22年目を迎えた「ふるさと三重物産展」を開催
令和4年9月7日(水)から12日(月)まで三重県津市にある松菱百貨店において「第22回ふるさと三重物産展」が好評のうちに開催された。
記者は4日目の10日(土)に店を訪問。
開店10分前、入り口には開店を待ちわびる大勢の人たちが長蛇の列を作っていた。普段着のお客様も見え、地元の人が多い様に感じられた。開店時間になると、並んでいた来店客は、上りエスカレーター目指して一目散に催事場へと向かって行った。記者も慌てて追いかけると「たまきや」(名張市)へこきまんじゅうの売場に並ぶ人の列と「相可高校 まごの店」(多気町)お弁当(1日限定100食)の整理券を求める人の列が出来ていた。お目当ての品がある人たちは、とにかく、売り切れてはいけないと考え、開店と同時に売場へと向かって行くのだろう。
取材時間も限られていたため、あまり多くの店舗は取材できなかったが、何店か、出店者の紹介をしていきたい。
たまきや(名張市)
「へこきまんじゅう」(1個201円~)は三重県の観光名所「赤目四十八滝」入り口に店舗を構える「たまきや」の名物饅頭。名前の由来は、赤目滝の名物を作りたいということで何度も試行錯誤を繰り返した末に出来上がった、さつま芋を使用して作った忍者の形のまんじゅうを食べた後、「ぷっ」とおならがでたことによるということ。それで思わず出た「へこきまんじゅうや。」という言葉が商品名になったという微笑ましいエピソードが伝えられている。
忍者福笑門(にんじゃふくえもん)という忍者のキャラクターが目印の「へこきまんじゅう」は7種類の味が楽しめる大人気商品で、商品を買い求める人の列が途絶えることは無かった。
相可高校(多気町)
三重県多気郡多気町相可にある三重県立相可高等学校は、食物調理科のある全国的にも珍しい高校。食物調理科はプロの料理人を育成することを目的としており、卒業生は日本各地の料理店で活躍。また、食物調理科では実践的な教育施設として校外でレストラン「まごの店」を運営している。「まごの店」は2011年5月から日本テレビ系列で放映されたドラマ「高校生レストラン」のモデルとしても有名である。
会場では数量限定のお弁当(1000円)、ガトーショコラ(800円)、高校生が考えたトンでもないカレー(1000円)の3品が販売され、5,6名の生徒たちが元気に呼び込みをしながら販売をしていた。
東洋軒(津市)
津市丸の内に本店を構える「東洋軒」は、明治30年、東京の三田四国町で開業、政財界の重鎮たちに愛されたという名店だ。津で開業したのは昭和3年で、三重県下初のビルディングであった百五銀行の4階に「東京東洋軒」の出張所として開設された。東洋軒は現在でも歴史ある老舗のレストランとして多くの人に知られている。
会場では名物のレトルトの「ブラックカレー」(1080円)やカレーの弁当が販売されていた。特に、松阪牛を100%使用した「松阪牛ロイヤルブラックカレー」の弁当は松阪牛がたっぷりと入ったマイルドで上品な口当たりで2500円を超える販売価格もうなずける逸品だった。
また、ハンバーグステーキ(972円)やカニクリームコロッケ(6個入1944円)、オムライスなどの冷凍食品も販売されていて、いずれも冷凍とは思えない、贅沢な味わいが楽しめるものばかりで、来店客から喜ばれていた。
焼肉千力(松阪市)
「焼肉千力」は松阪市にある平成8年創業の松阪牛を専門に扱う焼肉・精肉店で、松阪市内に3店舗を展開する人気店。会場内では「松阪牛カルビ弁当」(1780円)の実演販売があり、多くのお客様が並んで買っていた。記者も一つ買ってみたが、味の染みた松阪牛が幾重にも重なっていて、「肉を食べた」という満足感を得られる一品だった。
木の下園(伊勢市)
「木の下園」は伊勢市岩淵にある製茶店。宮川の上流、度会町の茶畑から茶葉を直送しており、店では量り売りもしている。
会場で販売されている「伊勢茶深蒸し煎茶 お福茶ん」( 2 0 0 g、2000円)は伊勢神宮外宮に奉納されたお茶で5月の一番茶のみを使用した煎茶。お客様が買われる際は、社長自らが量り売りをしていて、お店の辺りはお茶の良い香りがいっぱいになっていた。
中山酒造(伊勢市)
松阪市の「中山酒造」は文政三年(1820年)創業の老舗の酒蔵。「白米城」が看板商品で、酒造好適米を地元の質の高い地下水を使用して丹念に仕込んだお酒は200年に亘って地元の人たちに愛飲されている。中山酒造では2017年2月6日、火災が発生し、酒蔵3棟を失ったが、ネットで支援金が集められる等して、1年後の4月には新酒の出荷にこぎつけ、復活を遂げたそうだ。会場ではコクがあり、キレが良い辛口の「白米城特別純米酒 淡麗超辛口 伊勢海老」、純米大吟醸酒のキレ、純米吟醸酒の豊かな旨味、それぞれの特徴を活かした絶妙な仕上げが肉の旨味を引き立てる「お肉に合う純米吟醸酒」の「おにあい」(720ml、2750円)が人気だった。記者も「おにあい」を試飲させていただいたが、吟醸酒の芳醇な香りが口いっぱいに広がり、あまりの美味しさに思わず1本購入したほどであった。
生活彩花こころ(鈴鹿市)
鈴鹿市住吉にある「生活彩花こころ」は、鈴鹿織りのバッグや手織りシェニール織りを扱うお店。製品は全て手作りのオリジナルで、カラフルな色彩のバッグやストールは女性に大人気だという。販売価格もお手頃で、東京のデパートで買えば3、4万円はするのではないかと思うようなバッグが2万円前後というお求めやすい価格で販売されていた。松菱には常設店もあるので、松菱へ買い物に行かれた際は、是非立ち寄ってほしい。
デ カルネロ カステ(津市)
本店が津市長岡町にある「デ カルネロ カステ」は大阪市西区と東京都世田谷区に支店があり、全国の百貨店催事でも引っ張りだこのカステラ専門店で、9月には大阪戎橋に新店もオープンしている。
会場では「羊のカスティーリャ」(1箱6個入1461円)が販売されていた。
この「羊のカスティーリャ」はひとつひとつ表面に羊や熊等の焼き印が押された可愛いカステラで、品の良い甘さと口当たりの良さが特徴となっている。
また、最近では宮沢りえさんと森田剛さんが結婚した際、事務所から「デ カルネロ カステ」の可愛いカステラを添えて関係者に報告がされたということで話題になったので、ご存じの方も多いのでは。
川合常務
催事場を巡っていると、津松菱の川合常務にお会いできたのでお話を聞いた。
「今回の『第22回ふるさと三重物産展』は9月7日から12日までの開催だが、同時期に東京池袋の東武百貨店では8日から13日まで『第2回47都道府県にっぽんのグルメショー』が開催されている。池袋でも三重県の物産が多数出店しているので、7日の催事初日には最初にこちらで挨拶を行い、すぐ池袋に向かった。池袋では会場設営のチェックを行い、初日、2日目と滞在して、2日目(9日)の夜、こちらへ帰って来た。10日、11日は相可高校の先生が来てくれることもあり、こちらに滞在するが12日には、また池袋へ行く予定。他所で催事がある時は必ず設営と撤収は自分が立ち合うようにしている。」
川合常務は長距離移動の疲れも見せず、1店舗ずつ催事の出店者にお話を聞いて回る等、精力的に視察をされていた。その様子は、まさに「スーパーデパートマン」というのにふさわしい感じであった。なお、デパート新聞では、今後も引き続き松菱百貨店の活動に注目していく予定となっているので、ご期待願いたい。