1月インバウンド売上高399億円 過去2番目の高水準 1月として過去最

円安効果・客数増加・単価上昇効果 コロナ禍前比5割増 地方にも徐々に波及

 日本百貨店協会が2月22日に発表した1月の全国百貨店のインバウンド売上高(免税総売上高)速報値は、前年同月比約2倍の約399億9千万円だった。現行の統計を開始した14年10月以降で過去最高額を記録した23年12月(477億4千万円)に次ぐ2番目で、1月としては過去最高だった。

 円安効果や購買単価の上昇に訪日客の回復が追い風となり、コロナ前の19年1月(262億2千万円)比では、52%増となった。(図表1参照)日本百貨店協会は、インバウンド需要が徐々に地方にも波及してきたと分析している。

購買客数、39万人 コロナ前の水準に
上位は中国・韓国・台湾・東南アジア

 購買客数は、水際規制が緩和された10月(7万人)から右肩上がりに増加し、1月は39万8千人であった。19年同月比(42万人)では95%でコロナ前の水準にほぼ戻った。

 来店が多かったのは、前月とほぼ変わらず中国本土、韓国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア。

一人当たり購買単価、10万円、コロナ前比1.6倍

 一人当たり購買単価は、19年同月(6万3千円)比 1.6倍の10万円。売上の人気商品は、前月と同じで化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨、紳士服・用品だった。(図表2参照)

1月訪日客数、268万人 コロナ禍前水準に回復
23年4月の水際対策撤廃以降 右肩上がりで急回復 円安も追い風

 日本政府観光局(JNTO)が2月21日に発表した1月の訪日外国人客数(推計値)は、コロナ禍前の19年1月とほぼ同数の266万8100人だった。能登半島地震発生後、東アジアを中心に一部訪日旅行への影響があったものの、23年4月末のコロナ水際対策の撤廃後、訪日客数が増え6月以降8 か月連続で200万人を上回った。1月は特に台湾、フィリピン、米国からの訪日客数増加が数値を押し上げた。

訪日客数、韓国首位、次いで台湾・中国・香港・米国上位5か国で8割、
韓国、台湾、豪州は単月で過去最高を記録

 国・地域別の順位は、前月と変わらず韓国が約86万人でトップ、次いで台湾(約49万人)、19年に全体の3割を占めていた中国は、回復傾向にあるものの19年比半分の約42万人で全体の3位(比率15%)。次いで香港(約19万人)、米国(約13万人)の順だった。この上位5ヶ国合計で全体の8割を、また上位10ヶ国で9割を占めた。(図表4参照)

 全23の国・地域別のうち10か国(韓国、台湾、シンガポール、インドネシア、フィリピン、豪州、米国、カナダ、メキシコ、中東地域)が、1月として過去最高を記録したほか、韓国、台湾、豪州が単月で過去最高を記録した。

 日本政府観光局の分析によると、韓国・台湾からの訪日客が増加した要因は、日本各地へのチャーター便を含む地方路線の増便・復便等であり、豪州の場合は、日本行の直行便数が19年を上回ったことや、継続的な円安とスキー・シーズン等による訪日需要が高まったことである。