税と対峙する – 22

平成16年5月5日号(第2272号)

官僚の増税構想をうち破れ
消費税値上げは絶対に妥協してはならない

 日本における官僚の支配は非常に根深い。これだけは遠く戦前から全くそのシステムが変わらずに今に至ってしまっているようだ。たとえばイラク問題に関しての外交方針も外務省主導で推移し、マスコミもその援護射撃をすべく、上手に使われていることも周知のとおりである。

 先日、元経済企画庁長官の田中秀征氏から話を聞く機会があった。氏いわく「現在の外務省の高官の半分は二世である。採用や出世についてどういう差別があったかはわからないが、いずれにせよ外交官の家庭に育ち、年少期から海外経験の長い日本人が果たして日本の根を持って日本人のための主張を適格にできるものかどうか疑問である。日本の北端から南の島まで日本の風土で育てられてきた人たちをこそあまねく登用すべきである。」しかりである。

 日本を代表する外交官こそ本当に日本文化・日本人というものを熟知してあたらなければならないはずであろう。こうした官僚の偏向的な支配は音楽・芸能・スポーツなど目に見えないところでも幅広く根をはっている。

 行政の意向を無視しては大規模なイベントを運営するための力は資金をはじめ場所・人脈など多くの面で国民には備わっていないのである。いや、絶対にないことはないのだろうが、そういう「地味なこと」にお金を使うことは適切でないとマスコミに洗脳されている。ここでも官僚とマスコミが極めて巧妙に社会システムをつくってしまっているのである。そのマスコミは極一部の人間、機関が独占して他の介入を許さないのもご存じのとおりである。

 さて、今回のテーマに入りたい。マスコミを手なづけた官僚の戦術はいよいよ増税へと向かっているのである。このところのけたたましい景気回復論はなんだろうか。1997年当時に景気回復を喧伝し、消費税を5%にアップさせて大幅な景気退潮を招いたことは全く頭にないのだろうか。高齢者への一方的増税などは近来にない暴挙である。この影響の出る来年以降の消費動向は非常に心配なところである。多くのデパート経営者は危機感をもって消費税の税率切上げへ防御体勢をとりはじめている。今の状勢をみるにこれは決して黙っていて済むことではないからである。

「増税のための景気回復」  この圧力を全力で食い止め、安易に消費税を上げさせないために今後絶ゆまぬ努力が必要である。