4月インバウンド売上高 2か月連続過去最高更新

 日本百貨店協会が5月24日発表したインバウンド売上高(免税売上高)速報値は、訪日旅行の最需要期である花見シーズンを迎え、訪日客数の2か月連続300万人超えや円安の追い風を受け、前年同月比184・3%増の約599億6千万円だった。新型コロナ感染症流行前の19年同月比では74・4%増となり24年3月(495億円)を抜いて最高額を更新した。全国百貨店売上高に占めるシェアは13・5%だった。(19年は7・7%) 
(図表1参照)

 欧米などと比べて相対的に安い物価と34年ぶりの円安( 4 月末時点157円台)というお得感もあり、日本が2年連続して「観光旅行したい国」第1位に選ばれるなど日本人気は高く、食・文化・ショッピングに引かれて海外旅行者が押し寄せ日本各地が「観光ブ―ム」に沸いている。

 訪日客は首都圏などの都市部では購買意欲は旺盛で、地方都市では買い物より観光に重きを置いているとみられるものの、地方都市への訪問意向が強く徐々にインバウンド需要が地方に浸透しつつある。

購買客数初の50万人越え 上位は中国・韓国・台湾・東南アジア

 4月の購買客数は昨年の2・3倍の50万6千人だった。これまで最も多かった19年5月(47万4千人)を上回り、初めて50万人を超えた。

 国別で多かったのは、前月と変わらず中国本土、韓国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア。

一人当たり購買単価、コロナ前比5割増

 一人当たり購買単価は、19年同月(7万4千円) 比5 割増の約11万8千円。売上の人気商品は、前月と同じで化粧品、ハイエンドブランド(バッグ、時計、宝飾品など)、食料品、婦人服飾雑貨、婦人服だった。
(図表2参照)

4月訪日客数304万人 2か月連続300万人超え

 日本政府観光局(JNTO)が5月15日に発表した4月の訪日外国人客数(推計値)は、春の花見シーズンによる訪日需要の高まりや、東南アジアや中東地域のイスラム教の断食明けに合わせた海外旅行需要の増加により304万2900人だった。これまで300万人を超えたのは3月(308万人)に続き2度目である。

 特に韓国、インドネシア、米国からの訪日客が増加したことによりコロナ前の19年同月( 約292万人)比を4・0%上回った。

 今年1月〜4月の累計数は、1160万人と1000万人を超え、19年同期比5・7%増だった。
(図表3、4参照)

訪日客数、韓国首位、次いで中国・台湾・米国・香港

 国・地域別の順位は、前月に引き続き韓国が約66万人で53位、次いで中国(約53万人)、台湾(約46万人)、米国(約23万人)、香港(約18万人)、タイ(約14万人)の順で、この上位6か国が全体の73%を占めている。

 コロナ前は1位だった中国からの訪日客は、徐々に回復しており19年4 月からの回復率は73%。全体に占める比率は18%( コロナ前は25%)だった。

仏、イタリア、中東地域は単月で過去最高更新

 全23の国・地域別のうち14か国(韓国、シンガポール、インドネシア、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、メキシコ、英仏独伊、中東地域)が、4月として過去最高を記録し、単月ではフランス、イタリア、中東地域が過去最高を更新した。

徐々に地方都市にも分散 クルーズ船寄港増と航空便増

 豪州、カナダ、ベトナムからの直行便数が2019年水準を上回ってきているほか、韓国、中国、台湾、香港から日本各地へのフライトは、チャーター便を含む増便で前年同月を上回っている。

 中国、台湾、香港、米国からのクルーズ船が、那覇港、石垣港、長崎港、鹿児島港、博多港、佐世保港に寄港した。富山、大分、高松、中部など地方都市へのチャーター便の増便などになり、訪日客の地方への分散も継続している。