デパート新聞 第2771号 – 令和8年1月15日

11月全国は4か月連続プラス

 日本百貨店協会は、令和7年11月の全国百貨店(調査対象70社、176店〈2025年10月対比±0店〉)の売上高概況を発表した。売上高総額は5214億円余で、前年同月比0.9%増(4か月連続プラス)だった。

百貨店データ

  • 都市規模別・地域別 売上高伸長率
  • SC販売統計11月

人事異動

  • J.フロントリテイリング㈱

年頭所感

スピーディーに実行し、着実に成果を上げることを目指す

㈱近鉄百貨店 代表取締役社長執行役員 梶間隆弘

 皆さんあけましておめでとうございます。

 新年を迎えるにあたり、謹んでお喜び申しあげますとともに、昨年一年間、皆さんがそれぞれの職場において示されました懸命なご努力に対し、心から感謝の意を表したいと思います。

 さて、昨年を振り返りますと、10月13日に閉幕した「2025大阪・関西万博」では、国内外から延べ2500万人以上の方々が来場され、当社が運営していた会場内オフィシャルストアも連日大盛況となったほか、本店内のオフィシャルストアや外商の取組みなども加わって、万博関連売上は当初目標を大きく上回る結果となりました。万博業務に精励された全ての方々に、改めて厚く御礼を申しあげますとともに、業務を通じて得た経験やノウハウを今後の事業戦略にも繋げていただきたいと思います。

 また、昨年9月に実施した「意識調査アンケート」は今回で2回目となりますが、前回と比べて皆さんの当社に対する期待と実感を表す数値は改善傾向にあるものの、まだまだ課題もたくさんあります。この結果を踏まえ、組織全体で課題を共有することが大切であると考え、経営会議で皆さんの意見を抜粋して議論をし、それぞれの店・本部全体で、皆さんが自らの〝価〞を見出し、積極果敢に挑戦できる企業風土の醸成に取り組んでいく予定です。その中で、皆さんにお願いしたいことは、それぞれの部門において難問に直面した際、問題解決の主体は「会社」ではなく「自分自身」だという当事者意識を持っていただきたいということです。組織改革やDX推進は、あくまで企業風土の醸成を後押しするための手段にすぎません。まずは皆さん一人ひとりが「私がやるんだ」という強い意志をもって各部門と垣根を越えた横断的なコミュニケーションを図り、日常業務に取り組んでください。

 それではここで今後の重点取組みについて、昨年4月に策定した中期経営計画に沿って4つ申しあげます。

 一つ目は、旗艦店であるあべのハルカス近鉄本店のリモデル推進による魅力の最大化です。非常にポテンシャルの高い商圏である「あべの・天王寺エリア」にお住いの、あるいは訪問される方々のご来店を促進するために、まずは来店頻度の高い食料品売場の改装を実施します。特に総菜売場はレイアウトを大幅に見直し、新たに15ショップを導入するなど、12年ぶりの大規模改装を実施します。その後、上層階部分についても順次改装を実施していきます。また、隣接するHoopについても、今春のリニューアルオープンに向けて順次改装を進めており、今後は、あべのハルカス近鉄本店・Hoop・and・あべのウェルビーイングテラスの4館が連携して、「あべの・天王寺エリア」の魅力を高めていきます。

 二つ目は、外商部門の更なる強化です。あべのハルカス近鉄本店を基盤として、近鉄沿線の優良なお客様に、当社の優良顧客になっていただくための取組みに注力していきます。そのために、外商統括本部にプロジェクトチームを立ち上げ、近鉄グループの顧客データ基盤を活用し、近鉄グループの優良顧客の囲い込みを図ります。

 三つ目は、地域店の収益安定化と、もう一段踏み込んだ構造改革です。ここ数年実施してきた構造改革により一定の利益を確保できる状況ではあるものの、地域店は常に周辺施設の状況に大きな影響を受けます。そのために、いかなる環境の変化にも耐えうるよう、さらに一段踏み込んだ構造改革を進めるほか、それぞれの地域の拠点として、単なる「モノ売り」に留まることなく、来店頻度の向上を図ることができるようなコンテンツを導入するなど、さらなる収益の安定化を図ります。

 最後に四つ目は、新たな事業ポートフォリオの創造です。既存の事業だけでは成長に限界があり、当社の将来の成長、発展に向けては、新たな収益源の開発が不可欠です。その一つとして、今回の万博での経験を活かし、お客様に「新しい価値」をお届けする商社機能にチャレンジしていきます。具体的には、万博で培った商品開発力を活かした、当社オリジナル商品開発ビジネスや、日本各地の素材、製法にこだわった産品や隠れた魅力を、あべのハルカス近鉄本店全館を使って発信する地方創生ビジネスを検討しており、北海道を皮切りにスタートさせていきます。

 また、本年2月末日をもって、約60年営業を続けてきた名古屋店「近鉄パッセ」が閉店いたします。改めて、これまで名古屋店の運営に携わってこられた皆さんに心から感謝申しあげるとともに、名古屋店で培った経験や知識を新たなフィールドで存分に発揮し、今後も活躍していただくことを期待しております。1月10日からは「28年間ありがとう!さよならPass'e 閉店SALE!」が開催されます。これまでご愛顧くださったお客様、地域の皆様、お取引先様に対して感謝の気持ちを込めてご対応をお願いいたします。

 さて、本年は午年です。馬は、人を乗せて遠くまで移動する姿から、「人との結びつき」や「活発なコミュニケーション」の象徴とされています。また、「進む」という意味合いから、物事が順調に進展し、スピード感をもって変化していく年とも解釈されます。中期経営計画の2年目として掲げた目標に対し、各施策を力強くスピーディーに実行し、着実に成果を上げることを目指す当社の姿と重なります。ぜひとも皆さんにも、部門や役職を超えて積極的に交流し、そのエネルギーを新たな価値創造に向け、一歩先の未来へと駆け上がっていただきたいと思います。

 終わりになりましたが、皆さん方ならびにご家族の皆様のご健康とご多幸を祈念して、年頭のあいさつといたします。

[新刊] 公益法人 地方デパート

地方デパート逆襲プロジェクト

 A5判 並製 176頁 定価1500円+税

 閉店が相次ぐ地方デパートの再生のための戦略「地方デパート逆襲プロジェクト」が動きだした。秋田、熊谷、川越、横須賀、金沢、姫路、山口、米子、更には九州…と、地方デパートでの「選べるガチャガチャ事業」(購入者がカプセルトイを自分で選べる)は広がっている。目覚ましい集客をするばかりではなく、利益を全て被災地や福祉施設に寄付する公益事業でもある。地域を活性化させ多くの人々に小さな幸せを届ける 「地方デパートの公益性」を見逃すな!

デパート新聞社 社主 田中潤 著

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 通過する観光列車へ、沿道の多くの人が手を振る「お手振り」が全国で盛んなようである。自分たちの地域へ来られた方々への感謝を込めて手を振るということが、主な動機のようだが、これに感激してそのためにその列車を何百回も利用する人たちも多いらしい。
 筆者の見立てでは、お手振りはまさに資本主義からの脱出を考えた行為といえる。手を振る地元の人々、それに応えて車内から手を振り返す観光客。お互いに経済的利益を考えず、コミュニケーションを作ることに単純に集中する。そうした考え方を多くの人々が支持しているのだ。
 無駄なことを一切しない、無関心を当り前とする今の時代に抗う姿として高く評価したい。