日本の百貨店のあゆみ 3 ~ 高島屋百貨店

京都の古着・木綿商「高島屋」から百貨店へ

1813年 飯田儀兵衛(いいだぎへい)の娘婿となった初代飯田新七は、古着・木綿商「高島屋」を開業した。開業当初は、資金不足のため並べる品物がなく、妻の婚礼衣装を店先に置いたところ、店舗に顧客が増えるという出来事があった。これは、高島屋開業のエピソードとして長く語り継がれている。当時は、天保の改革へつながる時代で、質素倹約を求められていたことから、人々が新しい着物より古着を求めていたことから古着商を始めたのだった。高島屋は、飯田家の出身地、近江国高島郡(現・滋賀県高島市)に由来する

初代飯田新七の信条

その一、確実な品を廉価に販売して自他の利益を図るべし。
その二、正札掛値なし。
その三、商品の良否については、明白に顧客に告げ、いささかも虚偽あるべからず。
その四、顧客の待遇はすべて平等にして、いやしくも貧富貴賎によりて差をつけるべからず。

誠実な商売が評判となり信用を得ていった。

古着屋から呉服商へ

1855年 2代飯田新七が古着を扱うことをやめ呉服太物商となる。

1864年 蛤御門(禁門)の変、兵火により店舗家屋全焼

1876年 アメリカの商社スミス・ベーカー商会来店。外国との大口取引開始

1877年 第6回京都博覧会へ出品受賞

1878年 段通店(敷物店)開店。経営の拡大など高島屋の発展に尽力した、二代目新七は、51歳で病死する。

1882年 刺繍・ビロード友禅・綴錦など染織品下絵制作のため
岸竹堂・今尾景年ら(京都の日本画家)を招聘

1885年 ロンドン万国発明品博覧会へ出品

1887年 貿易部開設

1889年 四代新七、欧米視察(3月~10月)

1893年 高島屋飯田新七東店(貿易店)開店

1896年 本店増築完成。本店2階建て・南店に呉服店初のショーウインドーが新設される。

1897年 宮内省御用達となる

1898年 大阪店開店(南区心斎橋筋)

1899年 フランス・リヨン出張所設置

1900年 横浜貿易店開設(横浜市弁天通)。東京店、現日本橋店開店(京橋区西紺屋町)。パリ万国博覧会へ出品受賞。

1909年 高島屋飯田合名会社設立

1912年 京都烏丸高辻に京都店新築開店(商業施設初の鉄筋コンクリート3階建て・一部地階)

1916年 貿易部門が独立。 後の丸紅飯田(現丸紅)となる高島屋飯田㈱設立。東京店新築開店(京橋区南伝馬町)

百貨店の時代へ

1919年 (株)高島屋呉服店設立。飯田政之助が初代社長に主任。

1920年 東京店で「特別安売りデー」開催 不況時に破格の大奉仕で大盛況

1922年 大阪店新築開店(南区長堀橋筋)

1923年 関東大震災、東京店全焼

1927年 東京店、旧店舗跡に新築開店。大阪店で「日光博覧会」開催し
1日の入場者20万人を超える。4代飯田新七が2代社長に就任

1928年 日本初のマネキンガールが話題となる

1930年 商号を「株式会社高島屋」と変更。大阪南海店を一部開店
(南区難波新地)

1931年 創業100周年。各地に10銭均一店(10銭ストア)開設

1932年 大阪市の「都市大改造計画」の一貫として、御堂筋の拡幅工事に合わせて、大阪南海店、全館開店(南区難波新地)。当時としては画期的な全館冷暖房完備だった。

1933年 東京日本橋店、新築開店(日本橋区日本橋通)

1938年 均一部を独立、(株)丸高均一店設立 大阪南海店に東洋一の大食堂街開設

1939年 長堀店を閉鎖し、南海店へ統合。南海店を大阪店へと改称

1942年 飯田直次郎社長就任

1947年 高島屋ボールルーム(会員制ダンスホール)開設

1949年 エキスポートバザー(EB)開設(輸出用繊維製品をドル貸で販売する売場)

1950年 東京店屋上に象の高子ちゃん来る。オーバー・シーズ・サプライ・ストア(OSS)開設(外国人へ日用品や食料品をドル貸で販売する売場)

多店舗化の推進

1952年 包装紙がバラのデザインになる。これ以降バラの花が高島屋ののシンボルマークとなる。百貨店初の「北海道の物産と観光展」開催。創業者一族4代目の社長に飯田慶三就任

1955年 東京店屋上にプレイランド開設。高島屋飯田(株)が丸紅と合併 丸紅飯田(株)(現・丸紅(株))となる

1958年 ニューヨーク高島屋開店

1959年 横浜高島屋開店。ピエール・カルダンとライセンス契約

1960年 飯田新一社長に就任(創業者一族最後の社長となる)

1962年 日高啓社長就任。創業者飯田一族以外で初の社長となる

1964年 米子髙島屋・堺店開店

1969年 玉川店開店(日本初の本格的郊外型ショッピングセンター)

1970年 高島屋史料館開館。立川髙島屋開店。大宮髙島屋開店

1973年 フランス髙島屋(ブティック・タカシマヤ)オープン。和歌山店開店。岡山髙島屋開店。株式会社髙島屋友の会を設立。柏髙島屋開店

1974年 泉北髙島屋開店

1977年 岐阜髙島屋・高崎髙島屋開店 1978年 津田沼髙島屋開店

1980年 創業150年

1982年 洛西店開店

1983年 株式会社関東髙島屋設立

独立系百貨店として最大の百貨店へ

1991年 高島屋グループ経営理念「いつも、人から。」と21世紀ビジョン策定

1993年 シンガポール髙島屋百貨店開店。1994年 台北市に大葉髙島屋百貨店開店

1995年 横浜高島屋など子会社百貨店5社との合併を実現。売上高が業界No.1を達成する。

1996年 新宿店開店。タカシマヤタイムズスクエア オープン

1997年 株主総会対策にからむ商法違反事件が発覚。日高社長が辞任。田中辰郎が社長に就任

2000年 ジェイアール名古屋タカシマヤ開店

2001年 増倉一郎社長就任

2002年 いよてつ高島屋誕生(伊予鉄百貨店と提携)

2003年 鈴木弘治社長就任

2005年 新包装紙「ミリオンローズ」誕生(お客様の声から誕生する)。大型店にコンシェルジュ導入

2007年 包装紙や手提げ袋のバラのデザインを「モダン・ローズ」から「イングリッシュ・ローズ」へ変更

2009年 日本橋店本館が百貨店建築としては初めて国の重要文化財に指定

2011年 創業180周年を迎える。大阪店全館グランドオープン(増床・改装工事完成)

2012年 東京店を日本橋店へと改称。上海髙島屋オープン

2014年 高島屋創業の地(京都・烏丸松原)に記念モニュメント建碑。木本茂社長就任(在宅勤務制度導入など働き方改革に当たる)

2015年 時計専門館「タカシマヤ ウオッチメゾン」(東京・中央区日本橋)オープン

2016年 ホーチミン高島屋オープン

2017年 「タカシマヤゲートタワーモール」オープン(ジェイアール名古屋タカシマヤ)

2018年 日本橋店周辺の市街地再開発事業に伴い、新・都市型ショッピングセンターとして「日本橋高島屋S.C.」誕生。サイアム高島屋オープン。

2019年 日本橋高島屋S.C.グランドオープン。高島屋史料館TOKYOオープン。村田善郎社長就任

2020年 高島屋東別館、リノベーション・オープン。高島屋史料館リニューアルオープン。タカシマヤスタイルメゾン海老名店閉店。港南台高島屋閉店。

2020年 創業190周年、「高島屋大阪店東別館」が国の重要文化財に指定

2022年 北海道と包括連携協定を結ぶ

現在の高島屋店舗

日本橋高島屋 S.C.(東京都)
新宿タカシマヤ タイムズスクエア(東京都)
玉川高島屋S・C(東京都)
立川高島屋 S.C.(東京都)
横浜店(神奈川県)
大宮店(埼玉県)
柏高島屋ステーションモール(千葉県)
流山おおたかの森S・C(千葉県)
高崎店(群馬県)

岐阜店(岐阜県)
ジェイアール名古屋タカシマヤ(愛知県)
タカシマヤ ゲートタワーモール(愛知県)

大阪店(大阪府)
堺店(大阪府)
泉北店(大阪府)
京都店(京都府)
洛西店(京都府)

岡山店(岡山県)
JU米子高島屋(鳥取県)
いよてつ高島屋(愛媛県)

博多リバレインモール(福岡県)


海外
シンガポール高島屋(シンガポール)
上海高島屋(中華人民共和国)
ホーチミン高島屋(ベトナム)
サイアム高島屋(タイ)

参考:高島屋資料館

高島屋公式サイト

高島屋フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

飯田新七フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』