デパート新聞 第2706号 – 令和5年3月15日

1月全国は15.1%増

 日本百貨店協会は、令和5年1月の全国百貨店(調査対象71社、185店〈2022年12月対比±0店〉)の売上高概況を発表した。売上高総額は4311億円余で、前年同月比15・1%増(店舗数調整後/11か月連続プラス)だった。

百貨店データ

  • 神奈川各県令和5年1月商品別売上高
  • 都市規模別・地域別 売上高伸長率

人事異動

  • ㈱高島屋
  • ㈱三越伊勢丹ホールディングス
  • ㈱三越伊勢丹
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 高度経済成長の頃、工業発展のため集団就職を奨励し、農村の破壊をもたらすことになった政策は、今も変わっていない。減反をしながら、外国米を輸入し続けたように、乳製品を輸入させる一方、牛乳価格安定のために、ここ数年牛乳の大量廃棄を酪農農家に強いているニュースが頻繁に流れている。国策で農家が激減したのと同様に、酪農農家も廃業が続いているそうである。

 結果的に、地方を痛めつけることが中央官僚にとっては、一定の成果と考えているとしたら、虚しさは募る。

 日本の将来のために悪いことをしたという自覚もなく、むしろ国のために貢献したと確信している人たちに、政治家はどう向き合ってくれるのだろうか。

岡山天満屋 廃棄予定だった岡山県産「マスカット」「白桃」を使用 クラフトジン販売開始

岡山の新たな産品へ″観光庁「地域の看板商品創出事業」へ立案→採択

天満屋全社営業企画チーム地域商社担当課長の山本寛さん

 岡山天満屋(岡山市)では、廃棄されるはずだった岡山県産高級ブドウ「マスカット」と高級モモ「白桃」素材を使用したクラフトジン「UNITE O(ユナイトオー)」を2月10日( 金) より販売を開始した。

 地域で生産されながら、変形・傷などの理由で廃棄されていた「マスカット」や「白桃」の有効活用方法を模索する中で、素材の個性・オリジナル性が活かされるクラフトジンに注目し、不流通の果実たちをジンのキーボタニカルすれば、見た目にも捉われず使用できると考えた。

 またクラフトジンは食の嗜好の多様化に伴い世界で注目を集めており、現に日本でも酒類全体の消費量は年々低下しているものの、ジンのカテゴリである「スピリッツ」はその消費量を伸ばしている。

 そしてこの案を観光庁の補助を受けられる公募『地域独自の観光資源を活用した看板商品創出事業』へ2022年7月に立案し、2022年9月に採択されたことで開発に至った。

 現在、岡山の新たな産品として観光客へのPRにもなればと、岡山市内のバー約30店舗にて「UNITE O」を使用したカクテルなどを味わうことができる。

 このクラフトジン「UNITE O(ユナイトオー)」は、天満屋全社営業企画チーム地域商社担当課長の山本寛さん(38)が発案した。山本さんは食品部門での長い経験の中で、生産者が作られた加工品の仕入れを担当する機会が多く、「加工品にもならないで、廃棄するしかないものが少なくない。」、「傷もの、農家が産直市場にも置かないような形の悪さ、適正の大きさでないものは流通に流せない。」との生産者の悩みを聞いていて、もったいないと気になっていたのが開発のきっかけとなった。更に、観光庁の「地域の商品を開発しよう」の募集が背中を押した。「地域の困りごと解消の一助になれば」と、こうした「傷物」をこれまで面識があった岡山県内のぶどう農家1軒と桃農家2軒から有償で仕入れてジンの風味付けに利用することを思い立ち、岡山市の宮下酒造に無償で「傷物」を提供し製造を委託した。

 2022年9月から開発に立ち会った山本さんは試行錯誤を重ね、「かんきつ類は香り付けするのが比較的容易というが、ブドウやモモは難しかった。広島や東京の酒造業者からもアドバイスをもらい、バーの店主たちに試飲を繰り返してもらった。」と振り返る。開発にあたり、苦労したのは香り。数パターンを宮下酒造 に作ってもらい試飲を重ねることでどれが一番香りが良いかを探った。また、「地域との密着が今回のテーマ。農家、蒸留所、バーの店主の皆様、関係した人々を口説いて行った。皆さんとどのように連携していくか、関係を築いていくか。が大変な事だった。コンセプトである『無駄を有効活用しよう!』を説明し、一緒にやりませんかと賛同を頂くことに苦労をした。これを乗り越えてきた。」と熱く語る。

 うれしかったのは、商品が出来上がって、皆さんに美味しいと言って頂いたこと。「マスカットのジンはすっきりした爽やかな清涼感、白桃のジンはふわっとした甘みのある余韻が楽しめる飲み口に仕上がった。香りは強くないほのかな香り。アルコール度数が高いのでソーダで割るほうが飲みやすい。バーの店主に納得してもらった味。」と胸を張る。「約30件のバーで採用して頂けた。それぞれのバーから「UNITE O」をベースに新たなカクテルメニューを作るとの言葉を頂戴してとても嬉しい。」と顔をほころばせる。

 また、「観光に来られた方が、桃やマスカットの季節外の時期でもこのカクテルで味わって楽しんで頂きたい。」と期待する。

 商品のブランド名は「UNITE O(ユナイト・オー)」。瀬戸内エリアの上質な価値を束ねる(unite)、唯一無二の価値(original)という意味を込めた。初回はマスカット、白桃それぞれ30キロを使い、いずれもアルコール度数45度で500ミリリットル入り(税込み5,500円)各650本を出荷。岡山県内の天満屋岡山、倉敷、津山各店と広島県福山市の福山店で販売。岡山市内のバー約30店でも提供する。  

 山本さんは「国内外に販路を広げるとともに、イチゴやヒノキ、ピオーネ(黒ブドウ)など岡山にはもっと他にも香り付けの植物成分としての素材があるので、それらの有効活用もしていきたい。」と意欲を見せる。

ブランド名 UNITE O(ユナイト オー)

瀬戸内エリアに存在する上質な価値を束ねる(=unite)と唯一無二の価値(=original)の意

UNITE O —Muscat of Alexandria—

500ml 税込5,500円
岡山市津高地区で栽培されたマスカット・オブ・アレキサンドリアをキーボタニカルに使用。
さっぱりとしたキレのある味わい、爽やかな清潔感を感じられる。

UNITE O ―White Peach―

500ml 税込5,500円
岡山県産の白桃をキーボタニカルに使用。
ふわりとした甘い香りの余韻が楽しめる。

デパートのルネッサンスはどこにある? 2023年03月15日 第65回【東急本店の閉店と百貨店閉店時代】後編

電鉄系の再開発相次ぐ

 前号でも伝えたが、鉄道会社の「経営理念」を反映させた結果なのか、都心の電鉄系百貨店では渋谷東急本店以外にも再開発計画が相次いでいる。

 新宿の小田急百貨店新宿店は2022年10月、建て替えに伴って本館での営業を終了し、解体作業がすでに始まっている。そして、2029年度に完成する地上48階建ての再開発ビルの中に百貨店が入居するかどうかは未定、としているのだ。同じく新宿駅西口では、京王百貨店新宿店も建て替えを計画しており、小田急同様、百貨店の存続等は決まっていない。

  電鉄系百貨店は、三越伊勢丹ホールディングスや、Jフロントリテイリング(大丸松坂屋)、髙島屋など、呉服屋をルーツとする「呉服屋系百貨店(いわゆる老舗)」と比べ、グループ内における百貨店事業の位置づけが低い。

 いや、かつては高かったが、今は駅近の商業施設の中の選択肢の一つに過ぎない、と言っても良いだろう。それは彼らの生業のルーツが、電鉄とその沿線開発(不動産業)であり、百貨店という商売を始めたのは、電鉄の起点となる駅立地の利点を最大限に活用できるから、というのが理由だからだ。

 前号でも述べたが、それが今や、デパート業は儲からないし、もはや「ステイタス」でもないというのが、電鉄系が「再開発でビルを建て直しても百貨店の再開は未定」という真意であろう。

全文は デパートのルネッサンスはどこにある? 2023年03月15日号-65 を御覧ください。

英雄たちの経営力 第6回 白河上皇 その4

全文は 連載小説 英雄たちの経営力 第7回 白河上皇 その1 を御覧ください。

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