地方デパート 逆襲(カウンターアタック) プロジェクト その10 モノ消費は、まず人を売る

地方デパートは、モノを売ることが基本

 デパート業界では商品が売れなくなり、これからはイベントを楽しんでもらう「コト消費」が大切であると言われて久しいですね。しかし、これも都会のデパートの話で、地方デパートでは「コト消費」はほとんど効果はないと思います。投資をして、それにみあうだけの集客を見込める可能性は極めて低く、赤字を背負うリスクが高いからです。仮に、一つのイベントで成果を上げたとしても、継続的に集客を維持する需要もないのです。

 地方デパートが考えるべきことは、やはり基本通りモノを売ることでしょう。しかし、消費者には、どうしても欲しいものはほとんどなく、どんなに「買ってください」といっても簡単には動いてくれません。だからこそ、売るのはまず人なのです。デパートの従業員を買ってもらうのです。これが、CAプロジェクトの核となる暮らしのサポーター(以下、CSといいます)作戦の根拠です。

暮らしのサポーターの業務とは

 デパートという信頼ある看板を背負って、デパートの社員が地域の方々のご自宅に行き、様々なサービスを提供するのです。家屋やエアコンの清掃・修理、スマートフォンの使い方のサポート、庭の草取り、買物代行…高齢化世帯ではこうしたサービスに対する要求が急増しているのです。

 CSは、デパートの販売員として礼儀正しく温かいコミュニケーションを取ることで、確実に顧客からの信頼感は高まります。その延長線上では、信頼関係が深まったことによる当然の帰着として、「この人のために何かを買ってあげたい」という思いが膨らみます。同じ地域で暮らす者同士としての郷土愛も絆を深めることにつながるでしょう。そして、その人が勤めているデパートがなくなってしまえば、その人も自分も「非常に困る」という気持ちが当り前に芽生え、デパートの支援者となっていくことになります。デパートと相扶ける関係を深めていくのです。