激震消費税 - 2

平成15年 冬季増刊号(第2243号)

放置できない改正の動き

百貨店は納税者として貢献度のアピールを

 平成十五年度の税制改正で、商品を販売する際には、「商品に係る消費税を含めた総額を明らかにする」ことが義務ずけられた。この方案が成立すれば、平成十六年度四月一日からは商品はすべて内税表示をしなければならなくなる。これは経済情勢の厳しい現在において、百貨店にとっては粗利益を確実に削られ、消費者の需要をも大きく減退させる大きな要因となる危険性をはらんでいる。

 消費者にとって消費税は支払う金額の一部でしかない。しかし現在は商品本体と消費税とが分かれていることによって、商品そのものの金額は消費税を含めずに認識している。内税になれば商品本体と消費税が一体化するので消費税という概念が消え、支払う価格は商品だけのものになってしまうわけである。当然ながら商品の値上がり感はさけられない。

 百貨店の側では価格設定の際に消費税分も含めた販売イメージをつくらなければならなくなるが、これは非常にむずかしい。たとえば一万円均一のセールをするとしよう。今迄レジで自動的に加算されていた消費税分500円が一万円の商品の売上の中に吸収されることになる。消費税は500円はそのまま確保できず、その内いくらかが百貨店の実質値引き部分になってしまうことは十分起こりうるところである。粗利益率は確実に低下していくものと思われる。

「現在、保険医療は非課税だが、サービスを提供する医療機関は自らが経費として支払った消費税分を転嫁できず、その分だけ利益が圧迫されている。
これと似た現象がおきる危険性がある。」税理士の田中潤氏も内税表示義務化の問題点を指摘する。あたかもそれに対応するかの如く政界、財界から消費税率上げの声も相次いでいる。

 平成元年の消費税導入時にはバブル景気と物品税廃止という大きな対抗カードがあった。しかし八方ふさがりの今この時に、内税表示と消費税率上げが結びつくことは百貨店と消費者とのきずなに大きな亀裂を生む爆弾を抱え込むようなものである。百貨店はまさに業界一丸となってこの危機に立ち向かわなければならないのではないだろうか。

 本紙では、業界に極めて大きな影響を与える可能性のある消費税問題を今後徹底取材していきたい。