2025 States of Tops Message
4月からの新年度は三つの重点事業を進め、百貨店は進化を重ねながら、豊かな消費生活の実現への役割を担う
明けましておめでとうございます。
新年を迎え、会員各社、並びに関係先の皆様のご多幸を心よりお祈り申し上げます。
さて昨年を振り返りますと、様々な出来事がありましたが、百貨店にとっては、円安を背景としたインバウンドと、ラグジュアリーブランドや高級時計、美術・宝飾など高付加価値商材の増勢により、業界全体としては、年間を通じてほぼ好調な一年であったと思います。
特に、インバウンド業績につきましては高伸が続いており、年間の売上高、購買客数は共に、調査開始以来の過去最高を更新しています。
このように好調な状況のもとで、新春を迎えられますのは喜ばしいことですが、一方では、業績の地域格差が顕著であり、好調な都市店とは対照的に、地方の各店では、未だコロナ禍前の水準まで回復していないという現実もあります。
地方店を取り巻く経営環境は、地域経済の停滞と共に厳しさを増しており、一社単独では解決困難な課題も多くありますので、その改善に向けて、協会も何らかのお手伝いをして参りたいと考えております。
現在、当協会では、4月から始まる新年度の事業計画を練っておりますが、その中の重点事業が三つほどございます。
第一には、先ほど申し上げたように、私が会長就任後、強く関心を持っている地方百貨店に向けた取り組みでございます。
私は、この半年間、数多くの地方百貨店各店を自ら廻り、直接、トップの皆様と意見交換を行うとともに、各社の若手社員の方々ともコミュニケーションを取って参りました。
各地域の課題や協会への要望など、いろいろとお話を伺うことができましたので、新年度では、その情報をもとに、地方店の活性化を意識した、いくつかの事業を開始することを予定しております。
二番目としては、インバウンド対応。大都市において好調を続けるインバウンドの恩恵を地方にまで波及させるとともに、今後、改正される消費免税制度についても、業界全体で混乱することなく確実に対処していきたいと考えています。
三番目はデジタル。本年度から協会内に設置した「百貨店DX勉強会」では、デジタル庁にもご協力をいただきながら、現在、百貨店の未来像を検討しています。本年は、一定の成果を出せるように、この取り組みを一層加速させたいと思います。
わが国の百貨店は、これまで様々な困難に遭遇しながらも、他に類のない業態価値を持って存在して参りました。
業界の存続が危ぶまれたコロナ危機も、業態特性を生かしながら何とか乗り切ることができました。当協会スローガンに掲げておりますが、“人の思い、人の力をつなぐ”という百貨店の使命が果たされた結果だと思います。さらにこれからも、百貨店は進化を重ねながら、豊かな消費生活の実現に一定の役割を担っていくものと信じております。
ディベロッパーとテナントが「働きやすい環境」「安全に働ける環境」 「営業時間」などの課題を共有し、理解し合い、解決に向けて取り組む
謹んで新年のお慶びを申しあげます。
昨年はウクライナ、パレスチナ問題など、世界的にリスクが高まる不安定な情勢が続きました。一方、日本においては1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」、そしてその能登半島をはじめとして全国各地を襲った「過去に経験したことのない」集中豪雨など、自然災害による危機を身近に感ずる年でした。また、33年振りとなる平均5%超の賃上げや夏季賞与の増加などにより、個人消費の力強い回復が期待されましたが、その一方で、円安や原油高などによる物価上昇や将来に対する漠然とした不安感もあり、消費動向には残念ながら足踏み状態がみられました。
このような状況下ではありましたが、ショッピングセンター(以下、SC)は、物価上昇の影響を受けつつも、SC主催または近隣で行われたイベントなどにより来館者数が増加し、全体的には前年実績を上回る売上げで推移した1年でした。
売上げが回復し、また地域のインフラとしてSCの役割が高まる一方で、2025年以降の最も大きな課題として私たちが考えなければならないのは、人材の確保です。高齢化と人口減少、仕事観の変化などにより、SCにおいても特にテナント従業員の人材確保が厳しくなってきています。地域商業を支えるとともに、生活者が集うコミュニティ機能、子育て支援、雇用創出、災害時のライフライン機能など多様な役割を担い、地域に欠かせない存在へと深化することが、SCの持続的成長に不可欠だと考えていますが、これらの役割を担う人材が十分確保できていないことに対して、私は強い危機感を持っています。
当協会では2023年10月から、ディベロッパーとテナントの関係者が集まり、テナント従業員の人手不足解消に向けて、お互いが何をすべきか議論を重ねてきました。そして、ディベロッパーとテナントが、「働きやすい環境」「安全に働ける環境」「営業時間」などの課題を共有し、理解し合い、それぞれのSCの特性を踏まえて解決に向けて取り組むことを強く推奨する内容をレポートにまとめ、当協会の会員に向けて先般、発信したところです。
2025年はこのレポートの内容を踏まえて各SCが具体的に取り組めるよう、協会としても普及活動や好事例の発信などのフォローアップに注力して参ります。併せて、SCに共通する後方業務である毎日の「売上報告業務」の簡素化・標準化へ向けた作業も進めております。これにより業務効率化、テナント従業員の労働時間短縮が図られ、働きやすい環境づくりに寄与することになると考えております。さて、1月22~24日の3日間、新年恒例の「第49回日本ショッピングセンター全国大会」をパシフィコ横浜で開催いたします。多くの方々の英知の結集により、今後のSCのあり方について有益な示唆を得られる場になるものと思います。
また、今後のSCのあり方や社会的役割を示唆するSCを顕彰する「第10回日本SC大賞」、および地域貢献に優れたSCを顕彰する「第8回地域貢献大賞(倉橋良雄賞)」について、今年の定期総会で表彰し、業界内外に発信する予定です。
以上のように、今年、2025年もSC業界の発展に向けて鋭意努力して参りますので、引き続き当協会の活動にご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。
結びに、皆様のますますのご発展とご健勝を祈念いたしまして、私の年頭の挨拶とさせていただきます。
地域唯一の百貨店として、これからも地域の皆様とともに歩み続け、信頼され、愛される存在であり続けたい
2024年を振り返りますと、地域に根ざした百貨店としての在り方を見つめ直し、新たな挑戦を続ける一年でありました。
2 月、「イオン津ショッピングセンター」の長期休業に伴い、「ダンススタジオ・ビーボックス」を当店7階に移転オープンしました。これまで接点の少なかった地域の若年層のお客様にもご来店いただくきっかけとなりました。
2023年からデパート新聞社さんとの共同プロジェクトとして、地方デパート逆襲( カウンターアタック) プロジェクト) を進めており、本年もその一環として以下のようなイベント、出店を行いました。
7階特設会場では「つながるデパートカーニバル」として、7月終わりから9月まで「自分で選べるガチャ夏まつり」を開催し、大好評を得ました。
選べるガチャとはその名の通り、従来のランダムにカプセルから取り出すのではなく、600種類以上のカプセルトイが自由に選べる新規性もあり、SNSを通じて未だかつてないほど遠方からのお客様も含め多数のお客様にお越しいただきました。好評につき11月からは常設の売場として現在に至ります。
10月には、移動販売車「松菱マッピー号」を三重大学の学園祭に出店しました。
松菱マッピー号とは、出張販売を行う為の移動販売車であり、元々は店舗に足を運ぶことが難しいお客様に商品をお届けする新しいサービスとして企画しました。今回は特に若い世代に百貨店の魅力を伝える新たな試みとしました。
その後も、遠隔地へのきものメンテナンスや、企業向けのスーツの出張販売等に活用しております。
12月には4階紳士服売り場に「食べる本屋さん」をオープンしました。「知識を食べるように本を読んでほしい」というコンセプトのもと、全国各地の出版社が厳選した書籍とくつろぎの空間を提供しています。
この新しい空間は、読書を楽しみながら人と人がつながるコミュニティサロンとしての役割を担い、地域のお客様に好評をいただいております。
年の瀬も押し迫った21日には、7Fお食事処「銚寿庵」を期間限定オープンしました。
東京から新たに料理長を招致し、百貨店らしい食のグレードアップを図りました。
さて2025年でございますが、当社は創業70周年を迎えます。
地域唯一の百貨店として、これからも地域の皆様とともに歩み続け、信頼され、愛される存在であり続けたいと願います。
地方百貨店にしかできない、お客様との密なコミュニケーション、相互の理解と信頼を強めながら、地域のニーズに迅速に応え、お客様のご不便を解決する「ありがとうと言っていただける百貨店」を目指してまいります。
地域社会に貢献しながら、百貨店の持つ公益性をより一層高めてまいります。
企業として利益と理念を両立し、社会の役に立つ活動を通じて、持続可能な事業を展開していきます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
「ヒューマン力を発揮し、心躍る体験価値を創造する」ことを基本方針に掲げ、百貨店の『店舗』と『人』が持つ強みを基盤に当社独自のポジションを確立する
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
円安の進行や国際航空便の増便も寄与し、訪日外国人客数の増加傾向は継続、また富裕層の活発な消費の牽引により個人消費は回復に向かう一方で、世界情勢不安や頻発する災害・物価高等によって国内経済の先行きが不透明である中、当社グループでは二〇二四年から二〇二六年を飛躍的成長への「変革期」と位置づけ、新たな中期三カ年経営計画において、リテールの進化・シナジーの深化に取り組んでおります。
新中計の初年度となった昨年は、私ども大丸松坂屋百貨店にとりまして、新たな一歩を踏み出した年となりました。十一月に第一期改装リニューアルオープンをした松坂屋名古屋店は、次世代顧客へのアプローチを主軸に置いてファッションフロアを中心に8フロアを大幅に刷新し、加えてアートを随所に取り入れた上質で快適な環境の店舗に大きく生まれ変わりました。当社が考える新しい百貨店像を具現することができ、引き続き多くのお客様に足を運んでいただくことを目指していきたいと考えています。
百貨店の経営環境は厳しさを増している状況ではございますが、消費に対するお客様の価値観の変化に柔軟に対応していくことが勝ち筋であると私どもは確信しております。中期経営計画では「ヒューマン力を発揮し、心躍る体験価値を創造する」ことを基本方針に掲げ、これまで培ってきた百貨店の『店舗』と『人』が持つ強みを基盤に、二年目の本年はさらなる体験価値・ワクワクするコンテンツの魅力化を図り、当社独自のポジションを確立してまいります。
次世代向けにアートや香り、D2Cコンテンツなどを新たに発掘することでMZ世代の支持を獲得でき、加えて店舗を展開している各地のコンテンツを発掘・開発することで地域を応援する社会貢献活動「ThinkLOCAL」も活発化してきています。携わる従業員それぞれが圧倒的なWILLWILL(情熱、意思)と行動力を発揮し、本年は質・量ともにコンテンツのさらなる拡充を図ってまいります。
またヒューマン力とデジタルのタッチポイントを組み合わせ、クローズドサイト「コネスリーニュ」での若年富裕層へのアプローチ強化や海外客の固定客化を目指したCRM基盤の構築をスタートするなど、さらなる顧客のLTV拡大に取り組みます。
人的資本経営の必要性が高まるなか、当社では従業員を重要な価値共創パートナーと位置づけ、一人ひとりのWILLに寄り添った「従業員エンゲージメントの向上」に向けて、お取引先を含む全ての従業員にとって働きやすく魅力ある労働環境の構築の一環として一月二日を休業日としました。事業戦略を推進していくうえで人財の活躍・確保は必要不可欠との認識のもと、今後も従業員の持てる力を最大限に発揮するための制度や環境整備を進めてまいります。
何卒、本年も変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。
次の大きな節目“100周年” に向けて
2024年は、能登半島地震などの自然災害や気候変動に伴う酷暑、風水害に見舞われるなどさまざまな環境に翻弄される一年でした。また、相次ぐ物価の上昇や人手不足、それに伴う33年ぶりとなる賃上げなど経済面においても不安定な状況が続いています。そのような中、遅れていた中国人観光客の回復も相まってインバウンド需要は引き続き活況を呈し、国内では徐々に明るい兆しも見えてきました。
昨年、当社は創業90周年を迎えました。次の節目である100周年に向けたビジョン「いつでも、どこでも。一人ひとりの上質な暮らしのパートナー。」の実現に向けて、業界でも類を見ない旗艦店不在の現況下で、渋谷、そして各店舗の周辺地域それぞれの特徴に合わせた取り組みを進めております。拠点とする渋谷では当社が強みとするフードとビューティーにおいて、「渋谷フードディスカバリー」宣言、および「S H I B U Y A BEAUTY JAM」宣言のもと、新たな顧客価値創造を目指した取り組みを強化してきました。吉祥寺店、たまプラーザ店、札幌店においては、構造改革リモデルの実施から1年以上経過し、顧客の意見に寄り添った見直しに着手しております。
2025年は、渋谷ヒカリエ ShinQs、渋谷スクランブルスクエアに出店している+Q (プラスク)と東急フードショーエッジなど、渋谷から新たな顧客価値の創造を目指します。中でもフードとビューティーのさらなる強化を図り、各宣言のもと、分散している店舗を連携させたプロモーションのブラッシュアップを進めてまいります。そして、その経験を生かし、吉祥寺店やたまプラーザ店、札幌店などの各店舗においては、それぞれの地域と顧客特性に合わせた魅力ある店舗づくりにつなげてまいります。さらに、2000年に渋谷の地に誕生した「東急フードショー」が25周年を迎えます。渋谷東急フードショーを軸とし、二子玉川 東急フードショーをはじめとする各店舗の「東急フードショー」を連動した企画を展開し、食の未来におけ2025 States of Tops Messageるお客さまのあらゆるニーズにお応えいたします。
社内においては、コミュニケーションの活発化を目指して、2023年から実施している座談会をこれまで40回以上開催しました。中堅若手社員と経営側が直接意見交換する場として、一人ひとりの思いを知ることができる機会であり、それを具体化することを積み重ね、次の節目である100周年につなげてまいります。
東急百貨店が持つ強みを発揮し、拠点である渋谷から新たな顧客価値を創造し、各店舗の周辺地域の生活者にとってより上質な暮らしを提案できるよう、一人ひとりが主役となり、全社一丸となって臨みます。
「強みの磨き上げ」、「顧客接点の強化」、「新たな収益の創造」を取り込みの軸とし、積極的に新規施策を推進しながら、目指す姿の実現に向け取り組む
2024年の日本経済は、多くの業界で業績の改善が見られながらも、物価上昇による実質賃金の低下が中間層の消費マインドを悪化させる懸念が高まりました。百貨店業界においても高額消費とインバウンド需要が牽引し、コロナ禍前の業績を上回る勢いが見られた一方、国内売上の先行きには懸念も見込まれます。
当社においては、新宿駅西口地区開発計画の進捗に伴い駅周辺のお客様動線が複雑化するなど、主力となる新宿店を取り巻く事業環境が依然として厳しい中、各店舗にてリアル・デジタル双方における顧客接点の強化や売場構成の一部見直し、訪日客の取り込み強化などを進め、全社売上高は前年実績を上回りました。
新宿店においては、限られた営業面積を有効活用するべく、来店動機の創出に積極的に取り組むほか、インターナショナルブティック・化粧品を中心とした訪日前客の需要取り込み強化など、高効率な営業を目指し、引き続き施策を推進してまいります。
郊外の町田店においては、9月に上層階の改装を実施し、ファミリー層のさらなる獲得に加え、これまで百貨店との接点の薄かった若年層の取り込みを図った他、ゴールデンウイークや夏休み期間の「地域共生」を軸としたイベント、自治体との連携などを通じて、2026年の開店50周年に向け、さらに地域や地域生活者との繋がりを強めていきたいと考えております。
また、継続して注力するお得意様外商部門は、開発工事による元売場減少がある中で営業体制の整備・強化を進め、デジタルツールを活用したお客様とのコミュニケーションの深耕、お取引先主催の外販催事や提携ブティックへのアテンドの実施など、関係性の強化に一層努めております。
加えて、昨年は顧客の高齢化という全社課題に対して新規顧客層の取り込み・顧客接点の強化を目的に、NTTドコモと提携し「dポイント」を全店に導入したほか、店舗以外の新たな収益の創造に向け、ECでの「ふるさと納税サイト」の新設や全国の介護施設向けのショッピングサービス「SATIMER(サチメル)」の開始など、当社経営資源を活用した事業領域の拡大に注力すべく、新たな取り組みも開始いたしました。
2025年を展望いたしますと、引き続き賃上げや景気の伸長、インバウンドの需要は期待しつつも、為替の変動や中国の景況感の先行き、世界各国での政治的な不安定感に加え、国内でも異常気象を起因とする災害の発生など、消費に与える心理的なマイナス要素も予想に加味しなくてはならないと考えます。
当社は、「強みに特化した領域で、魅力ある接点(場)を共創するプラットフォーマー」を目指す姿に掲げ、お客様・お取引先にとって魅力的な場を提供し、商品・サービスの橋渡し役を担う企業となることを目指しております。2025年も「強みの磨き上げ」、「顧客接点の強化」、「新たな収益の創造」を取り組みの軸とし、積極的に新規施策を推進しながら、目指す姿の実現に向け取り組んでまいります。
リアル店舗の強みを活かし、お客様を大切に、百貨店らしい上質な接客をすることで、東武ファンを確実に増やす
2024年は、個人消費の回復やインバウンド消費の拡大など、消費環境が大きく好転した一年でした。一方、世界情勢はますます混迷を極め、私たちの生活にも大きな影響を及ぼ事業環境の変化をしっかり見据え、強みを増やし、磨きをかけるとともにチャレンジを続け、「進化・深化」を繰り返し京王百貨店の「真価」に磨きをかけるしています。地政学的リスクや、国際的な原材料価格の上昇、海外からの輸入コストの増加などの影響を受けた物価の高騰といった不安材料からなる生活防衛意識の高まりなど、企業は様々な努力を強いられていることも事実です。
そのなかで、当社はリアル店舗の強みを活かし、多くのお客様にご来店いただくための取り組みを推進しました。
池袋本店はアパレルや子供服を中心としたMDの強化を図りました。また、新たなお客様にご来店いただくため、「ハローキティ50周年おめでとうフェア」「立教学院創立150周年おめでとうフェア」などを企画、さらに、一昨年から強化してい豊島区との取り組みなど地域との連携を図っています。
船橋店は、「地域性」「独自性」「限定性」をキーワードとした取り組みを推進しました。特に、ふなっしーコラボF OODSの展開や和洋女子大学とのコラボメニューの復活など地域独自の施策は大きな反響を呼びました。他にもシニア団体との連携など、地域に根差した店づくりを進めています。
池袋駅西口地区再開発計画については、昨年2月に都市計画手続きが提案され、11月に都市計画が決定しました。当社としては、事業主体である東武鉄道と密に連携し、将来の駅中核を担う商業施設として、枠にとらわれず時代にあった百貨店のあり方を模索しています。
選択肢が多様化した今、お客様はリアル店舗である百貨店に「楽しさ」「ワクワク感」「新鮮さ」を求めているのではないでしょうか。モノを販売するだけでなく、店内で過ごすコト自体を楽しんでいただけるよう様々な付加価値の提案をし続けることが大切だと考えております。
当社は、今後も各店舗それぞれの地域性や、お客様のニーズをしっかりと捉え、工夫を凝らし、常に楽しく話題になる百貨店を目指します。そして、ご来店いただいたお客様を大切に、百貨店らしい上質な接客をすることで、東武ファンを着実に増やしてまいります。
本年も、皆様方の益々のご支援ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。
事業環境の変化をしっかり見据え、強みを増やし、磨きをかけるとともにチャレンジを続け、「進化・深化」を繰り返し京王百貨店の「真価」に磨きをかける
謹んで新年のお慶びを申し上げます。
昨年は、基幹店である新宿店の開店60周年という節目の年となりました。長きにわたりこの場所で商売を続けてこられたこと、大変感慨深いものがあります。お客様、お取引先、従業員、そして関係する多くの方々あっての60年と、あらためて感謝の思いを強くいたしました。
60 周年にあわせ、昨年は、さまざまな周年施策や新たな企画・イベントを実施したほか、お取引先や学校とのコラボレーション等、にぎやかに節目の年を盛り上げました。なじみのお客様にも喜んでいただけたと思いますし、新しいお客様やこれまでの中心顧客より若い世代のお客様にご来店いただく良い機会にもなりました。そして何より、京王ファンを増やす良い機会になったと思います。「集客・リピート・組織顧客化」を合言葉に取り組みを進めてきましたが、まさにそれを実践する1年になりました。
インバウンドや物価の動向、世界各国の新たな変化、気候変動による影響など、取りまく環境は厳しいものや不透明な要素もありますが、百貨店の魅力である「夢」や「楽しさ」「行けば何かあるというわくわく感」に対するお客様の期待が薄れることはありません。コロナ禍を経た働き方や行動の変化で常態化した、鉄道やバスの利用者減の中で、京王グループの流通業の要として、沿線の人流を創出する重要なコンテンツとしての役割も増しています。
一方で、百貨店の事業モデルについては、店舗運営や販売・販促体制、お客様とのタッチポイントの取り方、後方部門の体制など、あらゆる面で現状や将来に即した形に変えていかなくてはなりません。特に人の面では、昨今の労働市況も踏まえ、より限られた要員で、全体としてさらに高いパフォーマンスを出さなくてはなりません。仕事のやり方を変革し、人がやるべき仕事をしっかりと人がやる、そういう仕組みをつくることが求められます。
創業61年目となる2025年は、次の目標に向けて新たな一歩を踏み出す大切な年になります。4月の新年度からは新たな中期計画がスタートします。さらなる飛躍に向け、達成可能な目標ではなく、成し遂げたいと思う前向きで意欲的な目標を掲げ、そのためにやるべきこと、やってみたいことをリストアップし、一つ一つ実行に移してまいります。
将来的な株式会社京王SCクリエイションとの統合や新宿再開発の進展に伴う事業環境の変化をしっかりと見据え、強みを増やし、さらに磨きをかけるとともに、足腰の強い経営基盤づくりに向けて稼ぐ力の強化と損益分岐点の引き下げなどチャレンジを続け、PDCAを回しながら「進化・深化」を繰り返し、まさに京王百貨店の「真価」に磨きをかけてまいります。
百貨店の仕事は「人々が豊かになるエネルギーを供給する仕事」。松屋は未来に希望の灯を灯す、全てのステークホルダーが幸せになれる場を創造する。
初めに、能登半島地震をはじめ多くの災害で被害を受けた地域の方々に心からお見舞い申し上げます。皆様の安全と一日も早い復興を祈念いたします。
昨年の当社について振り返りますと、主力の百貨店事業においては、2024年1月より営業時間を一時間短縮しながらも、月間の売上高で歴代10位以内に5件がランクインするなど我々の当初の予算を大きく上回りました。1月~11月の両店計の売上高は前年比126%、2019年比で言えば156%と言う数字になりました。特に7月についてはバブル期の月間最高売上を更新する売上を作ることができました。会社として強化を続けて来た個人外商部を中心としたIDをいただいているお客様の売上も堅調に推移しました。また、海外からのお客様の伸びは想定以上となり大きな売上高を実現できました。
また昨年は百貨店をはじめとしてグループ全体で様々な新しい挑戦がスタートしたり、新展開を迎えたりした1年でもありました。例えば、夏のセールを3週間遅らせ、プロパー商売にしっかり取り組む期間を延ばしました。また、IDのあるお客様へのインセンティブ強化のために催事の初日にIDのあるお客様限定入場日を設ける取組みも進めています。地域共創の取組みを点ではなく面として館に取り込んだり、銀座店で好評のコンテンツ催事を浅草店でも開催したり、デザイン感度を持った次世代リーダー育成プログラム「Future Leaders Academy in Ginza(FLAG)」をスタートし、地域のものづくりと繋がる人材育成をスタートしました。お客様のお買い物体験をよりスムーズにするオムニチャネルの新たなデジタルプラットフォームmatsuyaginza. c o m も立ち上げました。デジタルとリアルをシームレスに繋げることで、日本のお客様も海外のお客様もストレスなく買い物を楽しんでいただけるはずです。
現行の中期経営計画は今年の2月末までとなります。さらなる成長を目指して引き続き努力しながら一歩一歩、ひたむきに前進をしていきたいと思います。
本年2025年は、銀座店にとっては開店100周年のアニバーサリーイヤーです。銀座店ではお客様向けの様々な取組みやインナープロモーションを通じて素晴らしい1年にしていければと思います。
百貨店の仕事は「人々が豊かになるエネルギーを供給する仕事」だと考えています。そしてその中で松屋は「未来に希望の灯を灯す、全てのステークホルダーが幸せになれる場の創造」をミッションとして掲げています。新しい一年も、我々の商品やホスピタリティを通じて幸せな場を創造することを目指します。また百貨店をはじめとしたすべての事業を通して、さらなる成長と企業価値の向上を実現すべく邁進してまいります。世界基準を目指し、妥協無く松屋らしく、取り組んでいく所存です。