日本の百貨店のあゆみ 5 ~大丸百貨店

京都伏見呉服店「大文字屋」から老舗百貨店へ

創業から現在に引き継がれる経営理念「先義後利」

1736年 下村彦右衛門によって事業の根本理念として「先義後利」が定められた。企業の利益は、お客様・社会への義を貫き、信頼を得ることでもたらされるとの意味で、言い換えると「お客様第一主義」「社会への貢献」となる。これは、大丸グループ共通の精神、営業方針の根本として引き継がれてきた。

1717年 下村彦右衛門正啓、京都伏見に呉服商「大文字屋」を開業。大文字の名前の由来は、京都五山の送り火の「大文字」から。

1726年 大阪心斎橋筋に大阪店「松屋」を開き、現金正札販売をはじめる (現・心斎橋店現在地)

1728年 名古屋本町4丁目に名古屋店を開き、初めて「大丸屋」と称する。

1736年 「先義後利」の店是を全店に布告。京都・東洞院船屋町に京都総本店が新築完成

江戸への進出

1738年 江戸進出に伴い、商標マークを染抜いた、派手な大風呂敷を配布宣伝して話題となる。この風呂敷が大流行となり、品物を運ぶ道具として人々に重宝されるようになった。

1743年 江戸日本橋大伝馬町3丁目に江戸店開業。長子正甫、第二代を継ぎ彦右衛門と称す。

1750年 大阪堂島に北店を開く。1759年 京都東店を東洞院押小路に設ける

1787年 この年、江戸店が呉服商として売上げ日本一となる。越後屋(現三越)白木屋(現東急百貨店)と並んで江戸三大呉服店といわれるようになった。

1837年 大塩の乱起こる。百姓一揆で米の買い占めなどを行っていた豪商や大商人は焼き討ちにあったが、大丸屋は「大丸は義商なり、犯すなかれ」と、部下に命じていたため焼き打ちをまぬがれた。

1907年 株式合資会社 大丸呉服店を設立。11代下村正太郎社長に就任

1910年 江戸店、名古屋店を閉鎖

百貨店形式へ

1912年 京都店が現在地に開店(東京から京都四条高倉に本店を移転)

1913年 神戸・元町に神戸支店開業。女子販売員を置く

1914年 京都店は「合資会社大丸呉服店」として独立開店、社長下村正太郎。本店を大阪へ移転する。大阪店を洋式に改装。心斎橋筋側に大阪で初めてのショーウインドーをつくる

1920年 「株式会社大丸呉服店」を設立

1922年 デパート業界で初めての週休制(月曜定休日)を実施

1925年 営業目的を「百貨陳列販売業(デパートメントストアの営業)ほか」に改める。1926年 大阪店、履物のまま入店に改める

1927年 神戸店が現在地に移転し開店。大阪店(現・心斎橋店)にデパート業界初の「染色試験室・衛生試験室」(現・消費科学研究所)を開設

近代化への改革

1928年 「株式会社大丸呉服店」を「株式会社大丸」と改める。また、京都の「合資会社大丸呉服店」を「株式会社京都大丸」改称する。

1931年 「株式会社大丸」は「株式会社京都大丸」を吸収合併し、京都店とする。

1933年 大阪店新増築工事完成。

1941年 里見純吉社長(入社前に月曜定休日を提案した)就任

1942年 ラングーン支店開設。 ペナン百貨店開店

1947年 高知大丸開店。1948年 大丸興業(株)を設立 1949年 鳥取大丸を関係百貨店とする。サマー・タイムを実施。

1950年 下関大丸開店。北沢敬二郎社長就任

1953年 博多大丸開店。日本で初の海外デザイナーとの提携、クリスチャン・ディオールと独占契約を結び、豪華ショーを大阪、京都、神戸で開催

1954年 東京駅八重洲口に東京店開店

1959年 オリジナル紳士服「トロージャン」誕生

1960年 ピーコック産業(株)(現・ピーコックストア)を設立。香港大丸百貨有限公司(日華合弁)開店

売上高日本一に

1961年 日本の小売業界売上No.1を達成(1960年下期から1968年下期まで連続)

1963年 井狩弥治郎社長就任

1964年 クリスチャン・ディオールの契約解除。ジバンシィ・バレンシァガと独占契約を結ぶ

1966年 井狩社長、日本百貨店協会長に就任

1969年 岡政(現・博多大丸・長崎店)を関係百貨店とする

1971年 (株)レストランピーコックを設立

1974年 今治大丸を関係百貨店とする。1975年 鳥取大丸、博多大丸、新築移転。(現在地)

1976年 デパート業界初の商品のデメリット表示を実施

1977年 新長田店開店。1980年 ダイマル須磨店、ダイマル芦屋店開店。

1983年 大阪ターミナルビル「アクティ大阪」に梅田店開店。CISを導入、新しいマークを制定。ホームショッピング事業部(現・大丸ホームショッピング)新設

1984年 12代下村正太郎社長就任

1988年 (株)大丸クレジットサービス・(株)大丸クレジットサービス・(株)大丸情報センターを設立。長崎大丸開店。

1995年 神戸店が阪神大震災で被災

経営改革に着手

1997年 神戸店復興グランドオープン。奥田務社長就任

1998年 山科店開店。

1999年 年俸制を導入。営業改革をスタート。2001年 ダイマル(須磨店・芦屋店)を直営化。2003年 博多大丸と長崎大丸が合併。札幌店オープン。

2003年 山本良一社長就任

松坂屋ホールディングスとの経営統合

2007年 大丸ららぽーと横浜店開店。大丸と松坂屋ホールディングスの経営統合を発表。大丸と松坂屋ホールディングスの持株会社名を「J.フロント リテイリング株式会社」と発表。J.フロント リテイリング社長に、奥田務

大丸浦和パルコ店開店。東京店移転・増床。第1期グランドオープン

2010年 (株)大丸と(株)松坂屋が合併し、(株)大丸松坂屋百貨店が誕生。(株)大丸友の会が(株)マツザカヤ友の会を吸収合併し、(株)大丸松坂屋友の会が誕生

2011年 大丸梅田店増床グランドオープン

2013年 松坂屋銀座店が銀座地区再開発に伴い営業終了。山本良一J.フロント リテイリング社長就任

2015年 「上海新世界大丸百貨」グランドオープン

2017年 松坂屋銀座跡地に「GINZA SIX」オープン

2019年 「大丸心斎橋店 本館」が、86年ぶりの建て替えを終えグランドオープン

2020年 「株式会社下関大丸」を直営化。18年ぶりに全館リニューアルオープン

2021年 「大丸須磨店」第2期改装オープン

2025年1月1日・2日 2日間店舗休業とする。大丸心斎橋店、大丸梅田店、大丸東京店、大丸京都店、大丸神戸店、大丸須磨店、大丸芦屋店、大丸札幌店、大丸下関店

現在の大丸店舗(2025年2月)

心斎橋店

梅田店

京都店

神戸店

東京店

札幌店

須磨店

芦屋店

下関店

(株)高知大丸

(株)博多大丸

(株)大丸『大丸二百五拾年史』

大丸の歴史


大丸の歴代社長

大丸松坂屋百貨店公式サイト