象牙・貴石美術工芸名品展

令和6年5月15日(水)~20日(月) 6階美術画廊 松菱百貨店

 松菱百貨店6階美術画廊において令和6年5月15日( 水) から20日(月)まで「象牙・貴石美術工芸名品展」が開催された。象牙は日本においては、古くから根付、印籠、櫛といった生活用品や三味線や琴の材料として使われ、近現代になると主に印鑑の原材料として利用されてきた。しかし、アフリカ象は密猟と違法取引により個体数を大きく減らしている。そんな貴重な象牙を使用した美術工芸品が松菱百貨店において展示販売された。

 今回の名品展を主催する福岡県遠賀町の明和株式会社梶原亨也社長にお話を伺った。

「会場に入ってすぐの場所には靴ベラやアクセサリー、根付などの小物を展示してますが、靴ベラが一番売れています。根付は小さくて気軽に購入できることもあり人気で、後継者も育っています。なお、根付というのは伊勢の国が発祥と聞きました。外国の方にも人気があり、外国人作家もいる程です。会場の奥の多くが有名作家の作品ですが、いずれも1点の価格が高額となるので数は売れません。そのような事情ですので後継者が育ちにくいのです。象牙の作品は今後、入手が益々困難になることでしょう。この機会に購入されることをお勧めしています。今回の展示品の中で一番の大作は、中国で作られた「象牙透かし彫り天球」です。製作には何十年も掛かり、完成まで三代に亘りました。特殊な彫刻刀を使用して一本の象牙から何重にもなる球を掘り出す技術はまさに「超絶技巧」と言えるでしょう。是非ゆっくり鑑賞していただきたい作品です。当社では日本各地の百貨店や商業施設を巡って展示会を開催しています。これからは、群馬県、沖縄県に伺う予定になっています。」

会場内には精緻な伝統技法により作られた有名作家の象牙彫刻作品が並べられ、見事な美の世界を作り出しており、会場を訪れた来場者たちは、1点、1点時間を掛けて作品を鑑賞していた。