6 月インバウンド売上高 4か月連続減少

円高、高額消費冷え込み

 日本百貨店協会が7月25日に発表した6月の百貨店インバウンド売上高(免税売上高)は、前の年の同じ月に比べ40.6%減小し、約392億6千万円で4か月連続のマイナスとなった。

 日本を訪れる観光客は7%伸びたものの、トランプ関税などによる世界景気の先行きへの警戒感や、円ドル為替レートが24年の160円近辺から144円付近に円高に推移して日本で消費するメリットが小さくなったことから高級ブランド品など高額品への消費が冷えたことが原因である。

 今年の上半期(1月〜6月)のインバウンド売上高は2857億円で、24年同期比で14.6%の減少だった。
(図表4参照)

全国百貨店売上高、5か月連続マイナス

 一方、国内市場の売上は、先月まで回復傾向を示していたが6月は2.8%減少したことから、インバウンド売上高を含む6月の全国百貨店売上高は、インバウンド売上高の大幅な減少により、7.8%減と5か月連続のマイナスで4615億円だった。上半期(1月〜6 月) ベースでは、2兆7000億円で前年同期比3.1 % の下落だった。

 なお、インバウンド売上高が全国百貨店売上高に占める構成比率は、インバウンドの落ち込み幅の方が大きかったため前月の9.8%から8.5%に低下した。
(図表1、2、3、4参照)

購買客数、今年最少

 6月のインバウンド購買客数は2か月連続減で前年同月比13.8%減少の50万6千人だった。

 香港、韓国が大幅に減少した半面、タイ、マレーシアが増加した結果、中国が最も多く、次いで台湾、韓国、香港、タイ、シンガポール、マレーシアの順であった。これまでで購買客数が最も多かったのは24年6月の57万9千人である。

一人当たり購買単価、低下続く

 高額品の買い控えから一人当たり購買単価は、2月以来5か月連続で低下し約7万9千円と前年同期比31.2%減少し、20年1月以来の最低水準に落ち込んだ。なお、これまでで最も高い購買単価は、24年5月の12万6千円である。

売上人気商品、化粧品・ハイエンドブランド・婦人服飾雑貨・食料品

 売上の人気商品は、前月とほぼ変わらず化粧品、ハイエンドブランド(バッグ、財布、宝飾品など身のまわり品)、婦人服飾雑貨、食料品、婦人服だった。

訪日客数、6月として過去最多337万人 

 日本政府観光局(JNTO)が7月16日に発表した6月の訪日外国人客数(推計値)は、前年同月比7.6%増加し6月として過去最多の337万7800人だった。

 全体の4分の3を占めるアジア地域からの訪日客が中国、シンガポールを中心に増加、また全体の1 割を占める欧州ではドイツ、スペイン、イタリアを中心に30%を上回る高い伸びを示した。さらに全体の1割を占める北米からも20%以上増加した。

 これは日本への旅行人気が継続していることや、4月13日に開業した大阪・関西万博などのビッグイベント等を目当てにスクールホリデーに合わせ旅行者が増えたことや、島国である日本への最大のアクセス方法である航空便の増便・新規就航やクルーズ船が増加していることが要因である。
(図表3参照)

6月訪日客数、トップは中国、次いで韓国、台湾、米国、香港

 6月の国・地域別の順位は、中国からの訪日客が79万7900人と最も多く、次いで韓国(73万人)、台湾(59万人)、米国(35万人)、香港( 17 万人)の順で、この上位5か国が全体に占める比率は77%だった。香港は、7月に日本で大地震が発生するという流言飛語がSNSを中心に拡散し、日本への旅行を見合わせる動きが出たことにより前年比33%減少した。
(図表5、6参照)

米国からの訪日客数過去最高、15か国・地域が6月として過去最高

 単月で過去最高を更新したのは、米国。また6月として過去最高を記録したのは、韓国、台湾、シンガポール、インド、ベトナム、カナダ、メキシコ、英独仏伊、スペイン、ロシア、北欧、中東の15の国・地域だった。韓国は、中国や東南アジアなどへの旅行需要が高まりつつあるものの、仁川〜函館間、仁川〜静岡間の増便や座席数増加、6月初旬の3連休等により訪日客数は約73万人と6月として過去最高を記録した。

 中国は、臨沂〜関西間の新規就航、長沙〜関西間、杭州〜那覇間や合肥〜関西間のフライト増便やスクールホリデー等により訪日客数は約80万人と20 %増加した。

 台湾は、台北桃園〜新千歳間、高雄〜福岡間の増便やクルーズ船寄港の影響により58万5千人と6月として過去最高を記録した。

 米国は、6月上旬からのスクールホリデー(夏季休暇)による若者の旅行が増えたことに加え、継続する日本人気等により訪日客数は単月として過去最高34万5千人を記録した。

 ロシアは、ウクライナ侵攻による各国からの制裁などによる影響が続いているものの、クルーズ需要の高まりのほか、中国経由を始めとした経由便の多様化もあり昨年比111%増と最大の増加率で6月として過去最多の1万1900人であった。

1月〜6月累計、最速2000万人突破

 25年1月〜6月の合計数は、昨年同期を370万人上回り2151万8000人となり過去最速となる6か月で2000万人を突破した。

 内訳では、韓国478万人(前年比7.7%増)が最多で、次いで中国472万人(前年比53.5%増)、台湾328万人(同10.3%増)、米国170万人(同26.7%増)、香港127万人(同0.4%減)であった。

 中国は、6月東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出を受けて、24年から停止していた日本産水産物の輸入について、福島県や宮城県、東京都など10都県を除き、再開したほか、2001年BSE(牛海綿状脳症)発症後に停止した日本産牛肉の輸入再開に必要な協定を発効し具体的な協議に入るなど、日中の貿易関係正常化などの動きを受け訪日客が、このままのペースで戻ってくればピーク時の19年の年間959万人をオーバーすることが期待される。
(図表7参照)

4―6月期インバウンド消費、18.0%増加

 観光庁が7月16日に発表した25年4—6月期のインバウンド消費額(訪日外国人旅行消費額)の1次速報値は、前の年の同じ期間に比べ18.0%増の2兆5250億円だった。訪日観光支出がもたらす経済効果は、過去を見ると消費額のおおむね2倍程度となっていることから、4月―6月期の経済効果は2・5兆円の2倍の5兆円程度と推測される。

 国別では、中国が5160億円( 構成比20.4%)と最も大きく、次いで米国3566億円(同14.1%)、台湾2915億円(同11.5%)、韓国2312億円(同9.2%)、香港1354億円(5.4%)の順である。
費目別の構成比は宿泊費が38.5%と最も多く、次いで買物代(26.2%)、飲食費(21.0%)であった。
24年同期比では、宿泊費が33%から38.5%に増加した半面、買物代が30.9%から26.2%に減少し、モノからコトに変化していることがうかがえる。
訪日外国人一人当たり旅行支出は23万9千円で、国籍・地域別では英国(44.4万円)、イタリア(39.8万円)、ドイツ(39.6万円)の順で高かった。

 費目別で最も大きかったのは、宿泊費が英国、飲食費・交通費はイタリア、娯楽サービス費はオーストラリアだった。
(図表6参照)

買物代は中国が突出

 国籍・地域別の買物代は、中国(2061億円)が突出しての首位で、次いで台湾(970億円)、米国(649億円)、韓国(556億円)、香港(408億円)。

 一方、訪日客全体の一人当たり買物代は、24 年10-12月期の6.8万円から3期連続して低下し6.2万円となった。最も大きいのは中国(9.7万円)、次いでロシア(8.4万円)、シンガポール(7.1万円)、香港・タイ・マレーシア(6.6万円)の順であった。

富裕層の旅行消費額 大幅増加

 観光庁が6月11日に発表した高付加価値旅行市場規模調査によると、23年の訪日高付加価値旅行者(一人あたりの総消費額が100万円以上の富裕旅行客)の消費額および旅行者数は、19年比で大幅に増加しており、その増加率は世界を上回った。

 富裕旅行客は、宿泊、飲食、ショッピングなどに価値を感じると惜しみなく高額出費を行う。
23年の富裕旅行客は訪日客全体の2.4%(約59万人)に過ぎないが、消費額は約19%(約1兆円)を占め観光地には大きな
経済効果を与えている。
(図表8参照)

 ただ大都市圏への訪問が多数を占め、地方を訪れる富裕旅行客は極めて少ないことから、観光庁は富裕旅行客への働きかけを強め消費額増加と、地方への誘客促進を重視するとしている。

政府、地方誘客促進に重点

 政府は、30年に訪日客数6000万人、インバウンド消費額15兆円を目標に設定している。

 富裕旅行客の誘致による経済効果は極めて高く、旺盛な旅行消費を通じて地域の観光産業のみならず多様な産業にも経済効果が波及し、地域経済の活性化につながる。また富裕旅行客による旺盛な知的好奇心を伴う自然体験・文化消費を通じ、地域の自然、文化、産業等の維持・発展、地域の雇用の確保・所得の増加や地域活性化に寄与することから、今後のインバウンド戦略において富裕旅行客の誘致は重要な柱であるとして、魅力的なコンテンツの造成、上質な宿泊施設、地方への送客・ガイド・ホスピタリティ人材の育成、海外の有力旅行会社とのネットワークづくり、販路形成、富裕旅行客のニーズを踏まえた移動のシームレス化の5観点から地方誘客に必要な取り組みを実施するとしている。