松菱百貨店がシェア書店の導入を決定

公益性を重視したコミュニケーションの場を提供

地方デパート逆襲(カウンターアタック、CA)プロジェクトの一環として2024年の夏に

一般書店松菱のシェア書店
事業方針採算性公益性
運営目的本の販売コミュニケーションの展開
企画本の紹介読み聞かせ、読書感想会、店内催事とのコラボレーションなど、デパート顧客との一体化した展開
スタッフ販売員書店コンシェルジュ、暮らしのサポーター(松菱百貨店のCA プロジェクトメンバー)、作家、大学
SNS 担当者􀀃
最終目的書店としての事業成立地域の活性化
松菱百貨店 シェア書店の特徴

 三重県津市の松菱百貨店は2024年夏を目処に店内の売場にシェア書店を導入する方針を固めた。シェア書店は昨今、通常の書店とは異なるコミュニケーションを重視した書店として注目を集めている。具体的には、本棚ごとにオーナーを決め、場所賃を支払ってもらう形が多い。本の内容や書店販売の形式などについて多くの人がプランを出し合って運営をしていこうという特徴を持つ。

 店長は1日店長などオーナーたちの持ち回りにするなど、ユニークな形をとっているところもある。松菱百貨店では、そうしたシェア書店の特徴をデパートならではの更に進化した形で展開することを検討している。

 具体的には、書店としての単独収益での事業成立にこだわらず、デパートへの来客を促がす、起爆剤としての役割を優先する。それは、地方デパートにおける公益性を重視したコミュニケーションの場として書店を位置づけることを意味する。また、若い人の本離れに歯止めをかけるためにも、専門のコンシェルジュ(案内係)を配して、幅広い世代にアピールできる図書を置く。また、幼児等への対応として絵本の読み聞かせの場も設ける。更に、本の内容と連動した商品の販売やイベントを館内で行ない、顧客に館内を回遊してもらうような仕組みも考えている。

 こうしたアイディアを生み出す場には、有名作家や地域の大学などにもアドバイザーとして加わってもらい、幅広い目線で地域活性化につなげていく方針だ。また、シェア書店専用のSNS 担当者も配置し、全国への発信も図っていく。

 地方デパート逆襲(カウンターアタック、CA)プロジェクトの一環として、デパートならではの文化性のある書店誕生に注目したい。今後も、進捗に合わせて続報を伝える予定である。