激震消費税 – 4

平成15年 2月25日号(第2245号)

納付する消費税計算式のワナ

粗利益を直撃する”本体価格システム”

 百貨店では、顧客は商品を購入した際に、その商品の価格にたいして5%の消費税を支払う。しかし、それがそのまま国に納付されるわけではなく、消費税を預った百貨店が自ら仕入などで支払った消費税との差額を納税することになる。たとえば、1,000円の商品を売った場合、消費税は50円であり、レジでは1,050円が支払われる。一方、その商品の仕入原価が500円、その他諸経費が200円かかっていたとしよう。百貨店は仕入原価500円の5%である25 円と、諸経費200円の5%の10円の合計35円の消費税をすでに支払っているわけである。百貨店は預った消費税50円と支払った消費税35円の差額15円を国に納付しなければならない。つまり、預った消費税50 円は業者に35円、国に15円支払われるわけであり、最終的に百貨店としては「税金は通過しただけ」という状況になるわけだ。いうなれば得も損もないはずである。

ところが、内税表示が実施された場合、このしくみに理屈とは次元のちがう微妙な、そして確実なズレが生じる。具体的にみてみよう。すでに商品は735円(税込み)で仕入がされ諸経費も支払われているとしよう。この商品を売る場合には今迄の1,000円の商品は1,000円でなくなる点に注目してほしい。

つまり、消費税5%を除いた約952円が本体価格となっているわけだ。
本来、順番としては本体価格が先に決まるはずである。しかし、消費者が納得する価格(1,000 )を前提に価格を考えなければならないから、税込みの売り値1,000円がまず決まる。その上で価格設定者は「売る価格」ではなく、売る価格から5%差し引いた価格を基準に利益計算をすることを余儀なくされてしまうのだ。

 この例では1,000円の商品を内税後もそのまま1,000円で売ってしまったら消費税の計算上は預る消費税は1,000円の中の約48円、支払う消費税は35円差し引き納める消費税は13円となり、ほぼ今迄のとおりである。しかしながら百貨店の利益は外税の時は1,000円―700円=300円であったものが、
952円―700円=252円となり、そのまま消費税分を自らかぶってしまうことになり、48円の利益が減ってしまう。

 これは極めて顕著な例であり、通常こうしたことになるわけではないが、このような流れで利益が圧迫されることは必ず予測されるところである。

消費税のしくみと粗利益

(1)現在の外税表示

(売上   1.000円) 預った消費税  50円
(仕入・経費  700円) 支払った消費税 35円
預った消費税 (50円) - 支払った消費税(35円) = 納める消費税 (15円)
売上    (1000円) - 仕入・経費  (700円) = 粗利益   (300円)

(2)税込表示方式(内税)になると

(売上   1.000円) 本体価格  952円
(仕入・経費  735円) 本体価格  700円
       
       預かった消費税 48円      支払った消費税 35円
預った消費税 (48円) - 支払った消費税(35円) = 納める消費税 (13円)
売上     (952円) - 仕入・経費  (700円) = 粗利益   (252円)
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