8月インバウンド売上高 463億円 8月として最高
日本百貨店協会が9月25日に発表した8月の百貨店のインバウンド売上高(免税売上高)は好調で、為替市場で円安基調が一服し、やや円高に振れたものの29 か月連続増加し、前年度比45.7%増の463億2千万円だった。
8月としては最高額を記録し、コロナ前の19年8月売上高256億円の1.8倍だった。24年1月- 8月の免税売上高累計は4441億円で、8か月で23年の年間売上高(3483億円)を既に23%上回った。
(図表1、2参照)
8月の全国百貨店売上高が前年度比3.9%増の4034億円だったことから、免税売上高が全国百貨店売上高に占める比率は11.5%で、コロナ感染症拡大前の19年同月の6.1%から2倍近くに増加した。
購買客数、 上位は中国・韓国・台湾・香港・東南アジア
8 月の購買客数は45万3千人で8月としては最高を記録し、19年8月(38万Ⅰ千人)を19%上回った。国別では、ほぼ前月と変わらず中国本土が最も多く、次いで韓国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシアの順であった。
売上人気商品、化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨
一人当たり購買単価は約10万2千円で19年同月(6万7千円)の1.5倍だった。
売上の人気商品は、化粧品、ハイエンドブランド(ラグジャリーブランドのバッグ、時計、宝飾品等)、食料品、婦人服飾雑貨、婦人服だった。
8月訪日客数、293万人 7か月連続で同月過去最高を更新
日本政府観光局(JNTO)が9月18日に発表した8月の訪日外国人客数(推計値)は、293万3000人で、7か月連続で同月過去最高を更新した。19年同月比では16.4%増となった。1月〜8 月累計は2400万人となり、24年の年間訪日外国人客数は、先月岸田首相が「視野に入った」とする3500万人を突破する勢いで、政府が30年の目標とする6000万人に向け順調に推移している。
(図表3参照)
前月に続きスクールホリデーに合わせて中国、米国、シンガポール、インドからの訪日客が増加したことが今月の数字を押し上げた。
訪日客数、中国首位、次いで韓国・台湾・香港・米国
8月の国・地域別の順位は、中国が75万人で最も多く、次いで韓国(61万人)、台湾(56万人)、香港(25万人)、米国(17万人)の順で、この上位5か国が全体の8割を占めた。水際規制が大幅に緩和された22年10月以降、中国が首位になるのは、7月に続いて2か月連続である。
中国からの訪日客数が19年同月比74%まで回復した要因は、23年8月に日本行き団体旅行が解禁になったこと、日本への航空便が、北京―成田間や青島―関西間などで増便され日本への直行便数が昨年同月を上回ったことと、クルーズ船の寄港(長崎港、博多港、那覇港など)があったことである。今後、9月24日に中国政府が打ち出した金融緩和などの景気刺激策により景気が回復し、訪日客数がさらに回復するか注目される。
(図表4参照)
17の国・地域からの訪日客数8月として過去最高
全23の国・地域別のうち17の国・地域(台湾、香港、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、メキシコ、英仏独伊、スペイン、中東)が、8月として過去最高を記録した。また、単月ベースではイタリア、スペインが過去最高を更新した。
インバウンド効果、外貨獲得プラス地価上昇も
国土交通省が9月17日発表した24年度基準地価によると、地方圏の全用途の平均が、地方4大都市を除いても前年から0.2%上昇し32年ぶりのプラスとなった。これはインバウンド(訪日外国人客)を中心とした観光需要が高まったことが大きな要因で、大きく上昇したのは長野県白馬村、長野市、岐阜県高山市、松江市などで外国人客向けのホテルやレストランの開業が相次ぎ地価を押し上げた。24年1月〜6月累計のインバウンド消費額は3.9兆円で、過去最高を記録した23年の5.3兆円を5割上回る8兆円が視野に入ったと政府は判断している。政府は観光立国推進閣僚会議において30年のインバウンド消費額目標を15兆円とし、地方誘客、戦略的訪日プロモーション等様々な推進を行うとしている。
インバウンド消費額の8兆円は、日本の最大の輸出品目の自動車産業(23年17.3兆円)に次ぐ規模に相当し、観光は、宿泊、飲食、物販など波及効果が広くインバウンド消費は外貨を稼ぐ重要な輸出産業になってきている。