デパート新聞 第2747号 – 令和7年1月1日 -新年明けましておめでとうございます

コミュニケーションデパートを目指そう デパート新聞社社主 田中潤

地方デパート逆襲(カウンターアタック、CS)プロジェクトの実践

 デパート新聞購読者の皆様、あけましておめでとうございます。昨年もデパートの閉店は続き、デパート業界を取り巻く環境は、変わらず逆風が吹いております。弊社では、デパートが地域を活性化させるための主役たる存在であるべきと位置づけ、その実践を進めています。

 三重県津市の松菱百貨店とともに取り組んでいる地方デパート逆襲(カウンターアタック、CA)プロジェクトです。CAプロジェクトを始めて1年余り、「ここにしかないもの」を発信していくことを主眼に、この秋に移動デパートマッピー号(松菱のマスコット、マッピーちゃんに由来)やコミュニケーション書店「食べる本屋さん」事業を相次いでスタートさせました。また、昨夏からガチャガチャのカプセルトイを顧客が手に取って品定めが出来る、選べるガチャガチャも大好評の評価を得て、大きな常設会場に約600種余りのカプセルトイで展開し、名古屋・大阪など遠くからの目的客も含め、多くの顧客を集めております。

 マッピー号では高齢の方やデパートに行くには遠方で大変なお客様の都合に合わせて商品を積んで、販売員が出張販売にお伺いします。7m余りの中型バスが綺麗な外装を施してお客様のご自宅まで伺うと、驚きと喜びをもって迎えられます。全国のデパート担当者様からもお問い合わせが続いております。

 「食べる本屋さん」は、本紙に小説を連載中の高殿円氏がブランディングマネージャーとなり、すべての本の表紙を見せる贅沢な陳列を徹底しました。緑のプランテーションのスペースでゆったりお茶を飲みながら選書をしていただくという趣向で、久しくデパートから足が遠のいていたお客様が「松菱はいいことをやっている」というお声とともに、連日お越しくださっています。

 既に、地域の高校と連携し、高校生たちの「推し本(自らが奨める本)コーナー」の増設なども検討しており、地域コミュニティの大きな起点となっていく予感があります。

 年末には、つながるデパートカーニバル(全国の地域を結んでいこうというCAプロジェクトの基本戦略)の一環として、千葉県の銚子電鉄プロデュースの蕎麦処「銚寿庵」をスタートさせ、千葉県銚子の特産物である醤油、魚、メロンなどを取り入れた料理を提供しております。こうした幾つかの取り組みはデパートの中で有機的に繋がることで、地域のコミュニケーションの輪を拡げる礎にならんことを目指し、CAプロジェクトは進んでおります。

 是非一度、皆様におかれましても、松菱百貨店に足を運んでくださいますよう、お願い申し上げます。

 それでは、本年が皆様にとって幸多き年になることを祈って、新年のご挨拶とさせていただきます。

11月東京は3か月ぶりプラス

 日本百貨店協会は、令和6年11月東京地区百貨店(調査対象12社、22店)の売上高概況を発表した。売上高総額は1560億円余で、前年同月比2.7%増(店舗数調整後/3か月ぶりプラス)だった。店頭・非店頭の増減は、店頭2.2%増(89.8%)、非店頭6.6%増(10.2%)となった。

百貨店データ

  • 3社商況11月
  • 11月店別売上前年比(%)
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: oboro-300x292.png

 銀行というところは生産性もなく、ひたすら自らの培ってきた信用を掲げて、人の褌で相撲をとる事業である。(失敬)専門家に言わせると、エッセンシャル産業(社会に不可欠な仕事)と対比して、ブルシットジョブ(くそどうでもいい仕事)となる。にもかかわらず、大きな利益を得て、経営が苦しい時は国に助けてもらい、働いている人は総じて高待遇である。
 今回、三菱UFJ銀行で起きた貸金庫内の物品盗難は、その信用をひっくり返す大事件である。銀行を信じ、まったく無防備でいる顧客を後ろから殴りつけるような暴挙である。
 実は、たまたま小拙も11月のある日、渦中の支店の貸金庫の解約に立ち会ったのだが、既に事件は内部で発覚していたはずなのに、何一つ事件の説明はなかった。信用を損なう裏切り行為に、火に油が注がれる事態になる様相である。

デパート新聞 紙面のロゴ
昭和24年10月創刊
百貨店に特化した業界紙
デパート新聞 購読申し込み