6月インバウンド売上高 前年比2.4倍661億円

 日本百貨店協会が7月25日に発表した6月の百貨店のインバウンド売上高(免税売上高)速報値は、円安の追い風を受け前年同月比28か月連続増加し2.4倍の約661億2千万円。前月719億円に次いで2番目に高かった。
24年1月―6月の累計額は3345億円で、半期ベースでは過去最高で初めて3千億円を突破した。新型コロナ感染症流行前の19年年間免税売上高の3461億円の97%に達した。(図表1参照)

 全国百貨店売上高に占める比率は5月13.5%に続き13.2%と高水準で19年6月(5.9%)の2倍を上回った。

購買客数、3か月連続記録更新 上位は中国・韓国・台湾・東南アジア

 6 月の購買客数は57万9千人で3か月連続最高数を更新した。19年6月(45万8千人)比では26%増であった。

 国別では、前月と変わらず中国本土が最も多く、次いで韓国、台湾、香港、シンガポール、タイ、マレーシアの順であった。

一人当たり購買単価、コロナ前の1.8倍

 一人当たり購買単価は約11万4千円で19年同月(6万2千円)の1.8倍。売上の人気商品は、前月とほぼ同じで化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨、婦人服だった。(図表2参照)

6月訪日客数、過去最高314万人

 日本政府観光局(JNTO)が7月17日に発表した6月の訪日外国人客数(推計値)は、単月では過去最高の313万5600人だった。コロナ前19年同月比109%の回復となり、昨年10月より9か月連続で単月ではコロナ前の水準を回復した。

 6月は学校休暇を含む連休に合わせて台湾、フィリピン、米国等からの訪日客が増加したことが全体の数字を押し上げた。

24年3500万人視野に

 今年1月〜6月の累計数は、半期ベースでは過去最高の1778万人で、19年同期を6.9%上回ったことから、政府は、上半期のペースが続けば24年の訪日客数は3500万人が視野に入ったと判断している。(図表3、4参照)

訪日客数、韓国首位、次いで中国・台湾・米国・香港・タイ

 今年1月〜6月合計の国・地域別の順位は、韓国が444万人で最も多く、次いで中国(307万人)、台湾(298万人)、米国(134万人)、香港(128万人)、タイ(62万人)、豪州(46万人)の順で、この上位7か国が全体の8割を占める。

 コロナ前には全体の3割を占めた中国からの訪日客の比率は17%、19年からの回復率は最も低く68%に留まっている。

台湾、米国は単月で過去最高更新 

 全23の国・地域別のうち19市場(韓国、台湾、香港、シンガポール、フィリピン、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、メキシコ、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、北欧地域、中東地域)が、6月として過去最高を記録した。台湾、米国は単月過去最高を更新した。

24年1~6月インバウンド消費額3.9兆円 年間8兆円視野に

 観光庁が7月17日発表したインバウンド消費動向調査(1次速報)によると、24年4―6月期の訪日外国人消費額は、19年比69%増の約2.1兆円と四半期として過去最高だった。1―3月1.8兆円を加え、24年1月―6月総計は3.9兆円。観光立国推進閣僚会議で岸田総理は、上半期のペースが続けば24年は8兆円が視野に入り、30年の政府目標の消費額15兆円、訪日客数6000万人も視野に入る状況を踏まえ、地方への誘客促進などへの取り組みを関係閣僚に指示した。(下半期推計根拠:訪日客数1700万人×一人当たり消費額22.5万円=3.8兆円)

 国別順位では中国が最も多く(4420億円)、次いで米国(2781億円)、台湾(2639億円)、韓国(2232億円)、香港(1743億円)。

 訪日客の一人あたり旅行支出は23.9万円と推計され、19年同期比54%増加し、最も多いのはフランス(41.8万円)、次いで英国(41.7万円)、豪州(40万円)であった。

 費目別では、宿泊費は英国(18.9万円)、娯楽等サービス費(注)は豪州(2.1万円)、飲食費はイタリア(8.7万円)、交通費はスペイン(6.5万円)、買物代は中国(13.9万円)が最も多い。(注:娯楽等サービス費とは、各種体験ツアーやガイド代、娯楽施設やスポーツ観戦の入場料など。消費額に占める比率は3.2 % と低くエンターテインメント分野を伸ばすことが課題)一人あたり買物代が多いのは中国、次いで香港(11.4万円)、シンガポール、フランス(8.3万円)だった。

(参考)1―3月外国人消費動向調査から見る訪日客の動き

 6月28日に観光庁が発表した「訪日外国人消費動向調査」24年1月―3月期(2次速報)によると、訪日外国人消費額は、1.7兆円、うち買物代は5160億円で、一人当たり旅行支出は21.1万円。

 一人当たり支出の内訳は、宿泊費(6.8万円)が最も大きく次いで飲食代(4.6万円)、交通費(2.2万円)、娯楽等サービス費(1.3万円)で、買物代は6.1万円と全体の29%だった。

 費目別購入率(その費目を購入した人の割合)では菓子(72.6%)が最も高く、次いでその他食料品、飲料、タバコ(44.3%)、衣類(41.7%)だった。

 一人当たり平均支出額の中で、最も購入単価が高かったのは、時計・フィルムカメラ(9.5万円)。

高い購入者単価の中国人訪日客

 買物代比率が高いのは中国で、平均購入者単価が高い商品は時計・フィルムカメラ(25.3万円)、宝石・貴金属(22.5万円)、靴・かばん・革製品(12.1万円)だった。

買物場所はデパ―トが5割超

 買物場所は「コンビニエンスストア」(84%)、「空港の免税店」(61%)、「ドラッグストア」(56%)、「百貨店・デパート」(56%)、「スーパーマーケット」(48%)の順で高い。

満足度が高いのは菓子、衣類、靴・カバン、革製品

 訪日客が日本で最も満足した飲食は、肉料理、ラーメン、寿司の順だった。

 一方、最も満足した購入商品は、菓子、衣類、靴・カバン・革製品で、選んだ理由をみると、「菓子類」では「美味しい」に加え「お土産に良い・頼まれた」とする回答が多かった。「衣類」では「品質が良い」、「靴・かばん・革製品」では「価格が手頃・自国より安い」とする回答が最も多かった。

日本への再訪意向は7割超

 日本への再訪問意向で、「必ず来たい」が73.5%で、特に高いのはタイ、インドネシア、フィリピン、インド、英国、イタリア、スペイン、米国が8割を超えた。

次回日本でしたいことは日本食、温泉、買物

 次回 「日本を訪れた時にしたいこと」は、日本食を食べる(64%)が最も高く、次いで温泉入浴(50%)、ショッピング(44%)の順だった。