税と対峙する – 34

平成17年3月5日号(第2291号)

今年は、確定申告の現場で増税ショックの芽が!
年金収入から源泉徴収される人が激増

 確定申告真只中だが、申告現場ではちょっとした異変がおきている。配偶者特別控除(38万円)が今年の申告(平成16年分)から廃止されたため、所得計算上、いつもの年より少し所得が多くなり、それだけ納税が増えたということが申告書を書く納税者に実感されはじめたからである。

 確定申告は、個人はその年の3月15日までに前年分の所得について申告する制度だが、一般のサラリーマンは前年末に年末調整によってその精算が終わっており、申告するのは個人事業者や年金所得者だ。サラリーマンは月々の給与から源泉徴収されているので、年末調整では若干税金が還付され、配偶者特別控除廃止の実感があまりなかったようだが、今回確定申告する人々にとっては、おおよそ所得は例年通りという人がほとんどなので、38万円控除額が減ったことでそれなりに増税が起こったことを気づかされる場になっているようである。

 ところで、高齢者を中心に2か月に一度年金収入がある人は、すでに平成17年分の第一回の支給を受けているが、ここでも惑いの声が上がりはじめた。今まで、全く源泉徴収されていなかった収入から数千円の源泉徴収がされ、「手取り」額が減ってきているのである。

 これはまさに今年から廃止される老年者控除(50万円)、縮小される公的年金控除(20万円~)の影響に他ならない。少なくとも合計70万円が所得加算されることで、仮に今までちょうど所得が0だった人(そしてそういう人がかなり多い層となるのだが)、70万円の課税対象の所得が新たに発生することとなり、10%の税率を乗じた額に定率減税20%を減額して、5万6000円(70万円×10%×80%)の所得税の納付義務が生じる。

 これが、今年の年金収入から天引きされはじめたわけである。また、2か所から公的年金を受けている人は、受給の時点では源泉徴収されていないことも多い。そういう人は、来年の確定申告の時点で急激な納税額に驚くことになりそうだ。そしてこの問題は所得税のみならず、住民税、国民健康保険料の増加にも直結していくことになる。この一年で、多くの高齢者の人たちは政府の大増税政策を体感させられていくだろう。

 果して、この増税ショックを消費税率切上げなど今後の政策にストップをかけるエネルギーにしていけるかどうか、国民一人一人にとって大きな岐路にあるといえよう。