2024年6月 百貨店のニュース

大手百貨店 5月売上高4社そろって2割超増、インバウンド好調続く

2024年06月03日(月)

大手百貨店4社の5月の売上速報では、三越伊勢丹が23.4%増、J.フロントリテイリングが21.3%増、エイチ・ツー・オーリテイリングが29.1%増、高島屋が21.6%増だった。インバウンド売上高は高額品が好調で、各社が過去最高を更新した。

三越伊勢丹(2024年3月期売上高:5364億円):伊勢丹新宿本店・三越日本橋本店・三越銀座店を中心に売上が伸びており、3店舗共に11カ月連続で2018年度を上回る実績で推移している。三越伊勢丹計23.4%増。国内グループ百貨店計は8.2%増、国内百貨店計は17.7%増となり、高付加価値商品が好調だった。免税売上は、国内百貨店計(既存店)で単月最高売上高を更新した4月をさらに大きく更新した。

J.フロントリテイリング(2023年2月期総額売上高:1兆1519億円):大丸松坂屋百貨店の売上高は前年同期比21.3%増加した。5月の売上高は休日が1日少なかったことでマイナス影響を受けたが、ラグジュアリーブランドや化粧品の売上が好調であり、外国人観光客向けの売上も増加した。店舗別では、15店舗中12店舗が前年を上回り、名古屋店は婦人服売場の面積が減少したが、訪日外国人による売上が伸びた。大丸松坂屋百貨店の免税売上高は過去最高であり、名古屋店、神戸店、京都店などが高い伸び率を示し、客数や客単価も増加している。

エイチ・ツー・オー リテイリング(H2O)(2024年3月期売上高:6574億円):百貨店事業全体の売上高は前年比29.1%増加し、阪急本店は46.1%、阪神梅田本店は8.9%、支店計は12.0%増加した。ゴールデンウィーク商戦や母の日、インバウンドが好調で、免税売上高は前年比で4.0倍に増加し、阪急本店は4.1倍となった。売上高は12カ月連続で過去最高を更新し、単月でも4ヶ月連続で最高を更新した。阪急本店の売上高は前年比で約5割増加し、婦人・紳士ファッションやアクセサリーが人気であり、100万円以上の高額品の売上高も前年比で約7割増加した。

高島屋(2024年2月期営業収益:4661億円):高島屋各店計は23.2%増、岡山高島屋、岐阜高島屋、高崎高島屋を含めた国内百貨店計は21.6%増だった。気温の上昇により、夏物婦人服・婦人雑貨の売り上げが好調だった。インバウンド客は高級ブランド商品を中心に購入し、過去最高の売上高を3ヶ月連続で更新。大阪店、京都店、日本橋店、横浜店、新宿店、玉川店、大宮店、岐阜店、高崎店が前年を上回る売上を記録。14店舗での商品別売上高は、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、特選衣料雑貨、宝飾品、スポーツ用品、生活雑貨、美術品、サービスが前年を上回った。

                                  流通ニュース

西武池袋本店、百貨店半分に 25年1月から段階的に開業

2024年6月10日(月)

 そごう・西武は、西武池袋本店を2025年1月から段階的にリニューアルオープンすることを発表した。家電量販店の出店により、百貨店面積は半分になり、高級ブランドや化粧品、食品に特化した店舗として全面改装される。改装案では、売り場面積約4万8000平方メートルに約380店が入る予定で、全面開業は2025年夏を予定している。

 一方、ヨドバシカメラは、JR池袋駅に近い本館での開業を予定しており、西武池袋ではすでに改装工事が始まっている。これにより、西武池袋は高級路線に転換し、競争が激しくなる中で顧客を維持する課題が生じている。また、セブン&アイ・ホールディングスがそごう・西武を売却したことで、フォートレス・インベストメント・グループが経営陣に就き、改装案の策定やテナントとの交渉を進めている。

                                  日本経済新聞

経営再建中の百貨店「山形屋」4期ぶりに黒字、本業で営業利益1億円…物産展が好調で

2024年6月14日(金)

 私的整理で経営再建を進めている百貨店の山形屋(鹿児島市)は13日、2024年2月期決算(単独)で、本業のもうけを示す営業利益が1億円(前期は2億円の赤字)と4期ぶりに黒字化したことを明らかにした。

 物産展が好調だったことなどが要因で、売上高は前期比2・5%増の162億円だった。 最終利益は、支払利息の増加などの影響で6億円の赤字(前期は7億円の赤字)だった。あわせて同日の定時株主総会と取締役会で、メインバンクの鹿児島銀行から出向者1人を取締役常務執行役員として受け入れることを決めた。

                               読売新聞オンライン

大丸心斎橋店、大阪・関西万博控え大規模リニューアル 約70店順次オープンへ

2024年6月14日(金)

 大丸松坂屋百貨店は、2025年の大阪・関西万博を控え、大阪市の大丸心斎橋店(中央区心斎橋筋)本館で大規模リニューアルに入る。 訪日外国人観光客の需要や若年富裕層のニーズに合わせ、ラグジュアリーの強化を図る方針で、7月から2025年にかけて約70店が順次オープンする。

 リニューアルは「世界が憧れる心斎橋へ」という本館建て替え時のコンセプトに基づき、売り上げが伸びている訪日客や若年富裕層のニーズを見据えて出店する店舗を入れ替える。その第1弾となる7、8月には、ラグジュアリーブランドなど13店がオープンする。  第1弾で出店するのは、フランスの皮革製品ブランド「エス・テー・デュポン」や、世界的に有名な調香師ジャン=クロード・エレナ氏が指揮するフレグランスブランドの「ル・クヴォン・メゾン・ド・パルファム」。  

 このほか、美容機器・コスメの「リファ・ショップ」が売り場面積を拡大して西日本最大級の店舗に生まれ変わるほか、健康・美容器具の「シックス・パッド」が旗艦店としてリニューアルする。

 大丸心斎橋店本館は2019年に建て替えオープンした地下3階、地上11階建て延べ約6万6,000平方メートルで、うち売り場面積が約4万平方メートル。店舗の東側を通る心斎橋筋商店街はコロナ禍の一段落を受け、連日大勢の訪日客が押し寄せている。その結果、大丸心斎橋店は2023年2月期、2024年2月期決算とも前期を30%以上上回る売上高を上げたのに加え、5月の売上高も前年同月比50%増を超す好調ぶり。

                                    財経新聞

上海の伊勢丹が営業終了、中国で日系百貨店の閉店相次ぐ…高島屋は売上高が減少傾向

2024年6月30日(日)

 上海市の伊勢丹は30日に最後の営業を終え、中国本土の伊勢丹はピーク時の6店舗から1店舗に減った。2023年には中国国内の消費財販売に占めるネット通販の割合が4分の1に達したことで、ネット通販の拡大が背景となっている。同じ商品を大幅に安く販売することで百貨店から客を引き寄せているが、不動産価格の下落や富裕層・中間層の資産減少により高額商品の販売が影響を受けている。日系百貨店にも不振が広がり、閉店する店舗が増加している。

 伊勢丹が中国1号店を上海に出店したのは1993年。梅龍鎮の店舗は97年に上海の2か所目として開業した。売上高は2014年度の119億円をピークに減少傾向となり、23年度は52億円に落ち込んだ。今回の閉店で中国には3年前に開業した天津の店舗が残るのみとなる。 今年も3月までに日系百貨店を含め10店舗が営業を終えたという。  

                               読売新聞オンライン