地方デパート 逆襲(カウンターアタック)プロジェクト そのその48 CA プロジェクトの松菱百貨店での(その4)

 今回は食べる本屋さんの運営方法の中における「場」のイメージの発信についての話を前号に続き致します。

(2) 場のイメージの発信(前回より続き

②信セレンディピティ(偶然の幸せ) ワクワク感のある店づくりを進めます。具体的に挙げます。

▼お預かりした本を薦めるコンシェルジュ(CAプロジェクトでは、暮らしのサポーターと呼びます)が顧客と向き合います。

※暮らしのサポーターは、地方デパートCAプロジェクトの根幹となる基本戦略です。暮らしのサポーターは、デパート仕込みの接客の粋を尽くせる人として、モノを売るよりも自分を買ってもらうということを目指し、顧客との信頼関係を築くことを第一の目標としてにコミュニケーションを図る存在です。

▼食べる本屋さんのロゴマークをつくり、多くの人の記憶に留まるよう発信します。

OBITOY(オビワン)さんが作成し好評です。

▼デパート内の本屋として、温かみのあるおしゃれなインテリアにしました。

天井には、緑のプランテーションが覆われ、店の周りには、植木鉢を沢山ディスプレイしています。

▼立ち寄れば楽しい場ですよ、といつも発信し続け、本を求めていない人も来たくなるようなコミュニケーションを最優先した店づくりを今後も続けていきます。

 最後にCAプロジェクトの根幹とも言える「食べる本屋さん」における公益の考えに触れましょう。

(3) 公益の志

●基本的にベストセラーや雑誌など、地元の本屋さんと競業になる本の販売はしません。もし、購入希望があれば地元の本屋さんを紹介、または本屋さんからの取り寄せで対応します。

●スイーツのパティシエと共同で、食べる本屋さんブランドのデザートを提供します。これは、デパート新聞の連載小説「パフェ屋のパフェ子さん」の中で提供されるパフェを、季節のフルーツを活かして、贅沢にオリジナリティのあるものに昇華させ、展開していく準備をしています。

●食べる本屋さんを利用した顧客が、出品している全国の出版社さんに直接顧客が興味のある本にすぐにたどりつくことが出来るよう、オリジナルのポップカードを一冊ごとに作っていただいています。また、本を購入してくれた顧客には出版社に向けた本の感想をカードで受け付けています。これを食べる本屋さんが出版社に届けます。出版社さんからは「丹精込めて作った自社の本がどんな顧客に手に取ってもらえるのか、大変興味深い」というお声をいただいています。本を販売するだけでなく本が生まれた場所も伝えていくことで、地域を繋げていくコーディネーターとしての役割も担うわけです。様々な日々の営みはホームページやSNSで発信し、閲覧できるようにします。

●食べる本屋さんの経営実績は、具体的な数値で決算時に公表します。書店運営を志す方の参考にしていただきます。これは、あまり胸を張った数字にはなれそうにもありませんが…。

 「食べる本屋さん」は、本をテーマに地域の方々とのコミュニケーションの場を作っていくことを主題として考えています。そして、テーブルに座って、暮らしのサポーターから全国の出版社が選りすぐって提供してくれた本の話を聞いたり、コーヒーや日本茶を味わったり、ゆったりした時間を過していただきます。本の中で紹介された雑貨や食品などは店内で販売し、デパートの他のフロアの商品のご案内もいたします。つまり、「食べる本屋さん」はデパートのすべての商品と有機的に結びついているわけです。日本中どこにもないデパートと本屋さんの不思議なコラボレーションは、デパートに訪れた多くの方々に小さな幸せを提供できると思います。これこそが、CAプロジェクトが掲げる公益事業に他なりません。