池袋家電戦争その後 - ヤマダとヨドバシ -(後編)

本コラム2023年11月15日号「西武vsヨドバシから考える百貨店と家電の未来」で言及した池袋家電戦争について、再度、前後編でお伝えする。今号はその後編だ。前編では出店を間近に控えたヨドバシと、それに備えるビック、ヤマダといった構図を解説した。今回はヨドバシについてだ。
ヨドバシの資質
2025年9月15日号に、本紙1~2面にルネッサンス特別編として掲載した「ヨドバシの素質と資質」に於いて、ヨドバシによる下請けいじめのニュース(公正取引委員会からの是正勧告)とともに過去の「従業員の不満投稿が多い「ブラック企業」ランキング」を再掲載した。が、今回(8月末付で)新しいバージョンが報告されたので、こちらをご覧いただきたい。
従業員の不満投稿が多いランキング2025上半期
働き方「ブラック企業」小売りワースト企業 口コミ投稿数
※ダイヤモンド・オンラインより
| 1位 | ネクステージ | 43 |
| 2位 | ライトオン | 27 |
| 3位 | いーふらん | 21 |
| 4位 | ヨドバシカメラ | 18 |
| 5位 | I DOM | 17 |
| 6位 | イトーヨーカ堂 | 15 |
2025年1~6月でネガティブ投稿が多かった小売企業一覧で、最も多かったのは中古車販売のネクステージだ。倒産したビッグモーターの不正を継承していた様だ。只、筆者が注目したのは、もちろん4位と6位の企業だ。
4位ヨドバシカメラ
投稿数は18件、主な投稿は下記の通り。
「年老いた会長の言いなりの会社。働き方改革などの時代の流れにはさほど左右されない会社なので、今どきの若者の価値観とは異なる」
「普通に考えると、ブラック。勤務時間が長いし、外出もできない。責任者は勤怠を押した後にまた働く。サービス残業が当たり前」
「残業時間が長く、プライベートとの両立は難しい」
「入社時にノルマはないと言われたが、実際にはある」
「ワークライフバランスはほぼない」
因みに、前号で再掲載したデータは2023年1~12月なので、2025年上半期(今回)の2倍程度の投稿数がある。
※6位ヨドバシカメラ39件
良く見たら、ヨドバシは2年前よりも順位を2ランクアップしている。いや、ワーストランキングだから、2ランク悪化していると言った方が良いだろう。
筆者に解るのは、この2年間で何の対応も、もちろん是正もされていないのだな、という事だ。
ヨーカ堂も
ついで、と言ったら失礼だが、お馴染みの名前を6位で見つけてしまった。無視する訳にもいかないので、こちらも掲載する。
6位イトーヨーカ堂
投稿数は15件、主な投稿は下記の通り。
「とにかく年功序列。実力よりも年齢。どれだけポンコツな上司でも一度役職に就いてしまえば不祥事でもない限り降格はない」
「パワハラ、モラハラが企業文化として根深く浸透している」
「マネージャーのモラハラ・パワハラがとてもひどく、まるで昭和の嫌な上司」
「業績悪化に対する改善の様子がない。社内の雰囲気もあまり良くない」
「GMS業態はオワコンのビジネスモデル」
どの企業もそうであるが、投稿で目立つのは、働き方と上司に関する不満だ。残業や休日出勤の多さ、心身への負担の大きさを指摘する投稿などが目立った。
筆者の意図は、賢明なる購読者諸氏には既にお見通しだと思うが、このブラック企業(と称される)2社は、池袋西武(そごう・西武)を売却した企業(実際は親会社のセブン&アイ)と池袋西武を追いやって本館北側の一等地に新たに出店する家電量販店なのだ。
アンコンシャス
企業に勤めていた経験がある方なら、誰しもが考えるのは「会社への不満」であり、どんな会社であっても、社員の不満が皆無であるとは、考えられない。
しかし、毎回毎回「ブラック企業」ランキングに登場する、ということは、その企業は、従業員の不満に対し最低限の対応をもしてこなかった事は明らかだ。知っていて無視しているのか、もっと悪いのは「気づいてさえいない」という事だ。前回同様失礼を承知で申し上げるが、そんな企業は優良企業とは言えないのだ。
取引先はいじめるし、従業員の待遇は悪いし、それでいて「顧客だけは大事にしています」とでも言うのだろうか。コンプライアンスという言葉さえ聞いたこともないのであろうか。
株式会社ヨドバシカメラのホームページのトップに、会社情報として「会社概要」とともに「夢と現実」というタブがある。開いてみよう。
夢と現実
ヨドバシカメラは売上や市場シェアアップの実現、ローコスト経営の追及のような周りから奪い成長して行く夢の追求ではなく、ヨドバシカメラを利用いただく人、創意工夫を凝らし商品をつくっている人、ヨドバシカメラと共に夢の実現のために一生懸命働いている人に向けて「周りに与える夢」を追いかけます。
会社情報に書かれている「ご卓説」は大変すばらしいが、絵にかいた餅どころか、やっている事は「真逆」なのだ。ここに書いた企業ミッションは夢のまた夢であり、実現していない。そして現実は「従業員や取引先は二の次です」というトップのメッセージとしか思えない。
今年は昭和100年に当たるという。21世紀になって四半世紀、平成を過ぎ令和になっても「コンプライアンス」を一顧だにしない、というのはなぜだろう。筆者の頭には「時代錯誤」という言葉が浮かぶ。
「夢と現実」というタイトル自体、ブラックジョークとしても出来すぎだ。従業員の不満投稿を見る限り、ヨドバシの現実は「悪夢」と言っても過言ではない。言い過ぎであろうか。
※前号掲載の画像が少し小さかったため、本号で再掲載する。右:ヤマダ電機は2025年9月12日に「LABI池袋本店」をリニューアルオープンし、傘下の大塚家具を「ビックカメラ池袋本館」の北側(写真では右側)に独立させ、メインの三越跡にすべての家電を集約させた。左:2023年の画像と比べて貰うと良く判る。

デパート新聞編集長
