9月インバウンド売上高、397億円 9月として最高もシェア10%割れ

 日本百貨店協会が10月25日に発表した9月の百貨店のインバウンド売上高(免税売上高)は、ドル円レートが7月末の日銀利上げと9月中旬の米国FRBの大幅利下げにより、7月初めの161円台から9月に140円台まで急速に円高ドル安が進んだ中、30か月連続増加し前年度比21.6%増の397億1千万円だった。

 インバウンド売上高は9月としては最高額を記録し、コロナ前の19年9月の売上高253億円の1.6倍に伸びた。

 その結果、24 年1―9月の免税売上高累計は4838億円となり23年の年間売上高の3483億円を39%上回った。
(図表1、2参照)

国内を含む9月の全国百貨店売上高は、前年度比3.3%増の4229億円だったことから、免税売上高が全国百貨店売上高に占めるシェアは9.4%と今年5月に15.3%の最高値を付けた後4か月連続で低下し10%を割った。

購買客数45万人 9月として最高 上位は中国・韓国・台湾・香港・シンガポール

 9月の購買客数は45万人で9月としては最高を記録し、19年9月の38万4千人を17%上回った。国別では、前月と変わらず中国本土が最も多く、次いで韓国、台湾、香港、シンガポール、タイ、マレーシアの順であった。購買客数は今年6月に過去最高の57万9千人に達した後3か月連続で低下している。

売上人気商品、化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨

 一人当たり購買単価は約8万8千円で19年同月(6万6千円)を3割上回った。

 売上の人気商品は、化粧品、ハイエンドブランド(ラグジャリーブランドのバッグ、時計、宝飾品等)、食料品、婦人服飾雑貨、婦人服だった。

9月訪日客数、287万人 1―9月累計、23年暦年越え

 日本政府観光局(JNTO)が10月16日に発表した9月の訪日外国人客数(推計値)は、287万2200人で、8か月連続で同月過去最高を更新した。19年同月比では26%増となった。1〜9月累計は2688万人となり、昨年の年間累計2506万人を上回り、政府は24年総数3500万人が視野に入ったとみている。(図表3参照)秋夕(チュソク)休暇、中秋節休暇の韓国、中国と、直行便数が増加した米国からの訪日客が増加したことが今月の数字を押し上げた。

訪日客数、韓国首位、次いで中国・台湾・米国・香港

 9月の国・地域別の順位は、韓国が66万人で最も多く、次いで中国( 65 万人)、台湾(47万人)、米国( 19 万人)、香港(17万人)の順で、この上位5か国が全体の4分の3を占めた。韓国は、秋夕連休や日本各地へのチャーター便の増便等により9月としては過去最高を記録した。中国は台風13号の影響によるフライトの欠航があったもの、中秋節や国慶節等の影響や日本への直行便数が昨年を上回ってきたことから訪日客数は前年を上回った。韓国、中国、台湾、米国から、小樽港、釧路港、博多港、長崎港、那覇港、石垣港等にクルーズ船の寄港があった。
(図表4参照)

18の国・地域からの訪日客数9月として過去最高

 全23の国・地域別のうち18の国・地域(韓国、台湾、香港、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、メキシコ、仏独伊、スペイン、北欧、中東)が、9月として過去最高を記録した。

訪日客消費額1―9月累計も23年暦年超え

 観光庁が10月16日発表した7―9月の訪日客消費額は1兆9480億円で、1―9月の累計は5兆8582億円となり、これまで過去最高だった23年暦年(5兆3065億円)を9か月で上回った。政府は、24年は8兆円が視野に入ったと判断している。
(図表5参照)

 国籍・地域別では、中国(5177億円)が最も多く、次いで台湾(28 4 4 億円)、韓国(2285億円)、米国、香港の順であった。

7―9月一人当たり旅行支出22万3千円、買物代6万3千円

 7―9月の一人当たり旅行支出額は22万3千円で、4―6月の23万9千円を下回ったものの23年(21万3 千円と19年(15万9千円)を上回った。

 費目別の旅行消費額の構成比率(金額)は、宿泊費が33.7%(6555億円)と最も高く、次いで買物代28.9 %(5622億円)、飲食費21.9%(4275億円)の順で高い。買物代の構成比率は23年同期の26.3%より増加したが、中国からの観光客が爆買いした19年の33.2%に比較すると低下し「モノ消費」から宿泊などの「コト消費」への変化を表している。

 国別では、買物代が最も大きかったのは中国で、宿泊費・飲食代はイタリアが最も高った。

30年政府目標、訪日客数6000万人、インバウンド消費15兆円

 インバウンド消費は、日本の最大の輸出品目の自動車産業(23年17.3兆円)に次ぐ規模になってきた。観光は、宿泊、飲食、物販など波及効果が広く外貨を稼ぐ重要な輸出産業であることから、観光立国を目指す政府は、訪日客数の目標を6000万人(24年3500万人見込み)、インバウンド消費額を15兆円(24年8兆円見込み)、一人当たり消費額を25万円に掲げ、地方創成策の一つとして訪日客の地方誘客や戦略的訪日プロモーション等様々な推進を行うとしている。