クリック&モルタル(取材)

本誌2020年11月15日号で紹介した「クリック&モルタル」について、開発・運営を手がける株式会社クリック&モルタルの大和正洋代表に取材インタビューをした。

 すでに紹介したように、クリック&モルタルはテナントと商業施設を結びつけるマッチングシステムで、出店希望のテナントに対しては商業施設の区画情報を提供、商業施設に対しては空き区画などへ出店希望のテナントを紹介するもの。1年前のリリース以降、かなりの利用があり、実績も上がっている。取材では、このシステムの開発の意図や、またこのシステムを通してみえるテナントや商業施設の動向などをお伺いした。

編集部:貴社がこのシステムを開発した背景や動機、考え方などをお聞かせください。

大和代表:わたしたちはこれまでテナント出店を中心とした小売業のコンサルティングをしてきました。そこで感じていたのは、小売業にとって厳しい状況が続く中、ECやネットを活用した企業が元気で、成長していることでした。

 私自身、MBA取得時のテーマが、インターネットと実店舗を融合・連動させるクリック&モルタル・ビジネスでした。
10年前にアメリカに留学し、まさに小売業の先進地で、従来型の小売業業態が衰退し、ITで武装した新たな小売業業態が生まれつつある状況を目の当たりにし、以降ずっと動向を注視してきました(その経緯は本紙寄稿「令和2年12月1日号3面 NY視察2019から見る、百貨店のさらに恐ろしい未来」)。
当社のテナント出店のコンサルティングも、ネットシステムを土台として展開できないかと数年前から開発を進めてきました。従来の小売業・店舗の出店は、開発スタッフという人に依存しており、それには量的・時間的限界があり、スタッフのノウハウにたよっています。その点をシステムに置き換えれば、時間的にも人力的にも効率的・効果的なテナント出店が可能と考えました。

編集部: 現在テナントの登録者が800社以上、マッチング件数が毎月1500区画以上とかなり利用されていますが、システムを運営していてテナントや商業施設の反響など、どのようにとらえていますか。

大和代表:大きな反響があったと受け止めています。出店希望のテナントのシステム登録は日々増加、他方商業施設のテナント募集区画の登録も増加しています。
 現在のコロナという状況を考えると、テナントの出店スピードは落ちていると思われますが、当社の登録をみるかぎり、出店スピードというか、出店希望者、店舗物件を探している小売業は増えています。他方、商業施設が厳しい状況から、商業施設の当社システムの登録が増加していることは当然といえば当然かと思います。
来年は毎月2000区画を超えるマッチングを予定しており、人員の補強を行っています。

編集部:出店希望者の登録が増えているということですが、どのような動向があるととらえていますか、あるいはどのような特徴がみられるのでしょうか。

大和代表:当社でも、サービス向上のために、常にテナントと商業施設の登録者の分析を行っています。その中で確実にいえるのは、店舗数は少ないが元気のある小売業が出店を進め始めていることや、卸売業などの他業態から小売業へ進出する企業が目立つことです。傾向としては、よく言われるようにアパレル小売業や飲食店が苦戦している点や小売業のEC進出などですが、そのなかでも今を出店のチャンスと考える企業がみられます。たとえば当社のお客様ですが、アメリカのビーズクッションや作業服をファッション展開した企業はこの1年でかなり出店をしています。

編集部:商業施設は厳しい状況にあると思いますが、システムの運営を通して何かこれといった動向や特徴はありますか。

大和代表:いわれるように商業施設は非常に厳しい状況に置かれています。少し前までは、それでも頑張っている商業施設もありましたが、都心部などの商業施設もコロナとインバウンドの激減などでテナント維持や空き店舗対策に苦労されています。商業施設のスタッフがテナントリーシングを積極的にされていますが、これまでの多店舗展開しているテナントは大方出店を抑制しており、テナントリーシング活動そのものが難しくなっています。リーシング担当者は、テナントの新しい動きを捉えた活動が求められていると思います。
 また、リーシングの領域を越えますが、今後は、消費者動向や時代にマッチした新しい商業機能を提供する商業施設が求められると思います。同じことはテナントサイドにも言えます。それが何かが課題ですが。とくにサービス業種やITを駆使した教育関連、健康関連などのサブスクリプションモデルは新しいプレイヤーが出てくると思います。

編集部:百貨店に関してはどうのようにお考えですか。

大和代表:百貨店は従来プロパーの売場・MDが営業の中心でしたが、業態の傾向として売場のテナント化が進んでします。その意味で、ショッピングセンターと同様に、百貨店もテナントを探していますし、当社システムへの登録もされています。都市部の百貨店もテナント化が進んでいますが、とくに地方の百貨店が、テナント誘致がむずかしいのか、当社システムへの登録が多いです。
百貨店に関して思うのは、百貨店がリーシングをする場合、どうしても知名度があったり、ブランド力のあるテナント、チェーン店を優先されています。百貨店のバイヤーさんは商品に詳しく、商品の目利きだと思います。その力を活かして、これから伸びていくテナントさんを見つけ、育てていくような活動をすべきと思います。以前は百貨店のバイヤーさんは地方のテナントを掘り起こしたり、テナントを育ててきたと聞いています。当社には、まだ多店舗展開していないが百貨店に出店したいテナントや、百貨店に出店していけばうまくいくだろうなと思われるテナントが登録されています。とくに本紙でも取り上げられている地方百貨店は、東京の動きをみながらリーシング活動をするのではなく、地元・地方に目を向けたリーシング活動が重要と考えています。

編集部:最後になりましたが、今後の展望をお聞かせください。

大和代表:システムに関しては、まだまだ改善点があります。効率性をもとめて運営しているのですが、実はかなり人的資源を費やしています。情報を扱うため丁寧な扱いが必要なためですが、今後更に自動化と精度を高めていきたいと思います。情報管理をしっかりとし、安心してお使いいただけるシステムが第一と考えています。また、このシステムの目的はテナントの出店支援と商業施設のリーシング支援ですので、テナントに対しては出店が成功するように、商業施設に対しては適切テナントが誘致できるように新しいサービスを付加しつつ、システムの充実をしていきたいと考えています。
また、来年のSCショーではリーシングご担当者が自分でテナントを探すことができるマッチングシステムをご案内する予定で動いております。これからの時代は店舗開発スタッフ、リーシングスタッフをアウトソーシングする時代が来ると考えており、そのようなニーズにも対応できるサポート体制を整えていく予定です。

 システムへの登録は無料ですので、是非一度サイトへアクセスし、登録してお試しください。

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希望条件登録 https://www.click-mortar.com/

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リーシング登録 https://www.click-leasing.com/