3月インバウンド売上高コロナ前比1・5倍で最高
イースター休暇、花見シーズンによる客数増加、円安追い風
インバウンド売上高(免税売上高)速報値は、訪日旅行の最需要期である花見シーズンを迎え、訪日客が過去最高の308万人を記録したことや、円安の追い風を受け前年3月比の2.5倍で約495億4千万円だった。
新型コロナウイルス流行前の19年3 月比49・3%増で現行の調査開始以降(14年10月)の過去最高額(23年12月477億円)を更新し、地方にもインバウンド需要が徐々に浸透している(図表1参照)
購買客数3月として最高の45万人 上位は中国・韓国・台湾・東南アジア
3 月の購買客数は45万4千人で、水際規制が緩和された22年10月(7万人)以降右肩上がりに増加しコロナ前の19年3月(45万2千人)を上回り3月としては過去最高を記録した。
国別で多かったのは、中国本土、韓国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア。
一人当たり購買単価、コロナ前比5割増
一人当たり購買単価は、19年同月(7万4千円)比5割増の約10万8千円。売上の人気商品は、ほぼ前月と同じで化粧品、ハイエンドブランド(バッグ、時計、宝飾品など)、食料品、婦人服飾雑貨、婦人服だった。(図表2参照)
3月訪日客308万人 過去最高更新 コロナ禍前比11.6%増
日本政府観光局(JNTO)が4月17日に発表した3月の訪日外国人客数(推計値)は、イースター休暇が3月下旬からスタートしたことや、春の花見シーズンと円安基調による訪日需要の高まりを受け、統計を取り始めた1964年以降で最も多かった19年7月(約299万人)を上回り308万1600人だった。コロナ前の19年同月(約276万人)比11.6%増で、単月として過去最高となった。(図表3参照)
訪日客数、韓国首位、次いで台湾・中国・米国・香港
米国、ドイツ、イタリアは単月で過去最高
国・地域別の順位は、前月に引き続き韓国が約66 万人で1位、次いで台湾(約48 万人)、中国(約45万人)、米国(約29万人)、香港(約23 万人)、タイ(約13万人)の順で、この上位6か国の合計比率は7割。その他の国・地域からの訪日が増えていることから前月の8割から低下した。(図表4参照)
不況下の中国からの訪日客は徐々に回復しており19年3月からの回復率は66%。全体に占める比率は14%(コロナ前は1位で25%)だった。
全23の国・地域別のうち17か国(韓国、台湾、香港、シンガポール、フィリピン、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、メキシコ、英仏独伊、スペイン、北欧地域)が、3月として過去最高を記録し、単月では米国、カナダ、メキシコ、独、伊、北欧地域、インド、ベトナムが過去最高を更新した。
クルーズ船寄港増とチャーター便の増便、地方都市にも波及
豪州、英国、ドイツ、中国、台湾、香港からのクルーズ船が、那覇港、平良港(宮古島)、長崎港、博多港、佐世保港、大阪港、清水港などに寄港したほか、大分など地方都市へのチャーター便が増便になり、訪日客の行先が地方にも分散してきている。
24年1―3月期訪日外国人消費額、コロナ前5割増で最高
観光庁が17日発表した訪日外国人消費動向調査(1次速報)によると、24年1―3月期の訪日外国人消費額は、19年同期比52.0%増の1兆7505億円で四半期べースでは過去最高だった。
国別順位では中国が最も多く(3526億円)、次いで台湾、韓国、米国、香港。(別表5参照)
訪日客の一人あたり旅行支出は20万9千円と推計され、19年同期比41%増加しており、最も多いのは豪州(37万3千円)、次いで英国(36万)、スペイン(35万)であった。費目別では、宿泊費、娯楽等サービス費は豪州、飲食費・交通費はスペインが最も多い。
一人あたり買物代は中国(12万9千円)が最も高く、次いで香港(8万8千円)、シンガポール(7万3千円)だった。中国からの訪日客数はコロナ前の66%で、かつての「爆買い」よりも富裕層が、高級ブランド品を購入しているようである。