2月インバウンド売上高、前年比14%増 2月として最多538億円

 日本百貨店協会が3月25日に発表した2月の百貨店インバウンド売上高(免税売上高)は、過去最高の35か月連続増加し、前年度比14.5%増の538億円だった。

 今年の春節(旧正月)休暇が1月28日〜2月4日と月をまたいだことや、うるう年だった前年より営業日数が減るというマイナス要因があったものの、引き続き訪日客数が増加したことを背景に、2月としては過去最高を記録した。特に中国からの購買客数と売上が伸びた。 

 一方、インバウンドを含む2月の全国百貨店売上高は、降雪や寒波などで外出を控えるなど天候が影響し入店客数が減り4か月ぶりに前年を割りマイナス1・5%に転じ、寒さで主力の春物衣料品や服飾雑貨の動きが鈍かった。ただ、卒業・入学等の季節需要は堅調に推移したほか、バレンタイン商戦は豊富な商品展開や関連イベント、SNSを活用した施策などにより活況だった。

 インバウンドが全国百貨店売上高に占める比率は前月とほぼ変わらず12.7%であった。(図表1、2参照)

購買客数、前年比29%増 2月として過去最多54万人

 2月のインバウンド購買客数は54万1千人で、売上高と同様に2月としては過去最多だった。

 国別では、前月に続いて中国が最も多く、次いで台湾、香港、韓国、タイ、シンガポール、マレーシアの順であった。

売上人気商品、化粧品・ハイエンドブランド・食料品・婦人服飾雑貨

 2月の一人当たり購買単価は約9万9千円で、19年同月(7万8千円)を3割上回った。

 売上の人気商品は、前月とほぼ変わらず化粧品、ハイエンドブランド(ラグジャリーブランドのバッグ、時計、宝飾品等)、食料品、婦人服飾雑貨、婦人服だった。

訪日客数、2月として過去最多325万人

 日本政府観光局(JNTO)が3月19日に発表した2月の訪日外国人客数(推計値)は、前年同月比16.9%増加し過去最多の325万8100人だった。これまで2月の数値は、24年の278万8224人が最多であったが、今年はこれを大幅に上回り初めて300万人を突破した。今年1月からの累計は前年に比べて28.5%増の703万9300人に上り、前年を上回る水準で推移している。

 要因は、訪日旅行人気が継続していることや、日本への航空便の増便、春節休暇により中国や台湾などアジア諸国からの訪日客が増加、ウィンタースポーツ需要などにより豪州や米国から前年を約3割上回る多くの旅行者が集まったことにある。これから始まる花見シーズンには例年訪日客が増加する傾向があることからインバウンドの動向が注目される。

訪日客数、韓国首位、次いで中国・台湾・香港・米国

 訪日客のほぼ82%はアジアが占めている。2月の国・地域別の順位は、韓国が84万7300人で最多で、次いで中国(72万人)、台湾(51万人)香港(20万人)、米国(19万人)の順で、この上位5か国が全体の75%を占めた。

 韓国は、為替レートがウォン安傾向になったものの仁川〜熊本間や仁川〜新千歳間などの期間増便や、清洲〜帯広間等のチャーター便運航等があり訪日客数は2月として過去最高を記録した。

 中国は1月下旬から始まった学校の休みと春節が重なったことや、大連〜成田間、深圳〜成田間、広州〜福岡間などのフライト増便や日本人気が高く前年同月比57%と最も伸び率が高かった。(図表3参照)

ベトナム、単月過去最多

 19国・地域が2月最多テト(旧正月)休暇の影響もあり訪日客数は単月として過去最高を更新したほか、19の国・地域が2月として過去最高を記録した。その内訳は韓国、台湾、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、インド、豪州、米、カナダ、メキシコ、英独仏伊、スペイン、北欧、中東。