昭和24年10月創刊

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デパート新聞 第2653号 – 令和2年12月01日

10月東京は4.3%減

日本百貨店協会は、令和2年10月東京地区百貨店(調査対象12社、25店)の売上高概況を発表した。売上高総額は999億円余で、前年同月比マイナス4・3%(店舗数調整後/13か月連続マイナス)だった。店頭・非店頭の増減は、店頭マイナス5・9%(90・0%)、非店頭12・6%増(100%)となった。
※()内は 店頭・非店頭の構成比

百貨店データ

  • 3社商況10月
    • 三越・伊勢丹ホールディングス
    • 髙島屋
    • 大丸松坂屋百貨店
  • 10月店別売上前年比(%)
  • 都内各店令和2年10月商品別売上高

令和二年度百貨店各社中間決算報告

 令和2年度の百貨店の中間決算が公表された。

 コロナウィルスの影響で売上は、前年対比60~70%が大勢となっており、中には50 %割れの百貨店もある。特に都心の百貨店は外国客向けの売上がほとんど無くなったことで売上の減退は如実になっている。利益も大幅な赤字になっており、来年決算期の見通しが未定の百貨店も少なくない。

 今後、コロナウィルスの拡大も全く予断を許さない中で、どのような経営になっていくのか、深刻度は増すばかりである。

  • 松屋
  • 山陽
  • J・フロントリテイリング
  • ながの東急
  • 高島屋
  • さいか屋
  • 井筒屋
  • 大和
  • 近鉄
  • 三越伊勢丹ホールディングス
  • エイチ・ツー・オーリテイリング
  • 丸井グループ

地方百貨店の時代 その5

~ デパートと無駄 貨幣価値の重さ(1) ~

デパート新聞社 社主
田中 潤

デパートの無駄な事と顧客の立場

 無駄なことというのは、益の無いことを意味する。無駄なことは経済の基本である利益を上げることをしない行為なのだから、デパートにおいても大前提やってはいけない概念と言えるだろう。

 ところが、顧客側の立場はまさに真逆であり、デパートが少しでも利益を上げようとすることで、結果的に顧客は自分たちの財を吸い取られることにつながるので警戒するのである。

 小売ビジネスというのは、無駄なく合理的に進めたい供給者と出来るだけ無駄をして欲しい消費者の間の対極的なこの考え方を調整することで成立を目指すわけである。その時、商品独自の価値については、消費者が決めることは当然の帰結である。

商品の価値基準

 その価値の確定のための判断基準は貨幣価値という方式、つまり、他の商品と比べ高いか安いかという金額認識のみでなされるものとの思い込みが、長い間日本のデパートの経営方針を決める指針になってきてしまっていたようである。

 ところが、消費者が商品を購入する判断基準は、貨幣価値だけではない。まず、その商品そのもののオリジナリティー、稀少性が明確に優れていれば、一定の顧客はプライスを確認することなく購入に進む。つまり、ここが満たされた商品は無敵に近いが、今のほとんどの商品はその状況にない。そこで、購入にあたりどんな付加価値を付けられるかが意味を持って来る。

 そこでは、販売員の人柄、真摯な態度などの接客力、更に購入する場所が醸し出す居心地の良さや安心感などが大きく寄与することになる。注意しなければならないのは、貨幣価値重視の経済方針をとると必ず合理性、効率性が働き、前述した目に見えない要素は、貨幣価値では計りきれないので、勢い切り捨てる判断が加えられることになる。特に、デジタル化社会においては、その嫌いは顕著になっていくといえるだろう。

無駄だと思うことをあえてする

 ここでのポイントは無駄なことでも状況によっては緻密に行っていこうということではなく、一歩進んで、今迄無駄と思っていたことを改めて見直し、やるべきことは勇気をもって率先して進めていきましょう、ということである。地方百貨店は、地域というある一定の場の中で顧客と結びつくだけに、BtoC の関係も都市百貨店と比べて一層強固になる可能性をもっている。

 大都市のデパートよりもデジタル化への移行に距離をとってきたことを奇貨として、地方百貨店は人を中心に据えた無駄を重視した方針を進めていくためのふところは広い。商品の価値はその商品独自が作らなければならない。

 マルクスが掲げた商品へのアプローチ即ち商品は貨幣価値をすべてと考えてはいけないという思想に回帰すべき時なのである。そして、次の段階でその商品とは単品のそれではなくデパート全体も合わせて一つの価値を形成していくのである。

メリカ大統領選挙は終わったが、敗れた候補が敗北宣言をすることで勝者が実質的に動き出すという慣例は、今回機能しなかったようである。この敗北宣言の内容で敗れた候補の人格・引き際・美学が語られ、何よりも民主主義の在り様が示される。

 これは、法律で決められた行為でなく、あくまで人としての道徳心・倫理感に強く支配された行為である。「形式的に決められた法律を超え、人としてあるべき行為をする」モンテスキューが語った法の精神に従ったものなのであろう。

 現職大統領は法律を覆すようなことを度々起こしたが、法律外のところでもその資格からは遠い存在であったのだろうか。

連載:デパートのルネッサンはどこに有る? – Go to Shopping

都心百貨店の現況 〈3大デパート他〉

先ず、大手百貨店3社の10月売上前年比を見て行こう。

三越伊勢丹▲1・7%
髙島屋+2・7%
大丸松坂屋▲6・1%
(数値はすべて既存店ベース)

 尚、アイテム別詳細については、一面記事を参照いただきたい。 

 3社の内、高島屋のみ前年同月実績を上回った。前年の消費増税による買い控え反動に加えて、高額品が堅調だったと言う。他の2社、三越伊勢丹、大丸松坂屋も前月に比べて減収幅が縮小した。

 三越伊勢丹は三越銀座店を除いて増収に転じた。伊勢丹新宿本店は2・7%増となり、三越日本橋本店は3・4%増となった。但し、三越銀座店は26・9%減で、インバウンド需要の落ち込みが響いた。全店的に、ラグジュアリーブランドや時計、宝飾品など高額品が上向いて来た。 高島屋は二子玉川店、日本橋店、立川店といった店舗名にSCの付く3店舗が2ケタ増となった。三越伊勢丹同様、特選衣料雑貨、宝飾品、リビングが前年を上回った。

 大丸松坂屋は大丸神戸店、松坂屋名古屋店が2ケタ増で、ラグジュアリーブランドが20%増、美術・呉服・宝飾が40%増だった。

 大手3社以外でも、そごう西武は西武池袋本店が4%増を確保したほか、時計・宝飾品など高級雑貨が80%増となり、髙島屋同様前年比6・3%とプラスに転じた。

 一方、阪急阪神百貨店は、阪急うめだ本店全体では1・1%減も、ラグジュアリーブランドが2ケタ増、時計が2倍となり、高額品が全体を牽引した。

 但し、こちらもインバウンドマイナスをカバーするには至らず、前年比で2・8%マイナスに止まった。

 新型コロナウイルスの影響で、外出を控える傾向は都心であるほど強く、入店客数は30~40%マイナスと低迷したままだ。各社とも、特選衣料雑貨が堅調だった一方、ナショナルブランドを中心とする衣料品や、デイリー要素の強い服飾雑貨は10%マイナスだった。髙島屋とそごう西武も増収を確保したとは言っても、前々年と比べて2ケタ減を強いられており、「消費の回復」という実感には、程遠い状況だ。

 もちろんこれは10月のデータであり、続く11月12月も緩やかな回復傾向が続くという保証はどこにもない。

 現に、11月下旬からコロナの新規感染者数は不気味なほど増加しており、メディアでは明確に「第三波」の襲来だと断じている。

続きは デパートのルネッサンスはどこにある? 2020年12月01日号 を御覧ください。

無駄なこと part1 定常型社会での在り方

犬懸坂祇園
作詞、作曲などをしております

無駄なことの意味

 私は、ある時から「無駄な事」の意味が気になるようになった。広辞苑を引くと、無駄とは「役に立たないこと。益のないこと。」と定義している。そのまま解釈すると、単純に良いことでも悪いことでもないようだ。主観的には良いことではないけれども、例えば、自分には無駄なことでも、他人にとっては必ずしも悪いことではないのではないだろうか。

 無駄な事をする自分は、自分にとっては意味のないこと、益のないことをしているのだが、それはあくまで自分の中だけの合理的思考であり、それが他人にとっても益のないことなのかと考えると、むしろ、他人にとっては良いことも少なくないと思うようになってきたのである。つまり、ある行為について無駄な事だ、という自意識はあったとしても、それは必ずしも絶対的な真理ではないという解釈も成立するだろうということである。私は、主観的な無駄と区別してこうした特殊な無駄の存在価値について考察するようになった。

無駄な事は良い事

 さて、「人生には、無駄な事はない」という慣用句がある。が、そうすると、無駄は人生の中に存在しないということになる。つまり、無駄だと思っていることが、実は無駄ではなかったということになり、無駄な事も良いことであるという結論になるのではなかろうか。

 やや哲学的になってしまったが、改めて整理すると、無駄だと思っていることも見方が変われば、必ずしもそういうものでもないということだ。その多くは、相手とのコミュニケーションにおいてしばしば生じる。

相手にとっては無駄ではない事

 具体的には、自分にとって「無駄な事」を相手に対してやってあげることは、相手にとっては無駄ではないという現象である。ならば、無駄を恐れず、一歩進んで敢えて無駄な事を前向きに行っても良いのではないだろうか。自身の合理性の排除である。そして、この発想こそ、デパートが顧客に対し為すべき重大な原則となり得るのである。

 本スペースでは、無駄の考察を通じて、定常型社会における無駄な行為とデパートでのコミュニケーションの在り方を模索していきたい。

特別寄稿 NY視察2018から見る、百貨店のさらに恐ろしい未来

株式会社クリック&モルタル代表取締役社長
大和 正洋

 今回はニューヨーク(以下NYとします。)視察で、日本の商業施設・百貨店の未来を垣間見ることができましたので、ご紹介致します。NYで見たのは、ECに押される小売店、ショッピングモール、百貨店でした。まさしく、消費者の購買行動の変化そのものでした。そして逆に、ペルトンに代表されるネット企業が、実店舗を展開し始めています。10年後には、日本もアメリカ同様EC比率が10%を超えることは間違いなく日本にも確実に訪れる変化だと考えています。

続きは 特別寄稿 NY視察2018から見る、百貨店のさらに恐ろしい未来 第1章 を御覧ください。

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