10月インバウンド売上高、508億円 初の年間5000億円突破

 日本百貨店協会が11月25日に発表した10月の百貨店のインバウンド売上高(免税売上高)は、ドル円レートが9 月の140円台から10月に再び150円台まで戻ったことや中国の国慶節休暇(10/1〜10/7)などによる顧客数増加により31か月連続増加し、前年度比32.3 % 増の508億4千万円だった。

 インバウンド売上高は10 月としては最高額を記録し、コロナ前の19年10月の売上高256億円の2倍に伸びた。

 その結果、24 年1〜10月の免税売上高累計は5347億円となり、年末まで2か月を残して14年の調査開始以降初めて5000億円を突破した。
(図表1、2参照)

 一方、国内を含む10月の全国百貨店売上高は、夏日が続き記録的な高温で秋冬物が不振で前年度比マイナス0.7 % の4477億円だったことから、免税売上高が全国百貨店売上高に占めるシェアは11.4%に上昇した。

購買客数52万人 10月として最高 上位は中国・韓国・台湾・香港・東南アジア

 10月の購買客数は51万8千人で10月としては最高を記録し、19年10月の39万6千人を3割上回った。国別では、前月と変わらず中国が最も多く、次いで韓国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシアの順であった。

売上人気商品、化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨

 一人当たり購買単価は約9万8千円で19年同月(6万5千円)を5割上回った。

 売上の人気商品は、化粧品、ハイエンドブランド(ラグジャリーブランドのバッグ、時計、宝飾品等)、食料品、婦人服飾雑貨、婦人服だった。

10月訪日客数、過去最高の331万人 最速の累計3000万人突破

 日本政府観光局(JNTO)が11月21日に発表した10月の訪日外国人客数(推計値)は、331万2千人で、ことし7月の329万人を上回り1か月間の旅行者としては過去最高を更新した。19年同月比では32%増だった。1 〜10月累計は3 0 1 9 万人となり、1964年の統計開始以来、過去最速で3000万人を突破した。
(図表3参照)

 紅葉シーズンを迎え訪日需要が高まり、国慶節休暇の中国や直行便数が増加した米国からの訪日客が増加したことが10月の数字を押し上げた。

訪日客数、韓国首位、次いで中国・台湾・米国・香港

 10 月の国・地域別の順位は、韓国が73万人で最も多く、次いで中国(58万人)、台湾( 41 万人)、米国(28万人)、香港(20万人)の順で、この上位5か国が全体の約7割を占めた。
(図表4参照)

 中国からの訪日客数は、今年になって回復してきた。昨年の1月〜10月累計数185万人から今年同期は583万人と3倍以上に増加し、10月にはコロナ前の19年の8割に戻った。旅のスタイルも団体旅行中心から家族や友人との旅行が主流になってきた。
(図表5参照)

中国、日本人の短期ビザ免除

 中国は11月30日から日本人の短期滞在ビザ免除措置を実施し、これまでの15日のビザなしの滞在期間を延長(25年末まで)した。

 日本は島国であることから欧州のように陸路での入国は不可能で、訪日客の入国手段はほとんどが航空便である。今回の短期ビザ免除により日本から中国への旅行者が増加し、日中双方向での旅客の増加期待が高まれば、航空会社は航空便を増便し中国からの旅行者が増加することにつながることになる。23年と今年の訪日外国人旅行消費額統計(観光庁)によれば、買物代の消費金額が最も大きな国は中国であることから、中国人顧客の増加は百貨店業界に大きな恩恵をもたらし、免税売上高の増加の大きな要因になる。今後中国からの訪日客の行動に注目が集まる。

11の国・地域からの訪日客数、今年累計で過去最高 

 全23の国・地域別のうち、年間の累計が過去最高を9月時点で更新した5の国・地域(豪州、メキシコ、ドイツ、イタリア、中東)に加え、10月は新たに6市場(台湾、フィリピン、インド、米国、カナダ、スペイン)が過去最高を更新した。

8月外国人延べ宿泊者数、19年比4割増

 観光庁が10月31日発表の宿泊旅行統計調査(第2次速報)によると、8月の外国人延べ宿泊者数は19年同月比39.5%増の1324万人泊で、前年同月比では24.9%の増加。

 国籍別でみると、トップは中国、次いで台湾、韓国、米国、香港で、上位5か国で全体の7割弱を占める。前年同月比で大きく増加したのはロシア(88.9%増)、中国(73.9%増)、スペイン(47.5%増)だった。 中国は19年同月比で、マイナス11.4%とまだ19年の水準に届いていない。

3大都市圏への集中進む

 8月の外国人延べ宿泊者数は、三大都市圏が913万人泊(19年同月比50.0%増)で、地方部は410万人泊(同20.7%増)であった。その結果、三大都市圏と地方部の構成比は約69%対31%となり、19年の構成比の64%対36%と比較して両者の格差は拡大しており、地方への誘客の促進が重要な課題である。