11月インバウンド売上高、過去最高394億円

2か月連続で記録更新 11月までの累計3000億円突破

円安・客数増加・単価上昇効果 昨年比2.3倍、コロナ前比5割増

 日本百貨店協会が12月25日に発表した11 月の全国百貨店のインバウンド売上高(免税総売上高)速報値は、前年同月比約2.3倍の約394億9千万円だった。円安効果と客数増加に加え購買単価の上昇もあり、14年10月の調査開始以来の最高数字(19年4月344億7千万円)を前月に続き連続して更新し、最高額を記録した。コロナ前の19年11月(261億5千万円)比では、51.0%増(店舗数調整後)となった。今年1月から11月までの累計額は、3005億円となり、これまで最高額の19年(3461億円)以来、4年ぶりに3000億円を突破した。
(図表1参照)

購買客数、38万人 コロナ前比93% 上位は中国・韓国・台湾・東南アジア

 購買客数は、水際規制が緩和された昨年10月(7万人)に一転し、その後ほぼ毎月連続的に増加し、11月は20年1月(45万4千人)以来最高の約38万人となった。19年比では92.9%でコロナ前の水準にはもう一息だった。

 来店が多かったのは、前月とほぼ変わらず中国本土、韓国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア。一人当たり購買単価、コロナ前比1.6倍  売上の人気商品、化粧品・ハイエンドブランド・婦人服飾雑貨など

 一人当たり購買単価は、19年同月(6万5千円) 比1.6倍の10万3千円だった。売上の人気商品は、前月と変わらず、化粧品、ハイエンドブランド、婦人服飾雑貨、食料品、紳士服・洋品だった。
(図表2参照)

11月訪日客数、244万人 6か月連続200万人超え累計2000万人突破22年10月水際対策の大幅緩和から1年 円安追い風に堅調に回復続く  

 日本政府観光局(JNTO)が12月20日に発表した11月の訪日外国人客数(推計値)は、コロナ前の19年11月とほぼ同数で、2441万800人だった。6月以降6か月連続200万人を上回り、11月までの累計は2233万人で、これまでの記録の19年(3188万人)以降4年ぶりに最高値となった。

 観光庁では、このまま19年と同じ水準が維持されれば、2500万人前後になると見込んでいる。
(図表3参照)

 国際線定期便は、23年冬ダイヤ時点でコロナ前の約8割まで運航便数が回復し、その後も東アジアを中心に増便・復便が継続している。

訪日客数、韓国首位、次いで台湾・中国・香港・米国

 上位5か国で約7割  

 国・地域別の順位は、前月とほぼ変わらず韓国が約65万人でトップ、次いで台湾(約40万人)、中国(約26万人)、香港(約20万人)、米国(約18万人)の順だった。この上位5ヶ国合計数の比率は、全体の69.5%だった。

 本年1月~11月の合計額が19年同期比で最も大きく伸びたのはシンガポール(21.9%)で、次いで米国(17.9%)、韓国(15.7%)だった。
(図表4参照)

 全23の国・地域別のうち13か国(韓国、台湾、香港、シンガポール、インドネシア、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、メキシコ、イタリア、スペイン)が、11月として過去最高を記録した。中国、日本行き団体旅行解禁も訪日客数は鈍い回復

 中国は、8月10日に日本向けの団体旅行を約3年半ぶりに解禁したが、効果は限定的で11月の訪日客数は、25万8300人だった。19年同月比の回復率は34.4%と9月の40%よりも低下した。不動産業の低迷の長期化や厳しい雇用情勢を背景とした国内景気の低迷が影響しているものと見られる。

 中国からの訪日客数は、コロナ前の19年には訪日客全体の約30%(23年11月は10.5%)を、旅行消費額は全体の36%を(23年7―9月期は20.3%)占めていた。中国からの訪日客数は、コロナ前の19年には訪日客全体の約30%(23年11月は10.5%)を、旅行消費額は全体の36%を(23年7―9月期は20.3%)占めていた。