地方デパート 逆襲(カウンターアタック)プロジェクトその29 空き家へのアプローチ
空家ビジネスのあれこれ
これからの地方デパートの取り組むテーマとして注目したいのが、空き家への対応です。顧客の資産に家付きの不動産がある場合、今後空き家になる見込みはあるのか、或いは既に空き家なのかを把握することが新たなビジネスの種になります。また逆に、顧客が空き家の取得を求めている場合もビジネスチャンスがあります。
既に、日本中で空き家は850万戸を超えていると言われ、人口減少が年々顕在化していく中で、いずれ1000万戸の空き家が生じると予測されています。空家が増えると街が汚れ、また火災や事故のリスクも高くなるので、国や地方公共団体も税制優遇或いは強化措置を施し、空き家の解消に努めています。
では、デパートが行なう空き家に対するビジネスとは、具体的にどういう内容でしょう。次のようなことが考えられます。
- 空き家不動産の売却の仲介
- 空き家の修理、または取り壊し
- 空き家不動産を再生させて、賃貸物件にするサポート
デパートの立ち位置
これらのビジネスに取り組むにあたり、デパートが地域において顧客からの強い信頼を得ていることが大きなアドバンテージになります。どれも自前でその仕事を請け負うことが出来ればそれに越したことはありませんが、基本的には地元の不動産会社や建設会社、工務店と連携して、多くの部分は外注で仕事をしてもらう方が安心です。デパートがすべてを自分で行なう態勢を作る時間も予算もノウハウもないからです。
但し、いわゆる請負主はデパートが務めることが必要です。それにより、単なる仲介に止まらず、顧客と全面的に向き合って仕事を遂行し、主導的にしっかりした対価を受け取ることが出来るからです。この形は顧客にとっても、安心した予算で仕事を任せることが出来るメリットがあり、デパートに対する信頼が増すはずです。そして、その後もその顧客と長期にわたってコミュニケーションを取り続けていくことで、様々な関連ビジネスに繋げていけるのです。
空き家事業へのアプローチは、顧客の求めている生活上のニーズに応える公益性のある事業でありながら、デパートにとって新たな付加価値ビジネスへの大いなるチャンスでもあるのです。
デパート新聞社 社主