地方デパート 逆襲(カウンターアタック)プロジェクト そのその55 公益とボランティア、そして、収益事業と公益事業の在り方

公益事業はボランティアではない

 私は、公益社団法人の責任者を長く務めていますが、復興支援の活動を続けていてよく言われるのが、「ボランティア活動をやっておられ大変ですね」という労いの言葉です。日本では公益事業の本質が未だに定着していないのだということを思い知らされる瞬間です。

 日本における災害復興支援のボランティア活動は、基本的に個人の尊い志によって進められます。災害直後からの炊き出しや土砂の清掃、災害ゴミの整理など、身一つで被災地に駆けつけ、被災者に対して今必要なことを無償で行なう活動です。今では被災地において無くてはならない存在であり、行政も戦力として「当てにして」います。ただし、こうしたボランティア活動は参加も撤収も、個人の判断に任されています。つまり、その活動に対して結果責任を負う義務はありません。無償なので、当然ではありますが…。

 一方、公益法人が行なう活動は、継続を前提として行なわれることが少なくありません。そして、その活動は事業として位置付けられます。事業であるからには、一定の結果責任も問われます。また、継続して行なうからには事業者は一定の予算を組んで、合理的な資金使途を考える義務が生じます。そしてここが重要なのですが、活動を行なう職員への支払いは有償で、合理性のある金額を支払う必要があります。相場とかけ離れた非常識な金額では誰も仕事を続けてくれるはずはなく、事業としても継続できないのです。

 もちろん、責任者である代表者への支払いは、無償ということも少なくありません。これは、公益活動を行なおうという利他の志を立てた代償として覚悟せざるを得ないわけですが、全く経済的利益を得てはならないということになるとその人自身の生活にも支障をきたすことになるので、必要に応じて一定の支払いをすることは必要であると思います。そして、公益事業という名のとおり事業として継続することを前提とするからには、活動に係る費用を賄うための収入が必要です。
しかし、多くの場合公益活動そのもので収入を得ることは困難です。したがって、公益活動を続けられるように別途の収入源を作る必要があります。これが、公益法人が収益事業を行なう必要性なのです。利益を上げられる事業を見つけて、その事業で獲得した果実で公益事業の支払いを賄うわけです。こうした事業は、顧客も社員も楽しみながら収益を上げることを目指す裏の公益事業ともいえます。

デパートの公益事業化

 さて、デパートをこの形に当てはめて検証してみましょう。そもそもデパートは営利法人ですが、地域のために様々な公益活動を行なっています。その多くは地域の重要なコミュニケーションイベントと位置付けられ、継続性を求められます。営利法人なのでこうしたイベント事業も営利事業の一つとして捉えられているのですが、これからはデパート自身がこうした活動を公益事業として意識し、本来の物販やサービス部分の事業と区別して考えることが必要です。それにより、地域の方々や取引先、そして何より従業員がデパートは公益事業をしていかなければならないことを自覚することで、地域での存在価値を理解してもらうのです。

 デパートは公益事業を行なうために社員に給与を支払い、それを収益事業で賄っているという位置づけが明確になれば、公益法人に準ずる存在としてデパートはより地域の中で不可欠な存在としてリスペクトされるはずです。