地方デパート 逆襲(カウンターアタック) プロジェクト その21 つながるデパートカーニバル始まる

 地方百貨店逆襲(カウンターアタック、CA)プロジェクトが、令和5年夏から三重県津市の松菱百貨店においてスタートしていますが、その主要戦略の一つである「つながるデパートカーニバル 第一弾 やばいよやばいよ銚子電鉄」が10月11日から7階特設会場で開催されました。「つながるデパートカーニバル」(以下、カーニバルといいます。)は、その名のとおり地方デパート同士、デパートと事業者更に事業者同士がつながっていくことを狙いとしたプロジェクトです。

 そして、この3つのつながりの延長線上には、常に地域の不特定多数の人々が存在します。デパートが発信地となってこのイベントを全国に拡げ、地域のコミュニケーションの輪を拡げていこうというものです。

 今回、参加したのは、横浜の老舗海苔店蔦金商店と千葉県銚子の銚子電鉄です。蔦金商店は創業120年を超え、神奈川県では誰もが知っている有名店で、家庭での利用はもちろん多くの料亭等でも使用されている上質な海苔が自慢の店で、タレント出川哲朗さんの実家としても知られています。銚子電鉄も、開業100年を超える鉄道会社で、銚子市内のわずか 6.4 km の路線を20分程度で走行し、市民から愛されている電車です。ご多分に漏れず利用客の減少、保全費用の高騰で万年赤字を続けていますが、これを補うべく「ぬれせんべい」「まずい棒」を始め様々な食品、鉄道模型(Nゲージ)や鉄道関連グッズ、消耗品などの販売で利益を上げ、黒字化した伝説の会社です。徹底した自虐ネタをSNSを始め、テレビ・雑誌等あらゆるメディアを使って巧みに発信して、多くの支援者を集めています。地元の人々の生活・文化を守る典型的な公益事業者として存在感を年々高めています。

 「カーニバル」では、単なる商品販売に留まらず、ぬれせんべい焼体験を実施、来場者が銚子電鉄のぬれせんべいを焼き、香ばしい香りの熱々の仕上りに蔦金商店の海苔を巻いて食べてもらうというイベントを行い、連日多くの人々が楽しまれました。また、会場入口に改札口を設け、実際の駅員の帽子を被り、切符押印や写真撮影などを行ないました。Nゲージの車両が箱庭風景の街の中を回り、子供ファンを引きつけます。大型のモニターに銚子電鉄の沿線風景ビデオが流れ、いやが上にも地方鉄道と人々の生活との密着ぶりを醸し出しました。

 蔦金商店の海苔は普通の焼海苔を始め、味付もみ海苔、寿司焼海苔、おむすび海苔、出川さん一押しの「元気のりのり」わさび味海苔と海苔製品が一様に並びました。10月18日には銚子電鉄竹本勝紀社長が来場し、会社の苦労物語を1時間以上に亘り熱弁し、多くの来場者の笑いと涙を誘いました。その後の社長を交えての津の方々との煎餅焼体験はとても素敵なコミュニケーションの場となりました。また、松菱内の老舗呉服店「大また」では、早速蔦金商店の海苔を自社の顧客呉服販売会に活用することを決めるなど事業者同士のつながりも進んでいます。

 「つながるデパートカーニバル」は好評の内に10月29日で第一弾を終了、第二弾は11月15日から横浜を代表する洋菓子の老舗「ありあけハーバー」と「赤い靴記念文化事業団」が参加しています。(本紙3面関連記事)