)、中国(33万8 千円)、豪州(33万7千円)の順で高い。費目別では、宿泊費、交通費は英国、飲食費はフランス、娯楽等サービス費は豪州、買物代は中国が最も高い。
(表参照)

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 海外からの観光客の復活でデパートの高額商品がコロナ前を上回る勢いで売れているという声が上がっている。そして、いよいよ真打ち登場。中国人観光客が、入国してくる環境となった。大都市のデパートは、販売態勢の強化に余念がないだろう。

 一方で、地方のデパートからはそういった景気の良い話は、ほとんど聞えて来ず、テナントの撤退、従業員の退職、過剰労働の常態化といった暗い話題が絶えない。

 地方百貨店の経営者は今迄とは抜本的に見方を変えて経営に取り組むことが待ったなしである。

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