7月インバウンド売上高 前年比2倍633億円
日本百貨店協会が8月23日に発表した7月の百貨店のインバウンド売上高(免税売上高)は、円安の追い風を受け前年同月比2倍の約633億2千万円と14年10月の調査開始以来3番目に高い水準だった。24年1月―7月の累計の免税売上高は3978億円で、これまで過去最高だった23年年間売上(3484億円)を超えた。(図表1参照)
過去5年で免税売上高の百貨店売上構成比2倍超に
7月の免税売上高が全国百貨店売上高に占める比率は12.6%で、コロナ前19年同月の5.7%から2.2倍に増加した。これは、全国百貨店売上高の伸びが19年から5年間で4971億円から5011億円に0.8%に留まったのに対し、免税売上高は19年の281億円から633億円に2.3倍に増加したためである。
購買客数、 上位は中国・韓国・香港・台湾・東南アジア
7 月の購買客数は57万1千人で4か月連続50万人を超え、19年7月(44万Ⅰ千人)を29%上回った。国別では、前月と変わらず中国本土が最も多く、次いで韓国、香港、台湾、タイ、シンガポール、マレーシアの順であった。
一人当たり購買単価、コロナ前の1.7倍
一人当たり購買単価は約11万Ⅰ千円で19年同月(6万4千円)の1.7倍だった。
売上の人気商品は、化粧品、ハイエンドブランド(ラグジャリーブランドのバッグ、時計、宝飾品等)、食料品、婦人服飾雑貨、紳士服・用品だった。
7月訪日客数、過去最高329万人 2か月連続最高更新
日本政府観光局(JNTO)が8月21日に発表した7月の訪日外国人客数(推計値)は、2か月連続過去最高の329万2500人だった。19年同月比では10.1%増となった。単月での300万人超えは5か月連続で、1月〜7月累計は2107万人となり過去最速で2000万人を突破した。
7月は学校休暇を含む連休に合わせて中国、韓国、香港等からの訪日客が増加したことが前月からの数字を押し上げた。
訪日客数、中国首位、次いで韓国・台湾・香港・米国
7月の国・地域別の順位は、中国が78万人で最も多く、次いで韓国(76万人)、台湾(57万人)、香港(28万人)、米国(25万人)の順で、この上位5か国が全体の8割を占める。中国が首位になるのは22年10月の水際規制大幅緩和以降では初めてである。23年8月に中国からの日本行き団体旅行が解禁になり、フライトが上海‐鹿児島間の復便、深圳‐成田間の増便、上海‐福岡間の増便などで日本への直行便数が昨年同月を上回ったことから中国からの訪日客数は23年7月(31万人)の2.5倍に増加してきた。韓国、台湾、香港などの訪日客数は既に過去最高を更新しているが、中国は過去最高を記録した19年7月の105万人にまだ届いておらず、今後伸びる余地まだ大きいと考えられる。
19の国・地域からの訪日客数過去最高
全23の国・地域別のうち19市場(韓国、台湾、香港、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、メキシコ、英仏独伊、スペイン、北欧、中東)が、7月として過去最高を記録した。また、単月では香港、メキシコは過去最高を更新した。
外国人宿泊者数伸び続く
観光庁が7月31日発表の宿泊旅行統計調査(5月第2次速報)によると、5月の外国人延べ宿泊者数は19年同月比39.4%増の1356万人泊であった。特に石川県、愛媛県は2倍以上に伸びた。国籍別でみると、トップは中国、次いで韓国、台湾、米国、香港で、上位5か国の地域でとなった。19年同月比では韓国、台湾、米国、香港が増加している一方、中国は21%の下落だった。(図表6参照)
3大都市圏への集中進む
5月の外国人延べ宿泊者数は、三大都市圏が976万人泊(19年同月比59.0%増)で、地方部は381万人泊(同5.9%増)であった。その結果、三大都市圏と地方部の構成比は、約72%対28%となった。19年の構成比は約63%対37%であったことから、両者の格差は拡大している。今後、地方への誘客の促進が重要な課題である。(図表7参照)